【国会ハイライト】日本学術会議問題で政府が選考・推薦段階で政治介入していた新事実発覚! 共産党小池晃氏の追及に菅総理の答弁無能が露呈! 官僚のレクに野党から「自助!」と野次られ茂木外相にも笑われる始末! 2020.11.11

記事公開日:2020.11.11 テキスト
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(文:IWJ編集部)

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 「以前は学術会議が正式の推薦名簿を提出する前に、様々な意見交換の中で、内閣府の事務局などと学術会議会長との間で一定の調整が行われていた」「(今回は)推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」

 2020年11月5日、参議院予算委員会で菅義偉総理は、日本学術会議の任命過程についての自民党の二之湯智議員の質問に、上記のように答弁した。

 これまで菅総理は、日本学術会議の会員6名の任命拒否について様々な言い訳を繰り出しては矛盾点を指摘されてきた。

 しかし、任命以前、推薦名簿を提出する前の選考や推薦の段階で「一定の調整をしてきた」との菅総理の発言は、「学術会議が会員の候補者を選考し、内閣総理大臣に推薦する」と定めた日本学術会議法第17条に反する、明らかに違法な政治介入である。

▲日本共産党・小池晃参議院議員(画像はすべて参議院インターネット審議中継より)

 日本共産党書記局長の小池晃参議院議員は、この二之湯議員への答弁があった翌日11月6日の参議院予算委員会で菅総理を追及。これに対して菅総理の答弁は、質問の意図からズレてゆくばかりで、たびたび審議が中断した。

 加えて、あらゆる質問に対して菅総理自身では答弁できず、いちいち官僚が菅総理に答弁をレクチャーする様子に、苛立つ野党側は総裁選での菅総理のスローガン「自助・共助・公助」を皮肉り、「自助、自助!」「まず、自分でやってみる!」などと野次を飛ばした。この野次には、菅総理の身内であるはずの茂木敏充外務大臣までが笑い転げる姿が、審議中継のカメラにとらえられている。

 学術会議6名の任命拒否をめぐっては、前述の5日の参院予算委で加藤勝信官房長官が、立憲民主党の蓮舫議員への答弁で、杉田和博官房副長官と内閣府のやりとりが記録として保存されていることを明らかにした。菅総理も杉田官房副長官から任命除外に関する報告を受けたことを認めた。その一方で、加藤官房長官は「人事に関する記録だ」との理由で、記録の国会提出を拒否した。

 他方、日本学術会議の会員候補6人の任命拒否問題に対し、人文社会系の226学会が参加・賛同した、6名の速やかな任命を求める共同声明が11月6日、内閣府に提出された。

 また、このうち、哲学や宗教、教育学など10学会の会長が、同日日本記者クラブで記者会見を行い、政府の対応を「批判的議論を封じ込め、政府の意向に沿った同調圧力を強めるもの」などと批判した。

 以下に、2020年11月6日の参院予算委員会の審議から、小池晃議員の日本学術会議問題に関する追及部分を抜き出し、全文をテキストにした。ぜひ、御覧いただきたい。

記事目次

菅総理の5日参院予算委での答弁で新展開!? 「以前は事務局と学術会議会長との間で一定の調整が行われていた」の「一定の調整」とは何か!?

山本順三予算委員長「小池晃君」

小池晃議員「日本共産党の小池晃です。日本学術会議委員6名の任命拒否について聞きます。

 総理は昨日、自民党の質問に対して、『以前は事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていた』と、答弁されました。『以前』とは、いつのことでしょうか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅義偉総理「え、今回でなくて、その前です」

 菅総理、席に戻ろうとして、議場から笑い。マイク前に戻り、

菅総理「ですから、たぶん3年前だと思います」

▲菅義偉総理

山本委員長「小池晃君」

小池議員「2017年の半数改選時、ということですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「ええ、そうです」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「以前というけど一回だけだったということですね。で、『一定の調整』というのは何ですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「えー、まず、一昨日に官房長官から衆議院の予算委員会において、ご説明をさせていただいてます。

 『人事のプロセスについては基本的には説明は控えさせていただいてますが、可能な範囲で申し上げれば、以前は学術会議から正式の推薦名簿が提出される前に、様々な意見交換の中で、内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で、一定の調整が行われていた』

 ここは、一昨日官房長官が申し上げたところであります」

小池氏、着席のまま「『一定の調整』なんて言ってないよ。『一定の調整』なんて言ってないでしょう?」

菅総理「ちょっとお待ちください」(席に戻って官僚と相談)

小池晃氏、着席のまま「『一定の調整』なんて加藤官房長官、言ってないんですよ。間違いだよ、これ」「関係ない」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「あの、今、官房長官の件、私、失礼しました。

 えぇ、11月4日に、学術会議から正式な推薦名簿を提出する改選前においてもですね、様々な意見交換が内閣府事務局と学術会議の会長との間で行われていた。そうしたやりとりをふまえながら、場合によっては補充人事を、補欠人事と言うんでしょう、それが出されてなかったという場合もある。別に見送りさせたというのではなくて、結果的に、日本学術会議が推薦したが行えなかった。

