2021年5月31日(月)、午後3時30分より、東京都千代田区の衆議院第2議員会館にて、立憲民主党・枝野幸男代表の定例会見が行われた。
冒頭、枝野代表からの報告があり、続いて各社記者との質疑応答となった。
報告の中で、枝野代表は、5月31日を期限として9都道府県に出されていた緊急事態宣言を6月1日から20日まで延長したことに触れ、「今回の第4波は、感染が十分に収まっていない段階で、私たちが明確に反対したにもかかわらず、宣言などを解除した、そこに原因がある。したがって、『人災』と言わざるを得ない」と厳しく批判した。
また、6月16日までを会期とする第204回国会(常会)について、「緊急事態宣言などの延長によって、6月20日の緊急事態宣言期間が切れる前に、国会が閉じることになる」とし、「さらなる延長が必要かどうか、あるいはこの延長に伴う対策などについて、なんら対応が示されることなく、感染が収まっていない場合、あるいは、第5波が生じた場合の迅速な対応などを考えると、国会を閉じることはまったく理解不能である」と述べた。
質疑応答では、枝野代表とフリーのジャーナリスト・宮崎信行氏の間で、「国民投票法改正案」について、以下のやりとりがあった。
宮崎氏「『国民投票法を改正する法律案』の衆議院における修正、立憲民主党主導の修正という言い方でいいかと思うんですが、この解釈について、『国民投票法施行後3年を目処に、CM規制やインターネット有料広告規制などについて、国が検討を加え、必要な法制上の措置、その他の措置を講ずるもの』という、一項が入るだけの修正ですが、この解釈なんですが、『国がCM規制など国民投票の公平及び公正に関する検討を3年後に加える』ということは、これから3年間、国会は憲法改正の発議をできないという読み方もできるかと思います。
そこの立憲民主党代表の立場として、国はこれから3年間、改憲を発議できないのか? また、解散直後の衆議院憲法審査会で、例えば会長や会長代理を選んだりする、そういったものにも応じないといった事もあり得るのか? いかがでしょうか?」
枝野代表「まず、法律の解釈ですので、政治がいろいろ言って、それは参考資料にはなりますが、法解釈とは客観的になされるものです。
で、一応、弁護士として客観的に申し上げますと、この法律案は、成立をした場合、現行国民投票法に、重大な欠陥がある。公平公正という観点から重大な欠陥があることを、法律自体、立法者自体が認めている法律であるということは、法解釈上明確です。
つまり、重大な欠陥がある法律を使った国民投票法を、この法律を根拠に使うことは、欠陥のある国民投票を実行するということ。これが法解釈の必然だというふうに思っています」
宮崎氏「確認ですが、向こう3年間、9月に施行のようですから、2024年とか、まあそこまで杓子定規でなくてもいいですが、だいたい2024年の秋ぐらいまでに、憲法改正の発議はないし、そもそも議論にも応じないということでしょうか?」
枝野代表「法律の解釈と、国会で議論をするかどうかというのは別次元の問題だと思っています。
しかし、国民投票法が公正公平な国民投票ができないのに発議をすることは、普通はナンセンスなことだと思っていますし、その公正公平でないという重大な欠陥を補うことにこそ、まずは全力を傾けるのが常識的な判断だというふうに思っています」
枝野代表はこのように答えたが、5月26日の参院憲法審では与党側が「法律上は発議できる」と答弁し、立憲民主の修正案提出者である山花郁夫議員も「法的には発議できると与党と共通認識を持っている。ただ政治的には、ルールの公正性が担保されていないから難しいんじゃないか」と答弁している。
「常識」や「ナンセンス」、「政治的」などを根拠に与党側が発議しないと考えるのは危険ではないだろうか。
このほか、会見では重要土地利用規制法案や次期衆院選、都議選、東京五輪や党首討論について質問が続いた。
枝野代表からの報告、および各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。