「政治権力は真ん中から腐る」2013年以降の中央省庁人事の官邸支配から始まった権力暴走! 任命拒否された岡田正則教授が語る事件の背景から違憲性まで~11.5緊急学習会「日本学術会議任命問題を考える」 2020.11.5

記事公開日:2020.11.9取材地: テキスト動画
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(取材・文:山内美穂)

 「俗に『魚は頭から腐る』というが、政治権力は真ん中から腐る」。

 日本学術会議が推薦した、新委員の推薦名簿105名のうち、6名の任命を菅義偉総理が拒否した問題で、任命を拒否された岡田正則・早稲田大学教授は、菅政権をこう批判した。

 「1か月ちょっと前までほとんど無名の自分が急に世間に露出されることになった」と、岡田教授は戸惑いを隠せない様子で、約1時間半、事件の発端から、その背景、任命拒否の違憲性・違法性までをじっくりと語った。

 主催は「武蔵野憲法ゼミナール」。1986年から活動を続け、今回の緊急学習会は360回目を迎えた。この回を経て、菅総理に対し、任命拒否の撤回を求める要請書を提出する方針だ。

 岡田教授の専門は行政学。金沢大学、南山大学を経て、2006年から早稲田大学大学院法務研究科の教授として教鞭を取っている。初めて日本学術会議の会員(連携会員)となったのは2011年のこと。東日本大震災後の復旧復興制度の見直しなどの研究を行ってきた。

 2018年には、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地移設問題で、ほかの学者とともに国の対応に抗議する声明を発表。「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人の1人でもある。

 9月29日の夜、オンライン授業が終わった後に、岡田教授は日本学術会議事務局長より知らせを受けた。「(官邸から)任命の名簿がきたけど、先生の名前がない。間違いかと思って再度確認したが『間違いではない。理由は言えない』ということだった」。

 「学術会議が決めたメンバーを総理大臣がダメよと言っていいものなのか?」フツフツと沸く疑問を抱きながら、10月1日の日本学術会議の総会に、同じく任命拒否された小沢隆一・東京慈恵会医科大学教授、前会長の山極寿一氏らと「傍聴席」にて参加した。

 「学術会議の推薦通りに任命する義務はない」という菅総理答弁の違憲性・違法性の焦点になるのは、日本国憲法23条(学問の自由)と、日本学術会議法条文7条2項、17条などだが、そもそもの問題の背景として見過ごしてはならないのが、2013年以降の政権による中央省庁人事の掌握、その後の内閣法制局の破壊だと、岡田教授は力説した。

 「それらにより、モリ・カケ・サクラ等での公文書管理制度を破壊、国民が国を監視する最も重要な機能を排除した。辺野古埋立て問題で地方自治政治も破壊、検察官人事支配による政権犯罪取り締まりの排除・・・と続き、今回の学術会議人事介入へと続いている。

 今後も大学、メディア、弁護士会等公共団体、そして市民へと監視の目を光らせるであろう。仮想の敵を作り、相互を分断させ、従属するように持っていく政治が、世界共通の現象である。『既得権益者』という誤ったレッテルを学術会議の学者に貼っているのもその一端だ」。

 岡田教授はこのように語り、危機感をあらわにした。

 次に岡田教授は、今回の総理大臣の任命拒否について、はっきりと違憲・違法であると断言した。その根拠を、こう述べた。

 「日本学術会議は、時の政権から独立した立場で、科学技術についての政策を考えて、時には政府の政策をきちんと批判して修正する、こういう役割を与えられている。あるいは、国際的なアカデミー組織の必須の条件として、政府からの独立性というのがある。そのための条文が1~3条。

 総理大臣が学術会議の構成員の人事を左右できるということになると、日本学術会議は、日本を代表する学術機関として、国際的な学術組織の構成員としての資格がなくなってしまう。そのくらい違法なことを総理大臣がやろうとしている。

 菅総理大臣や加藤官房長官は、『今回の任命拒否は学問の自由とは関係ない』という発言をしているが、これはとんでもない口からの出まかせ。確かに私個人が研究することに口を突っ込まれたわけではないが、1~3条に明らかにされているように、これは思想信条の自由、学ぶ自由、多様性の確保、そういうことを保障する枠組みとして、学術会議がある。

 学術政策を政府とは離れた立場できちんと点検したり、提言したりする外枠として存在している。(政府が)外枠を壊す、ブレーキを破壊する。これが今回の学問の自由を侵害するということになる。

 政権に何を学問すべきかを決めさせるのは非常に危険である。そういうことがないように独立した立場で、やってはいけないことがあれば、それを提言していくのが学術会議の役割。学問の自由(憲法23条)を政治に従属させるのは非常に危険なこと」。

 名簿を見ないで任命拒否を判断した点について岡田教授は、以下のように解説した。

 「菅首相は『99人の名簿しか見ていない。6名は入ってなかった』、『名前も知らない。何やったかも知らない。国民に責任を持つために排除した』というけれど、いったいどういう責任を取ろうとしているのか?どんな理屈をつけても違法である。菅さんは残念なことだが、法律の常識がない。判断をする前提を欠いている状態で判断をしてしまう。この点で違法だということになる」。

 学術会議の名簿にもとづかずに恣意的な選別を行った点については、

 「この間の国会で菅首相は学術会議の推薦通りに任命する義務はないと繰り返し答弁しているが、その根拠は何か?と問われると、2年前の内閣府の内部文書が唯一の根拠として出している。ここでキーワードとなるのが『所轄』という言葉。その言葉を巧みに解釈変更して、あたかも総理大臣が人事を左右できるように読ませている」と指摘した。

 詳しくは取材動画をご覧いただきたい。

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  • 日時 2020年11月5日(木)19:00~
  • 場所 武蔵野スイングホール スカイルーム(東京都武蔵野市)
  • 詳細 マガジン9 
  • 主催 武蔵野憲法ゼミナール

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