 まぁ、こういうことを、11月4日に、発言をしてます」

 菅総理、いったん席に戻って官僚と相談。

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「『一定の、まぁ、調整』でありますけども、『任命にあたっての考え方』を申し上げて、まぁ、意見交換をしたと、まぁ、そういうことです」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「いや、意見交換だけじゃないでしょ。『一定の調整』でしょ。意見交換の結果、どういう調整をしたんですか? と私は聞いている」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「これ、3年前の話ですけども、ですから任命にあたっての考え方を申し上げ、まぁ意見交換を行ったと。まぁ、そういうことであります。内容については、差し控えたいと思います」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「『一定の調整』の中身はまったく答えてません」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「人事のプロセスの説明は差し控えますが、任命にあたっての考え方を申し上げ、その意見交換をしたと、そういうことだと思います」

「人事のプロセスだから説明を控える」ということは個別の人事で「調整」をしたのか!?

山本委員長「小池晃君」

小池議員「『人事のプロセスだから説明を控える』ということは、『人事だから言えない』ということは、個別の人事に関わる調整をやったということですね?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「任命にあたっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということです」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「答えてない! だって個別の人事だから答えられないと言ったんだ! だったらば、個別の人事に関する調整、やったんですか? と、私、聞いたんだ。答えていただきたい」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「個人の人事のプロセスの説明は差し控えますが、いずれにしろ任命にあたっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったと、まぁそういうことです」

 ここで審議が一時中断。与野党理事が相談。

小池議員、着席のまま「ちょと質問に答えてない。答えてない、これ〜。僕は個別の人事、聞いてませんから、一切。個別の人事を聞いてないんです。個別の人事の調整やったんですか? って聞いたんです。個別の人事やったのかどうか、イエスかノーかで答えてくれればいいだけ」

▲審議を中断し協議を行う予算委員会理事

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「まぁ、『調整』というのは任命にあたっての考え方を申し上げ、意見を申し上げたということであります」

 審議が再び中断。

小池議員、着席のまま「答えてません。個別の人について答えられないって、個別の人事についての調整やったんでしょ? 個別の人事についての調整やったのかと聞いてる。イエスかノーかですよ。もう単純な質問なんだこれは。だって個別の人事だから答えられないっていうんだから」)

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「先ほどと同じになりますけども、」

 議場全体「え〜っ」と声があがる。

菅総理「人事の、人事のプロセスの説明は、これ、差し控えたいと思います。任命にあたっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「まぁ、いや、いいや、いいや。

 あのね、私は、人事のプロセスだから答えられない、すなわち個別の人事に関わる問題には答えられないっていうわけでしょう? ということは、この調整っていうのは個別の人事に関わる調整ですよね? イエスかノーかと聞いてるんです」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「そこは個別とかそういうことではなくて、人事に関わるプロセスについてはお答えすることは差し控えさせていただきます」

山本委員長「小池晃君」

小池議委員「人事のことが問題になっているときに、人事について答えられなかったら、議論にならないじゃないですか! こんなのダメですよ!」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「今議論してることは3年前のことですから、今回のことと違います。ただ、個人の任命の理由については、政府の機関に関する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由については人事に関することであり、お答えは差し控えさせていただきます」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「私は個人の人事の理由を、一切聞いてません。一切聞いてません。この、調整は何か? と聞いてるだけです」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「そら、具体的にどのようなことか、そうしたことも含めてお答えをすることは控えます」

 審議が再度中断。

小池議員着席のまま「人事に関する、答えられないんだったら何にも答えられなくなるよぉ」「そうだよぉ。そうだよぉ。新しいこと言い出すからこんなことになちゃったんだよぉ」「よけいなこと言いだすから、こんなことになっちゃったんだ」

「一定の調整」とは名簿の変更ではないのか!? 自分から言い出した「一定の調整」の意味を何度質問しても「答えを差し控える」としか答弁しない菅総理

山本委員長「ま、そしたらもう一回、答弁してもらいますから、議席についてください」

山本委員長総理に向かって「総理、よろしいですか? もう一回答弁を」とうながす。

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「えぇ、プロセスの説明は差し控えさせていただいていますが、私自身が『調整』と言ったのは、任命にあたっての考え方であります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのね、プロセスについて答えられなかったら、この議論成り立たないと思いますよ、私。プロセスが問題になってんじゃないですか。

 でね、総理は、『今回の任命にあたっては、推薦前の調整が働かず、結果として学術会議から推薦されたものの中に、任命に至らなかったものが生じた』と、昨日述べてるんですね。

 ということは、この『一定の調整』というのは、これは先ほど認められた個別の人事に関わる問題なんですよ。だって個別の人事は答えられないって最初言ったんだから。

 で、この『一定の調整』っていうのはすなわち、名簿の一部を変更するということは含まれるわけですね?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「考え方の調整であります」

