6月に3都府県で大規模な抗体検査実施! 日本における感染蔓延規模と免疫獲得状況が判明するか!? 布マスク検品にさらに8億円? 加藤大臣に問う~5.22加藤勝信厚生労働大臣 定例会見 2020.5.22

記事公開日:2020.5.22取材地: テキスト動画
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(取材・文 千浦僚)

 2020年5月22日(金)午前8時20分より、千代田区霞が関の中央合同庁舎5号館、厚生労働省会見室にて、加藤勝信厚生労働大臣の定例記者会見が行われた。加藤大臣より1件の報告がなされた後、記者との質疑応答があった。

 加藤厚労大臣の報告は、5月15日の会見で予告された、大規模な疫学調査として行なわれる新型コロナウイルス感染症の抗体検査に関して、その実施時期と詳細が決定したというものであった。抗体とは人体に病原体が入ってきた場合に生じる物質で、血液中の抗体の有無を調べれば過去の感染歴がわかる。抗体検査を広く実施することで、自覚なき無症状感染からの治癒も多い新型コロナ感染症の実際の蔓延状況把握が期待できる。

この抗体検査は統計学等の専門家の助言により、感染者数の多い地域と少ない地域を選んで一般住民を対象として行ない、抗体保有率を調べるもの。感染者多数地域としては東京都と大阪府、感染者数の少ない地域としては宮城県を対象とし、この三都府県でそれぞれ3000人強、合計約1万人の、幅広い年齢層から無作為抽出された方々の血液を検査する。加藤大臣は、「6月初旬から開始し、結果はまとまり次第公表する予定だ。日本社会全体の免疫の獲得状況を確認し、今後の感染拡大防止に活用していく」と述べた。

 その後の質疑応答でIWJ記者は加藤大臣に2件の質問を投げかけた。

 問いのひとつは、「布マスクの検品費用が8億円とされていたが、厚生労働委員会での質疑でさらに8億円かかるのかもという話が出た、その真偽と内実を知りたい」というもの。

 もうひとつの質問は、「アメリカがWHO(世界保健機構)に批判的で、拠出金の停止などをしている。日本はアメリカと諸々の活動において同調し、賛意を示すことが多いが、新型コロナ感染症関連のWHOの対応に、日本としては批判や疑問はない、ということか」であった。

 加藤大臣は、「布マスクに関して、すでに対応しているなかでは8億円必要ということでした。それは第一陣。あと第二陣についてどうなっているかは、後で事務局からお伝えさせていただきたい。

 それからWHOに対するアメリカの対応については、私どもがコメントする立場にはありませんが、日本としては、先日のWHO総会のテレビ会議(5月18日、19日に開催された)で、私からも述べさせていただいたようにSPRP(The Strategic Preparedness and Response Plan「新型コロナウイルス感染症戦略的準備・対応計画」)という、WHOのプログラムに日本としても拠出をする等、WHOが今回の新型コロナウイルスの感染防止・抑止を図っていくうえにおいて、世界的には中心となってその機能を発揮すべきだ、ということを従前から申し上げている。と同時に、今回の一連の事象について、然るべきタイミングではしっかり検証をすべきだということ、包括的に検証すべき、評価すべきだということもあわせて申し上げさせていただいたところであります」と回答した。

 この回答の末尾は、先述の第73回WHO総会において、日本を含む複数国が共同提案した「新型コロナウイルス感染症対策に係る決議」のなかの主要な決議のひとつ、「WHOを中心とした対応に関して、最も適切な早期に、公平で独立した包括的な検証を開始することを、WHO事務局長に要請」という項を指していると思われる。これは、WHO総会に参加する各国も非常時が過ぎたときには現在の対応の検証をすべきだと考えていることを示す。

 そのほか会見参加メディアの記者より、5月20日より雇用調整助成金のオンライン申請が始まり、そこで個人情報の流出が起きた件に関して質問があった。加藤大臣は、「心よりお詫びしたい。具体的には初回の登録時に、同時期に複数の方が登録した場合、同一のIDが発行され、結果として他人の個人情報が閲覧できてしまう状態となった。ただちに運用を停止し、問題の解消に取り組んでいる」と答えた。

 布マスク検品費に関しては、後刻厚労省マスク担当者より電話で回答を得た。IWJ記者はこの質問が、5月21日の参院厚生労働委員会における福島瑞穂議員と厚労省吉田学衛生局長のやりとりにもとづくものであることを説明し、マスク担当者もその点を了解して応答した。曰く、「検品に8億円というのは令和2年度の予備費からの配布マスク第一陣の分、令和2年度補正予算においても布マスク調達と配布についての費用があるが、検品の方法と予算は今後検討する。さらにまた8億かかるのか、というのは福島議員の仮定の疑問であり、吉田衛生局長は回答していなかった。その額がいまだ検討中で未定であるので」とのことであった。金額の規模が同様のものとなるのかについても問うたが回答をもらえなかった。

 なお、IWJ記者は以前の会見で加藤厚労相にぶつけたのと同じ、「いま世の中を見るとマスクの不足はないようだが、今も布マスク配布は有用なことだと思うか?」との問いをこのマスク担当者に投げかけたが、彼もまた「布マスク配布は現在も有意義だと考える」と答えた。

■全編動画 ※16分55秒あたりからIWJ記者の質問が始まります。

  • 会見者 加藤勝信氏(厚生労働大臣、衆議院議員)
  • タイトル 加藤勝信 厚生労働大臣 定例会見
  • 日時 2020年5月22日(金)8:15頃〜
  • 場所 厚生労働省会見室(東京都千代田区)
  • 告知 厚生労働省サイト

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