菅総理による日本学術会議新規会員への人事介入の件は、学問の独立性の侵害、任命権の解釈の恣意性が問題となっている。任命拒否された6人は、軍事研究解禁に反対するのではないかと、菅政権に判断され、任命が拒否された疑いがある。
岩上安身による日本学術会議トップの関係者に対する取材によれば、現在、日本学術会議内部では、軍事研究解禁賛成派と反対派のバランスがギリギリのところに差し掛かっている。この6人を任命しないことで、賛成派が反対派を上回ることになる可能性が高いため、周到に準備した上で、任命を拒否した可能性がある。
▲菅義偉総理(Wikipediaより)
岩上安身は、この件を喫緊の重要問題として、各界の学者・研究者にメッセージをお願いした。今回は、早稲田大学・水島朝穂教授、明治学院大学国際平和研究所研究員・木下ちがや氏、法政大学・中沢けい教授、神戸学院大学法学部・上脇博之教授からメッセージをいただいた。以下に、お寄せいただいたメッセージを紹介する。
菅総理による日本学術会議新規会員の任命拒否問題は、日本が身の丈にあわない軍事国家へ向かう重大な分水嶺!岩上安身が各界の学者・研究者にメッセージを依頼!
日本学術会議新規会員への任命を拒否された6名は、いずれも安倍政権下で特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などに異論をもっていたことがわかっている。産軍学共同に反対すると考えた菅政権が、周到に準備した上で任命を拒否した可能性がある。
岩上安身が日本学術会議トップの関係者に独自に取材した結果として、この6名を外すことによって日本学術会議内部で軍事研究賛成派の数が、反対派の数を上回る可能性があるとの情報を、2020年10月6日の日刊IWJガイドでお伝えした。
6名の任命拒否は、「学問の自由」の問題を超え、産軍学が一体となって、日本が身の丈にあわない軍事国家へと向かう重大な分水嶺となるかもしれない。岩上安身は、この件を喫緊の重要問題として、各界の学者・研究者にメッセージをお願いしている。
岩上安身からの呼び掛け文──お知り合いの有識者様に転送を!
学者・研究者のみなさまに送った「日本学術会議人事介入問題に関するコメントのお願い」を掲載する。お知り合いに各界の有識者様がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご転送をお願いしたい!
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インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(IWJ)代表の岩上安身です。
このたびは菅総理による、日本学術会議新規会員への人事介入の件で、コメントをいただけないかと思い、ご連絡差し上げました。
今回任命を拒否された6名の方は、いずれも安倍政権下で特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などに異論をお持ちだったことから、軍学共同に反対すると考えた菅政権が、周到に準備した上で任命を拒否したことがうかがえます。
これは学問の自由に対する静かなテロだ、と考えています。
また、IWJが取材したところでは、この6名を外すことで、日本学術会議内部で軍事研究賛成派の数が、反対派の数を上回る可能性があるとの情報も得ました。
この6名の任命拒否は、「学問の自由」の問題を超え、産軍学が一体となって、日本が身の丈にあわない軍事国家へと向かう重大な分水嶺となるかもしれません。
IWJのサイト上で、多くの有識者の皆様からの見解・ご意見・コメントをいただき、掲載させていただければと考えています。
また、表には出せないけれど、匿名で良ければ情報提供が可能であるとお考えでいらっしゃれば、その旨お知らせいただけますようお願いいたします。
可能でしたら、下記までメールかFAXでご返信いただければ幸いです。
突然のお願いで大変恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いします。
岩上安身 拝
MAIL: office@iwj.co.jp
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日本学術会議から「学術」がなくなって、「日本会議」となってしまうかもしれない──早稲田大学・水島朝穂教授
岩上安身のインタビューにご登場いただいた、早稲田大学・水島朝穂教授は、ご自身のホームページ「直言」で公開された考察をお寄せくださった。水島教授のご許可をいただき、ここに抜粋でご紹介する。
ぜひインタビューも、あわせて御覧いただきたい。
▲水島朝穂教授(2020年8月26日IWJ撮影)
水島教授は、「スガ的手法」の特色を「陰湿で粘着質な『飴と笞』政策」と指摘、菅総理は「相手のことを執拗に調べ、その弱さまで知り抜いた上で繰り出してくるので、実に手ごわい」相手だと述べている。以下に抜粋し、紹介させていただく。
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(日本学術会議法の)26条は、「内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができる。」と定める。内閣総理大臣は国務大臣を任意に罷免できるが(憲法68条2項)、学術会議会員の場合は、「不適当な行為」があった場合でも、「日本学術会議の申出」なしに会員を辞めさせることはできない。したがって、会員任命時の「日本学術会議の推薦に基づいて」という法7条2項の定めは決して軽くなく、内閣総理大臣の判断を拘束するものといえる。