 審議がまたしても中断。

小池議員、着席のまま「答えてない、私が言ったことに答えてないよ。まったく答えてないよ。なぜ? 違う角度、別の角度で聞いたじゃないですか、今。違う角度で聞いたじゃないですか、今。入るんですね? って聞いてる。名簿の変更が入るんですね? って聞いてる。イエスかノーかなんですよ」「ただ単に意見交換じゃないでしょ? 『名簿を変えてくれ』って言ったんでしょ?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「えー、人事のプロセスの説明は差し控えますが…、差し控えます。今後の人事に支障をきたしますので、差し控えるということであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのねぇ、ご自分で『一定の調整』って言い出したのは、そちらですよ! 自民党の質問に答えたんですよ。で、答えた言葉を、私は説明を求めてるんですよ。それに答えなかったら、国会審議、成り立たないじゃないですか! ダメですよ、そんな!」

 議場から拍手。

小池議員、着席のまま「『一定の調整』が何だかわかんないよ、これじゃあ」

「一定の調整」とは「議論」だと答弁する菅総理に、「議論」と「調整」の意味の違いを説く小池議員! さらに見当外れな答弁で議場の失笑を誘う菅総理!

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「私が昨日の発言の中で『内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われた』と、『任命にあたっての考え方が行われた』ということであります」

山本委委員長「小池晃君」

小池議員「あのね、任命の考え方を議論しただけって、『調整』でしょ? 『調整』ってことは、議論して何かこう、動かすわけでしょ?

 だから、学術会議の方は、『いや、まぁ、こういうこと考えてますよ』と。で、それに対して、政府の方は『いや、この人はちょっと、困るな』と。いうようなことがあって、それでその、名簿から外れると、いう経過があって、はじめて『一定の調整』になるんじゃないですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「考え方について、議論をしたということであります」

 審議がまた中断。

小池議員、着席のまま「議論じゃないでしょ。議論じゃないでしょ。調整と議論は違う。これ、むちゃくちゃだよ、これ。議論しただけなんですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「『一定の調整』ということにつきましては、任命にあたっての考え方をすり合わせたということであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのね、議論したと。考え方、すり合わせたと。それだけじゃ、あるはずがないんです。だって、『今回は、調整できなかったから任命しなかった』と言ったじゃないですか!

 だから、『調整』という行為があったわけでしょう? 何らかの外形的な。だから、任命しなかったわけでしょう?

 意見交換しただけのわけがないじゃないですか。『一定の調整』というのは、学術会議が提出しようとしてた名簿の中身を変更させるということの他に、何かありますか?

 それがなかったから、今回は任命しなかったわけでしょう? そう言ったじゃないですか!」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「今回は、学術会議と何も行ってません」

 議場から笑いがわき起こる。審議、当然のごとく中断。

小池議員、着席のまま「ちょっと、それ、おかしい。だって、『調整』の意味を聞いてるんだから。今回、調整しなかったことは知ってるよ。だって、おかしいでしょう。してないよ、答弁。これちょっと週明けにしようか。自分で言ったことなんだから自分で責任持ってくださいよ」

「『今回、調整できなかったから、任命しなかった』と総理が言ったのだから、『調整』とは名簿変更のことではないのか?」理詰めの小池氏の質問に「『調整』とは任命の考え方のすり合わせ」だと意味の通らない答弁を繰り返す菅総理

山本委員長「席についてください。それでは、引き続きお願い申し上げます。今一度、総理に対して、質疑者の意図も込めた質問を、再度お願いしたいと思います。小池晃君」

小池議員「明確な質問してんだと思うんですけどね。

 いや、私は今回は調整しなかったことは知ってますよ。しかし、『今回、調整できなかったから、任命しなかった』と、総理が言ったんでしょ?

 ということは、『調整』ということは、単に意見交換しましたと、意見、それぞれ言い合いましたというだけじゃないでしょうと。『調整』した結果、何らかのことがあるから、『調整』と言ったわけでしょ? で、今回はその『調整』がなかったから、任命しなかったと言ってるわけでしょう?

 だから、『調整』というのは、そのね、やはり名簿を変更するという行為が、『調整』ということになるじゃないですかと、あたりまえのことを聞いてるんだ。イエスかノーかで答えてください」

 議場から拍手が起こる。

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「まず、今回は『調整』を行なってませんので、そこはお答えすることは控えます。で、私自身が『調整』ということを申し上げたのは、任命にあたっての考え方をすり合わせる、そのことについて『調整』と申し上げました」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「任命についての考え方を…、んん、もう! 任命についての考え方を交換するだけが『調整』だとすれば、それをやらなかったから任命しなかったというのは、成り立たないんじゃないですか?」

秘書官の講義やメモがなければ答弁できない菅総理に「まずは自助!」との野党野次! 身内の茂木外相までが身をよじって大受け!

