2020年10月21日(水)、13時より衆議院本館第4控室にて日本学術会議任命拒否問題に関する野党合同国対ヒアリングが開かれた。
ヒアリングの前半は、10月5日に「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」を発表した映画人有志22名を代表して、「A」「i-新聞記者ドキュメント-」などのドキュメンタリー作品の監督である森達也氏が出席し、声明発表の経緯、その意図などを次のように語った。
「この声明の呼びかけは脚本家・監督の井上淳一氏によるもので、あまりにもな現政権の抑圧ぶりに対して声をあげるべきだという声に、是枝裕和氏、荒井晴彦氏、白石和彌氏らが賛同し、すぐに22人が集った。映画界の賛同者は時間をかければもっと集まるだろうし、第二弾、三弾と今後また募ることも考えている。
政権による学問の自由への侵害はすぐに表現にも及ぶだろう。映画人はこの問題を自分たちのこととして受け止めた」
森氏はそのほかにも同調圧力の強い日本社会や、ここ十年のマスメディアの後退ぶり、安倍政権から菅政権に替わっても悪びれもせずに不法行為が行われていること、映画史におけるレッド・パージ(赤狩り)についても論じた。
声明に名を連ねた映画人有志は、青山真治(映画監督)、荒井晴彦(脚本家、映画監督)、井上淳一(脚本家、映画監督)、大島新(映画監督)、金子修介(映画監督)、小中和哉(映画監督)、小林三四郎(配給)、是枝裕和(映画監督)、佐伯俊道(脚本家、協同組合日本シナリオ作家協会理事長)、白石和彌(映画監督)、瀬々敬久(映画監督)、想田和弘(映画監督)、田辺隆史(プロデューサー)、塚本晋也(映画監督)、橋本佳子(プロデューサー)、古舘寬治(俳優)、馬奈木厳太郎(プロデューサー、弁護士)、三上智恵(映画監督)、森重晃(プロデューサー)、森達也(映画監督)、安岡卓治(プロデューサー)、綿井健陽(映画監督・ジャーナリスト)の22名(敬称略)。
野党議員との質疑応答で森氏は、「この声明を発したことで我々はSNS上で、パヨクだの、中国共産党の回し者だのと、バカげたことを言われている。それは皆さんの方こそよくやられていてご存じだろうが。しかしどちらが正しいのかは明らかだ。これからの国会で野党議員の皆さんは臆せず、怯まず質問を発してほしい」と述べ、議員らは、励まされる思いだ、と感謝した。
ヒアリング後半では内閣府より出席の大臣官房人事課参事官 矢作修己氏、日本学術会議事務局企画課長 後藤一也氏、内閣法制局より第一部参事官 江崎崇氏らが出席し質疑が行われた。
しかし野党議員が問う学術会議法の解釈に関する決裁文書の有無、責任者の名などに対し、事務局企画課長は、わからない、お答えできない、持ち帰って判断を仰ぐ、などと応え、事態を進展、解明させる返答を一切行なわなかった。
詳しくは取材動画を御覧いただきたい。