岩上安身は、2020年12月25日に早稲田大学大学院法務研究科教授・岡田正則氏にインタビューを行った。岡田教授は、菅義偉総理によって日本学術会議会員への任命を拒否された6名の研究者の1人。
岡田教授は「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人の1人であり、2018年には辺野古への米軍新基地移設問題で、他の学者とともに国に抗議する声明を発表するといった活動をしてきたことが、不当な任命拒否の理由ではないかと見られている。
岡田教授は2020年9月29日の夜、日本学術会議事務局長より「(官邸から)任命の名簿がきたけど、先生の名前がない。間違いかと思って再度確認したが『間違いではない。理由は言えない』ということだった」という知らせを受けて、初めて自分が推薦を受けながら任命されなかったことを知ったという。
振り返れば10月1日、「しんぶん赤旗」のスクープによって、日本学術会議が推薦する新会員105名のうち6名を、菅義偉総理が任命しなかったことが公になった。その後、菅総理による任命拒否の理由の説明は矛盾が多く、2転3転。業を煮やした菅総理は、日本学術会議を見直す、行政改革の対象にする、国の機関から外し独立行政法人化するなどと恫喝するかのごとき態度でのぞんできたが、各社の世論調査でも「総理の説明は不十分」が70%にも上った。
2020年12月10日、杉田和博・官房副長官兼内閣人事局長が、任命拒否を指示した証拠となる政府内部文書が立憲民主党の資料請求によって明らかになった。
12月17日には、共産党が請求した政府内部文書によって、菅総理が任命拒否は法解釈の変更ではないと主張する根拠になってきた「2018年見解」が、過去の政府解釈と矛盾することを当時から政府が認識していたことが裏付けられた。
菅内閣の支持率が急落し、任命拒否の根拠が崩れていく中、年内に学術会議のあり方をどうするか政府の方針を出すとしていた井上信治・科学技術担当大臣も、12月24日、日本学術会議の自主性による検討の報告を4月までに求めると大きく軟化した。
日本学術会議問題には、人治主義による強引な行政手法、学問・科学の軽視など、菅政権の性格が明確に現れている。公法学、行政学の専門家である岡田教授は、今回の任命拒否問題をどう見ているのか、岩上安身が話をうかがった。