森裕子理事、着席のまま「秘書官、出てくるな。総理の考え方を…」

山本委員長「ちょおっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ」

小池議員、着席のまま「講義を受けてばっかりじゃないか、答弁」

森裕子理事、着席のまま「休憩しますか?」

小池議員、着席のまま「自ら答弁してみろよ」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

森裕子理事、着席のまま「自助、公助。まずは自分でやってみてください。自助、自助」

 答弁に立つ菅総理の後ろで、茂木敏充外務大臣が吹き出す。

▲野党の野次に吹き出す茂木敏充外相

菅総理「調整、推薦前の調整が働かずに結果として、学術会議からの推薦者の中に、任命に至らなかった者が生じたということです。結果として、そ、そ、それにあのぉ…、調整を行ってませんので、おこ、お答えは、できないということです」

山本委委員長「小池晃君」

小池議員「調整を行なっていない意味の『調整』というのは、(吹き出しながら)何かと、私、聞いてんの。ね。それは、人事について、名簿を変更することが今回できなかったから、ね、学術会議から出てきた名簿について、何らかの、こう、改変を加えることができなかったから、任命を、こう、できなかったと言ってるんじゃないですか? そういうことでしょ?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「『調整』ってのは先から申し上げてますけど、任命にあたっての考え方をすり合わせるということです」

 審議がまたまた中断。

小池議員、着席したまま頭をひねり、「すり合わせ、すり合わせ。ま、いいや。山添(拓・理事)君、質問するわ」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「今あの、総理は『すり合わせた』とおっしゃったんですね。じゃ、何と何をすり合わせたんですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「まさに、『調整』というのは、任命にあたって考え方をすり合わせたという意味でありまして、それは人事に関することでありますので、そこは控えたいと思います」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「ま、いいや、いいや、いいや。

 まあね、要は答えられないんですよ。やっぱり結局ね、個別の人事について協議をして、で、お互いに意見出し合って、で、『これは外したほうがいいんじゃないか』とか、そういったことをやったわけでしょ。ね、今年は、それができなかった。だから、任命を拒否したと、いうことを言ってるわけですよ。

 学術会議法第17条は、『会員の選考と推薦は学術会議が行う』と、明記してるわけですね。で、法の3条では、『学術会議の職務は独立して行われる』となってるわけでしょう。これ、政府からの独立なんです。

 で、政府が委員の選考や推薦に、実質的に関わることなどは、学術会議法に照らして、断じて認められないことじゃありませんか?

 で、『政府との事前調整がなかったから、推薦通りに任命しませんでした』。そんなこと言い出したらば、まさに、学術会議の独立を脅かし、政治介入そのものではありませんか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

 議場内複数の野次「秘書官でてくるな!」「自助、自助!」「自分でやってみる。まず、自分でやってみる!」

 答弁に立つ菅総理の後ろで、茂木外務大臣再び身をよじって笑う。

▲野党の野次に身をよじって笑う茂木敏充外相

菅総理「ま、いずれにしろ、先ほど来申し上げてますけども、『調整』については任命にあたって考え方をすり合わせたということであります。

 そして、これは3年前の話です。今年については行なってませんので、お答えできませんということを、申し上げてます。

 それと同時に、私ども、政府として推薦は、学術会議しかできないということは、十分に承知しております」

密室協議で学術会議推薦者名簿の変更を迫り、学術会議側が応じなければ任命拒否!「露骨な政治介入じゃないか!」との小池氏の追及に憲法15条を持ち出し「公務員の任命権」だと主張する菅総理

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのね、推薦する前に介入したんじゃないですか。密室で協議をして、名簿を変えるように迫ったわけでしょう。それを学術会議側が応じなかった。あるいは合意しなかった。で、一定の調整ができなかった。そうすると、今回のように任命を拒否することがありうるんだと。

 これ、露骨な政治介入じゃないですか? あなたがたがやってるのは、そういうことなんですよ。そのことは認めますか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「まず、昨日の答弁で申し上げまいたけど、いつも今回の任命の、あぅー…、任命の考え方について申し上げることですが、日本学術会議法の規定にもとづき、任命権者が、学術会議に求められる役割等もふまえて適切に判断するという考え方について、毎回の任命でかわりません。

 学術会議は日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されておりますが、学術会議の会員の任命は憲法第15条第1項の規定の趣旨をふまえ、任命権者である内閣総理大臣が、日本学術会議法に沿って、国の行政機関である学術会議の役割もふまえて公務員に任命する。こうした任命権の行使が会議の職務の独立性を侵害することになるとは考えていません」

「今、問題になっているのは任命の話ではなく、選考と推薦への政治介入!」小池氏の追及にまったく噛み合わない菅総理の答弁!?

