2020年11月9日(月)午後3時から、東京都千代田区永田町の衆議院本館にて、第9回「学術会議任命拒否問題 野党合同ヒアリング」が開催された。
この日は野党側の議員、内閣府と内閣法制局の担当者に加え、日本学術会議の元会長で東京大学の大西隆名誉教授が出席した。
冒頭、立憲民主党・原口一博衆議院議員が挨拶し、次のように述べた。
「国会での質疑が明らかになり、政府の皆さんがどれだけお気の毒なところにいるのかということがよくわかった。結局、『事前調整』に応じなかったから、罰を与えたと言わざるを得ない。
しかも、政府方針への反対運動を懸念し、6人の中の5人については知らないのに、こういうことをやった。(中略)学術会議の山極壽一元会長の了解もなく『3年ペーパー』をつくる…。まったく違法に違法を重ね、そして、嘘に嘘を重ねるから、毎回、総理の自助努力がまったく効かない。そう思わざるを得ない。
早く白旗を上げて、反省をして、学術会議の独立と私達の法治国家日本の基本に立ち返るよう求めたい」
続いて、東京大学名誉教授・大西隆氏が国会の答弁における菅総理の発言について整理と説明を行った。
「2017年の日本学術会議が候補者を推薦する前に行われたという『事前調整』という言葉が出てきた。私は『事前説明』という言葉を使っている。(中略)選考委員会が17回、18回とあって、ここで候補者を決定して、幹事会に提案する。
その間に事前説明という行為があります。官邸での選考の事前説明では、全体の構成、男女比、地域分布を説明した。調整というと両者が歩み寄るというニュアンスがあるが、実際は説明ということになる」
野党側は、内閣府の担当者に対して、総理に日本学術会議の人事に介入する法的根拠について、説明を求めた。
野党側「人事権と任命権の違いについて説明してもらっていいですか」
内閣府担当者「任命権というのは総理にあります」
野党側「人事権はないですよね」
内閣府担当者「法律上は『人事』という言葉はでてきません」
「法律上は」という留保をつけながらも、人事権がないことを内閣府の官僚が認めたと受け取れる発言だ。
菅総理の6名の任命拒否の違法性についてはまだ決着がついていない。菅総理による6人の任命拒否が違法であることは明らかであるにもかかわらず、アカデミズムが軍事研究への加担を拒んできた、その壁を、日本政府がどうしても突破したいと目論んでいるからだと思われる。
そして、その背後には、激化する米中対立に伴い、日本が米国サイドに立って対中戦争の最前線に立たされる可能性があることを指摘しておく。IWJでは引き続きこの問題を報じていく。