アビガン、5月中の薬事承認ならず! 「科学的に評価するには時期尚早」と。IWJはいまだ配布されぬ布マスクと災害時の避難所における感染対策について聞く~5.26加藤勝信厚生労働大臣定例会見 2020.5.26

記事公開日:2020.5.28取材地: テキスト動画
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(取材・文 千浦僚)

 5月26日に、厚生労働省にて、加藤勝信厚生労働大臣の定例記者会見が行われた。加藤大臣からは冒頭、新型コロナ感染防止のマスク着用と熱中症予防に関して注意喚起と使用時の指針が発表された。厚労省は、気温の高い時期は他人との距離がとれる場合は適宜マスクを外す、マスク着用時は強い負荷のかかる運動や作業を控える、などを呼びかけるという。

 その報告ののち、会見参加記者との質疑応答があった。安倍総理が5月4日に、「新型コロナ治療薬アビガンの5月中の薬事承認を目指す」と述べていた点について、「その実現が可能か」という質問に対し、加藤厚労大臣は、独立評価委員会から「科学的に評価するには時期尚早」との意見が示されたと述べた。5月中の薬事承認は困難になったものと思われる。

 加藤厚労大臣は、「治療薬は国民の皆さんの不安の解消につながっていくものだと考えている。一日も早くこれを開発することに取り組んでいく。

 世界においても日本においても研究開発の支援をし、我が国においては必要な予算を確保してきた。今お話に出てきたアビガンについても開発研究、臨床研究、企業治験が進められてきた。これらの研究の進捗状況を踏まえながら有効性が認められれば5月中の薬事承認を目指す考えを示し、また5月12日においてはアビガンに限らず、新型コロナウイルス治療薬については、限定的なデータでも申請を受け付け、最優先で審査するという考え方も示させてもらった。

 臨床研究の継続の可否を判断するための中間解析において、極めて高い有効性が示されればすぐに薬事承認、という流れも想定していたが、独立評価委員会からは、科学的に評価するには時期尚早、との意見が示された。

 引き続き臨床研究や治験を続け、有効性を確認でき次第、薬事承認するという方向性に変わりはない。アビガンは全国600を超える医療機関の参加によって3000例以上の投与が行われている。そのなかでは新たな副作用は報告されていない」と答えた。

 IWJ記者は大臣に、「26日の総理会見においても質問と回答がなされていましたが、いまだに布マスクは配布途中で、なおかつ緊急事態宣言が解除されつつあるというこの進行状況を厚労省としてはどう認識されてますでしょうか?

 また、もう一点、先ごろ岐阜、長野地方で地震が頻発し、関東でも最近地震がたびたび起き、これから土砂災害や台風なども起こる季節になってきましたが、避難所などで過ごすことになった場合の新型コロナ感染対策について、お考えをうかがいたい」の2点を質問した。

 加藤勝信厚生労働大臣は、「布マスクについてでありますが、すでに各都道府県に対して配布を進めさせていただいておりまして、一日も早く皆さんの手もとに届くよう努力しているところであります。緊急事態宣言が解除されたから、ということでなくむしろ、解除されていく中で新たな生活様式として、手指の消毒とともにマスクの着用などもお願いしているところであります。そういった意味において布マスクの配布をしっかりやらせていただきたい。

 また、避難所等における感染対策、ということですが、長雨があったり台風があったり、様々な災害が毎年のように日本列島を襲ってきます。そうした中でいかに感染症対策をとっていくのかということ、これは防災担当大臣を中心に、我々もそこに参画させていただいているところです。そこでのマスクや手指消毒用の備品などの確保と必要な対策をとっていきたいと思います」と答えた。

■全編動画 ※26分45秒からIWJ記者の質問が始まります。

  • 日時 2020年5月26日(火)10:15 メド~
  • 場所 厚生労働省 記者会見室(東京都千代田区)

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