山本委員長「小池晃君」

小池議員「今までも何度も何度も言ってきたことなんだけど、今まで言ってきたことと今回言っていることは違うんですよ。

 今まで総理は、『推薦された人をそのまま任命しなければならないというわけではない』と。このこと自体、私、違法違憲だと思いますよ。

 しかしこれは任命段階の話でしょ。ところが今回の話は任命以前の話なんですよ。学術会議会員候補者の選考と推薦の段階の話なんですよ。

 段階が違う。そのことは認めますね?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

官僚から文書を受け取る菅総理に、小池議員、着席のまま「渡さなくていいよ。何で? 何で公助が必要なの? 何で官僚の公助ばっかり受けるかな」

菅総理「今回は、先ほど申し上げましたけど、調整、任命にあたっての考え方のすり合わせ、これは行なってないということです。

 ですから、昨日の答弁でも申し上げましたように、これはいつも今回の任命の考え方について申し上げることですが、日本学術会議法上の規定にもとづき、任命権者が、学術会議に求められる役割等もふまえて、適切に判断するという考え方については、毎回の任命で変わってません」

 審議が中断。

小池議員、着席のまま「全然理解されてない。全然質問が理解されていない。全然違う。質問の趣旨、わかってないんだよ」

小池議員、さらに自民党理事に向かって「ちょっとよく丁寧に説明してあげてください。あの秘書官、余計な、なんかトンチンカンなメモ渡してんじゃないですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「えぇ、推薦前の話であることはわかっておりますが、これはいつも、今回の任命の考え方について申し上げていることですが、日本学術会議法上の規定にもとづき、任命権者が、学術会議に求められる役割等もふまえ、適切に判断するという考え方については、毎回の任命でも変わりません」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「今回のことが推薦前のことだというのは認めました。で、要するに会員候補者の選考と推薦の段階で政府が意見を言えますと、で、政府が意見を入れられなければ任命しないこともできると、いうことですね?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「任命にあたっての考え方を、今、あのぉ、すり合わせたということです」

 審議が中断。

小池議員、着席のまま「シンプルな質問してんだって。今の答えてくださいよ、ちょっと」

小池議員、着席のまま自民党理事に向かって「ちょっと理事だってわかるでしょ、これ。私が言った意味わかるでしょう?」「『はい』って言ってくれれば、今のは『はい』っていってくれればいい話でしょう」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「推薦前の話であることはわかってますが、任命についてのすり合わせを行ったということであります」

小池議員、着席のまま「ん? あります?」

菅総理「任命、に、任命の、についてのすり合わせの考え方を、行ったということです」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「だから私が聞いたことに全然答えてないんですよ。ね。

 推薦前の話だってことは認めたんだ。要するに推薦前の段階で政府が、学術会議に意見を言えると。で、もし学術会議の方で意見が入れられなければ、それはもう、そういう推薦が出てきたら、これは任命しないこともありうると、いうことなんですね? と」

小池議員、着席のまま「『はい』って言ってくれりゃいい。そういうことでしょう? そういうことでしょう? だって」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「今申し上げましたように、考え方について、任命についての考え方について、その話し合いをしたということです」

見かねた加藤官房長官が野党の野次の中で答弁! 選考・推薦段階での意見交換は強制ではないが結果として任命拒否!?

 審議が中断。

小池議員、着席のまま「だめ、これだめ。ちょっとこれ、話になんないよ。これはひどいよ。こんなシンプルなこと聞いてるだけなのに。『はいそうです』って言えばいいじゃん」

 すると、加藤官房長官が手を上げて立ち上がる。

小池議員、着席のまま「官房長官いいよ。何で総理の答弁で官房長官が出てくるの。官房長官いいよ」

議場から、複数の野次「公助のやりすぎだよ、公助の」

山本委員長「とりあえず、席に着いてください。席に着いてください」

森裕子理事、山本委員長に向かって「話が進まないじゃないですか。総理の昨日の答弁ですから。何で官房長官が出てくるんですか。いやいやいや、ダメでしょう」

山本委員長「とりあえず座ってください。自席に戻ってください。はい、加藤内閣官房長官」

▲加藤勝信官房長官

加藤勝信官房長官「ま、この間の経緯、総理と共有しているわけでありますから、そして、先ほど総理、答弁されたように、この推薦名簿が提出する前において、私どもの任命にあたっての考え方等について、学術会議側、あるいは事務局を介して、それぞれ意見交換をしてきた、ということであります。

 で、それをふまえて、当然学術会議はご自身の判断で推薦名簿を出され、そしてその推薦名簿について、私どもは従前、総理が申し上げているように、まさに任命の考え方にのっとって、判断をさせていただいたと、こういうプロセスであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「いや、だから、僕が言った通りじゃないですか。会員候補者の選考と推薦の段階で政府は意見を言えますと。で、意見を入れられなければ任命をしないこともできると。そういうことですねと。そうでしょう。何で違うのか、説明してください」

山本委員長「加藤官房長官」

加藤官房長官「ですからあくまでも考え方を申し上げてるんで、こうじゃなきゃいいとか、こうじゃなきゃダメだとか、そういう話ではないわけでありまして、それをふまえて正式な推薦名簿が出されてきた、それをふまえて、そして、我々が考え方の、任命の考え方にのっとってですね、任命をする、あるいは任命にいたらない方が、ま、結果として出ていたと、こういうことであります」

 審議が中断。

小池議員、着席のまま「官房長官には聞いてない、一切。総理に答えてもらって。総理に答えてもらってください。総理の答弁なんだから」

どこまでも答弁能力のない菅総理! 何度もの審議中断を経てやっと答えた一言は「今、官房長官が答えたことと一緒」!?

