2020年10月22日(木)、午後2時から、東京都千代田区永田町の衆議院本館にて、第8回「学術会議任命拒否問題 野党合同ヒアリング」が開催された。ヒアリングでは、日本学術会議が推薦した新会員候補の一部を菅義偉総理が任命を拒否した問題について、日本学術会議 大西隆元会長、また内閣府、内閣法制局より担当官が出席し、質疑応答が行われた。
冒頭、立憲民主党・原口一博衆議院議員が「私たちは常に国会で役所の皆さんや多くの国民の皆さんと接しているが、この学術会議の任命拒否の問題を発端として、改めて、様々な学問の世界、日本の学問の素晴らしさ、高さというものを実感することになった。(中略)『学術会議が国民の理解を得られない』というようなことを総理がおっしゃっているようだが、(理解を)得られてないのは、これを拒否している総理の方だ」と、菅総理を厳しく批判した。
続いて、東京大学名誉教授・元日本学術会議会長の大西隆氏より、本件の問題点についての話があった。
大西氏は、まず、任命拒否以降の政府の対応について、6名が任命されなかったことの理由がいまだに説明されておらず、任命されていない会員候補者の速やかな任命を求める要望書を提出したものの、10月16日現在、回答がないことを指摘。また、各社の世論調査でも、菅総理の説明では「不十分」が「十分」を上回っていることを強調した。
また、任命拒否自体の問題点について、大西氏は、「日本学術会議は日本学術会議法にもとづき、内閣府に特別な機関として設置され運営されている」とし、「会員選考のステップも規定されており、選考基準や方針もきちんと定められている。そういった事実を踏まえて、菅総理は6人を任命しない理由を説明すべきである」と訴えた。
大西氏は、加えて、氏名、年齢、性別、専門分野などの限られた情報しか掲載されていない推薦候補者一覧表の記述から、菅総理が一体どのようにして総合性・俯瞰性の欠如を判断したのか? という根本的な疑問も提起した。
菅総理は、10月21日に訪問先のインドネシア・ジャカルタで行った会見で、日本学術会議の会員の選任について、「現在の会員が後任を『推薦』することも可能な仕組みになっている」と述べた。菅総理は、以前官邸で行われた内閣記者会所属の報道各社によるグループインタビューで「会員が後任を『指名』することが可能」と発言し、事実誤認だとして批判されていた。
大西氏は菅総理が発言内容の「指名」を「推薦」に修正したことについて、「非常に無責任ではないかと感じた」と述べた。
大西氏からの話を受け、ヒアリング参加の野党議員らと大西氏との質疑応答となったが、その詳細については、是非、全編動画をご覧いただきたい。
内閣府大臣官房人事課参事官の矢作修己氏は、任命されていない6名についての政府側の今後の対応について聞かれ、「今回、99人を任命しましたということで、これにより、今回の任命手続きは終了したものと考えている」と答えた。
そして、「欠員については、あくまでも法律上の規定では、日本学術会議の推薦にもとづいて、内閣総理大臣が任命することになっているので、法律の手続きに則って、行っていくということだと思う」と述べた。
論理的な整合性、そして、対話において論を尽くすといった「前提」を根こそぎ捨て去った非常に不誠実な回答である。