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「今、官房長官が答えたことと一緒であります」

 議場がさらに騒然となる。

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのね、総理なんでしょ、総理! 総理がこんなことでいいんですか? ダメです、今のは! 総理の言葉でしゃべってください!」

山本委員長「どうぞ、質問を続けてください」

 審議が中断。

森裕子理事、与野党委員同士の話し合いで「こんな答弁ありますか? 自分が昨日言ったのに、何で? もう一回自分の答弁でしゃべってくださいよ」「今までと違うことを、総理がそもそも自分から答弁したんですよ、昨日」

小池議員、着席のまま「総理が自分の言葉で答えればそれで。そしたら次行くから。総理が自分の言葉で答えれば、次行くよ」

小池議員、着席のまま、菅総理のそばでメモを書いている秘書官を指して「原稿書いてんの?これ。なんか原稿書いてるよ、手書きで。即席答弁書が、今、書いてるよ。加藤さんが言う通りなんだったら別にメモなんかいらないのに」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「推薦前において、任命の考え方のすり合わせを行った。それをふまえて、推薦名簿が出てきて、それを受けて、任命の考え方にもとづいて、任命を行ったというプロセスであります」

「明らかな法違反!」会員選考と推薦に政治介入した事実を指摘する小池氏にまたもズレた答弁の菅総理!

山本委員長「小池晃君」

小池議員「要するに、要するに、推薦前の段階で、政府が意見を伝えて、それにもとづいてすり合わせて、それで名簿ができてくる。

 介入なんですよ、これは! だってそんなことは日本学術会議法のどっこにも書いてないんですよ。

 で、これねぇ、明らかな法違反、明らかな法違反! だって日本学術会議法第17条は、学術会議の会員の選考、推薦は学術会議で行うと書いてあるんです。で、その名簿作りに政府が関わったということになるわけでしょう!? これは法違反だ!

 でねぇ、今までの説明とまったく違うんです。今までの説明は、『学術会議の推薦名簿をそのまま認めていいのかどうか』という話だったけども、今回の話は、それ以前の、名簿作成以前に調整する、調整できなかったら任命拒否をする。

 まったく違う話を突然昨日言い出したんでしょう。で、自分で言っておきながら説明できなくなってるわけですよ。

 まったく違う話をしてること、認めますね? 総理! あなたの答弁ですから、お答えください」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「任命の考え方は一緒です」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「任命の考え方ではありません。任命前の、推薦前の、その話を始めたのは昨日が初めてですねと。そのことは認めてください」

「『一定の調整』と言ったのは昨日が初めてだが、『調整ができなければ任命をしない』とは言ってません」!? 次々に変わる矛盾だらけの菅総理の発言に小池氏は予算委員会の基本的質疑の最初からのやり直しと杉田官房副長官の出席を要求!

山本委員長「加藤…」

小池議員、着席したまま「官房長官いい、官房長官はいいから」

山本委員長「加藤官房長官」

加藤官房長官「『昨日』っていうのは、二之湯(智・自民党)委員に対する答弁ということだと思いますけど、それ以前において私の方からですね、推薦の提出する前において、杉田(和博・官房)副長官、あるいは内閣府を通じてですね、意見交換があった、ということは、これまで述べさせていただいて、で、総理はそうした意見交換の中でのすり合わせということを申し上げているに過ぎないということであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「あのねぇ、官房長官が言ったのは単なる意見交換です。総理が言ったのは『一定の調整』です。そして、その『調整』ができなかったらば、その調整ができなかったらば任命拒否すると、これ、初めて言ったでしょ? このことは初めてでしょ? 『一定の調整』は初めてでしょ? で、『調整』ができなかったら任命しません、これ、初めてでしょ? 認めてください」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「『一定の調整』は初めてです。あのぉ、発言をしたのは。『一定の調整』というのは、初めてです。ただ、『調整ができなければ任命をしない』とは言ってません」

 審議が中断。

小池議員、着席のまま「委員長、議事録議事録。議事録で言ってますよ」「すんなり認めたらどうなんですか?」

山本委員長「話まとまりましたか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「『一定の調整』ということは初めてですが、それは、任命の考え方のすり合わせという意味であって、先日に官房長官が『意見交換』などと答弁したものと同じであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「いや、まったく違うと思います、これはね。だって全然段階が違うんだから。段階が違うんだから。任命の問題じゃないんだから。推薦の問題なの。

 だいたい、総理は最初は『総合的俯瞰的だ』と。次には『多様性が大事だ』と。で、『旧帝国大学の比率が高い』と。『私立大学の比率が低い』と。で、実際の任命と矛盾するじゃないかと言われたら、『個人の任命の判断とは直結しない』。

 もう、ほんと、くるくるくるくるくるくるくるくる説明が変わってついに、『会員の選考と推薦の段階から政府が介入します』宣言を昨日、やったわけでしょう。(総理の後ろで加藤官房長官が首を振っているのを見て)首振ってるけど、そうでしょう、これは。露骨な政治介入宣言ですよ。

 でもこれねぇ、本会議の代表質問でも答えなかった、衆参の予算委員会でもこんな話は一切出なかった。昨日、自民党の質問になって初めて出てきた。

 委員長! 予算委員会の基本的質疑、もう一回最初からやり直してください。

 議場から拍手がわき起こる。

 議論の大前提が変わったんですよ。その際には、杉田官房副長官には、出席を求めます」

小池氏の質問で極めて限定的であることが判明した菅総理の考える「学問の自由」!

小池議員「えぇ、続けて聞きます。総理は今回の任命拒否は学問の自由を脅かすものではないと。総理の考える学問の自由とは一体何ですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「すべての国民に保障された、基本的人権、特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思っています」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「すなわち学問の自由というのは、個々の研究者の学問・研究の自由だけではないという理解でよろしいですね?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「えぇ、今申し上げた通りです」

山本委員長「小池晃君」」

小池議員「だから、『今申し上げた通り』は、私が言った通りですね?」

 議場から笑いがわき起こる。

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「え、全ての国民に保障された基本的人権、特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思ってます。これです」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「いや、だから、個々の、ね、研究者がお勉強したり、研究したりする自由だけじゃなくて、発表したり、あるいはその学者コミュニティの中でね、いろいろ議論したりと、そういったことをきちっと自立性、自主性を保障すると、いうことまで含めたものですねと、丁寧に聞いてんです。そういうのが学問の自由ですねと。いかがですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

小池議員、着席したまま「当たり前のこと、聞いてるんだけど」

菅総理「特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思ってます」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「大学だけじゃないでしょう? たとえば学会の中での議論の自由、研究の自由、活動の自由、それを保障することも重要じゃないですか?」

小池議員、着席したまま「憲法だよ、憲法」

質問通告していない内閣法制局長官の登場に騒然となる予算委員会!

山本委員長「えー。内閣法制局長官近藤正春君」

 議場が騒然となる。

小池議員、着席したまま「法制局なんて通告してない。法制局なんて呼んでないよ!」「呼んでないのに何で出てくんだ!」「ダメだよ!」

▲内閣法制局長官近藤正春氏

近藤正春内閣法制局長官「あのー。先ほどあの、総理がお答えになりましたように、最高裁の判例党においても、やはり昔からの伝統的な、大学という組織における学問の自由というのには重視しているということで、あくまでも学問の自由というのは、大学という組織に非常に着目して…」

 議場は騒然とした状態が続く。

山本委員長「静粛に願います」

近藤法制局長官「…えー、あのー、学問の自由は理解されていると思います」

 審議がここで再び中断する。

山本委員長「今ほどの内閣法制局長官の件でありますけれども、政府特別補佐人として出席致しておりますので、従って、答弁を補佐するために出てくることは可能でありますので、その点、よろしくお願いしたい」

日本学術会議の学問の自由と政府からの独立を確認する小池氏に菅総理の答弁は「学術会議会員は公務員だから任命拒否は個人の学問の自由との関係で問題にならない」!?

山本委員長「はい、小池晃君」

小池議員「あの、通告してませんので、私ね、法制局長官にはね。

 で、私あのぉ、まぁ、1949年に日本学術会議が創設された際に、吉田茂首相は、祝辞で『時々の政治的便宜のための掣肘(せいちゅう。干渉・妨害の意)を受けることのないよう、高度の自主性が与えられる」と、明言されたのは、やっぱり学者コミュニティの自立性・自主性を尊重することが、個々の研究者の学問研究の自由を保障するためにも絶対不可欠だし、中でも日本学術会議というのは、科学・学問の見地から政府に意見を述べることを任務とするところなわけでしょ。だから、やっぱり政府からの独立性が最も求められる組織だと思うんですよ。

 総理ね、もう一回聞きます。憲法23条が保障する学問の自由には、個々の学者の研究内容だけではなく、学者コミュニティの政府からの独立性の保障が不可欠である。中でも、日本学術会議は、法でうたってるわけですからこれはもう、はっきり答えていただきたいんですけど、政府からの独立が、極めて重要な組織であると、イエスかノーかでお答えください」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「学術会議は、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されてる国の機関であります」

 審議がまた中断する。

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「国の行政機関なので、学術会議は日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されています」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「まあ、当たり前の話をされただけなんですけど、やっぱり最も独立性が保障されなければいけない組織だという認識を持ってないと。それじゃねぇ、ダメだと思うんですよ、僕は。

 やっぱりこれ、発足当初から、そういう目的でね、生まれて、で、それを任務としてやってきた。どんな政治的思惑があっても政府に対してきちんとものを言うというのが日本学術会議なんですよ。それを保障するのが政府の責任なんですよ。

 だからこそ、会員の選出方法を変更した1983年の国会で、当時の中曽根首相は…、学問の自由について、問われてもいないんです、この質問は。質問されていないんです。問われてもいないにもかかわらず、あえて、『政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由・独立ということはあくまで保障される」と、そう中曽根さんは答弁されたんですよ。それだけ学問の自由をね、重視してたわけですよ。

 で、総理はこれまで37年間、『前例踏襲だ』とおっしゃるけれども、歴代総理は、単に前例に従って何の考慮もなく任命行為を行ってきたって言うんですか? 私は違うと思いますよ。中曽根首相をはじめ、やはり憲法で保障された学問の自由は極めて大事だから、だから、その趣旨をふまえて、会員選考における自立性の尊重が学術会議の独立性の担保になると、そういう立場で、私は任命してきたんだと思います。

 それなのに総理は、この形式的任命を覆したんですよ。だから私は総理がやったことは学問の自由を脅かすものに他ならないと、学問の自由の侵害だと申し上げます。学問の自由の侵害、そのものじゃないですか」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「日本学術会議法上の推薦にもとづく会員の任命については、憲法第15条第1項にもとづければ、推薦された方々を必ずそのまま任命しなきゃならないということではない、という点については、内閣法制局の了解を得た、政府の一貫した考え方であり、今回の任命も法律にもとづくものであります」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「答えてない。今回の任命拒否は学問の自由を脅かすものではないですか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

小池議員、着席のまま「何でメモいるの? それ、メモいるの?」

菅総理「今私が申し上げた通りに、推薦した方をそのまま任命しなきゃならないということではなく、その点については内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方であり、法にもとづいているものであります。

 学問の自由は極めて重要な権利ではありますが、学術会議の会員の任命は、憲法第15条第1項の規定の趣旨をふまえ、任命権者である内閣総理大臣が日本学術会議法に沿って、国の行政機関に所属する公務員を任命するものであり、個人の学問の自由との関係で問題になるとは考えてません」

滝川事件に天皇機関説時件!「菅政権がやっていることは戦前の政府がやった学問の自由の侵害と、いったいどこが違うのか?」危機感を訴える小池氏の気迫の追及に菅総理は口ごもりながら「ご意見としてうかがう」!?

山本委員長「小池晃君」

小池議員「学問の自由ってことについてね、これほど軽い答弁、これないと思いますよ。何かメモがなきゃしゃべれないような話じゃないでしょう。政治家としてのね、憲法に対する考え方を披瀝するべきじゃないですか? それがまったくない!

 戦前だって学問の自由は守るとね、繰り返してきたんですよ。しかし、どういう歴史があったか。

 1933年の滝川事件の際には当時の文部省は、いかなる学説でもそれを研究することは自由だと。そうしながらですよ、滝川幸辰(ゆきとき)京大教授の講演内容が問題とされたんです。京都大学の教授会は『もし、一時の政策により教授の進退が左右されれば、学問の真の発達は阻害される』と抗議をした。しかし政府は、文部大臣が監督下の大学教授を任免できないことは不都合だと、そして休職処分にしました。

 1935年に天皇機関説の禁止を求める嫌疑が、ここ参議院の前身である貴族院で審議された。本会議場で賛成討論に立った議員はこう演説しました。

 『学問の自由というのはどこまでも絶叫いたしたい。けれども我が国においてはその自由というものは、ある点において束縛せらるべきものであるということを私は自信いたしておる』。そして、学説の代表者である美濃部達吉貴族院議員の著作は発禁処分とされ、美濃部氏は、貴族院議員を辞めさせられ、公職から追放されたわけです。

 今、総理が言ったことは学問の自由は守るけれども、でも…。まったく同じじゃないですか。権力の側は、いつでも自由は守ると言いながら、自由や人権をね、迫害してきたんですよ。菅政権がやっていることは戦前の政府がやった学問の自由の侵害と、いったいどこが違うのか? 結局、おんなじことやってんですよ、今。

 私はね、この危険性、そのことに警鐘を鳴らしたい。そして今、学者の世界で、何が起こってるか? 今日、史上初めて人文社会科学系の220の学会が、研究分野を超えて、理由の説明と6人の任命を求める共同声明を発表しました。

 こんなことは日本の歴史でかつてなかったことですよ。みんな大きな危機感を持ってるんですよ。

 総理、そういう危機感が今広がっていることをどう認識されてますか?」

山本委員長「菅内閣総理大臣」

菅総理「ご意見としてうかがってます。あ、うかがい…おうかがい…うかがいます」

山本委員長「小池晃君」

小池議員「私はね、これ、テレビで見てる国民はね、この総理大臣でこの国大丈夫だろうかと、思ってると思いますよ。あなたの、行為そのものが、答弁の欺瞞性をね、示してると思いますよ。この任命拒否が。

 事態を解決するすべての責任は6人の任命拒否を行った総理にある。撤回を強く求めます」

 議場から拍手がわき起こる。

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