2020年5月14日(木)に、ノーベル医学生理学賞受賞者で京都大学高等研究院副院長兼特別教授の本庶佑(たすく)氏がオンライン記者ブリーフィングを開いた。
本庶氏は4月からPCR検査が少なすぎることをメディアなどで訴えている。一方、4月末には本庶氏が「中国人工起源説」を主張したという、偽情報が海外で広まり、本庶氏が京大のホームページで否定する声明を発表したことが報じられた。
(取材:八重樫拓也 文:近藤ゆり)
特集 #新型コロナウイルス
2020年5月14日(木)に、ノーベル医学生理学賞受賞者で京都大学高等研究院副院長兼特別教授の本庶佑(たすく)氏がオンライン記者ブリーフィングを開いた。
本庶氏は4月からPCR検査が少なすぎることをメディアなどで訴えている。一方、4月末には本庶氏が「中国人工起源説」を主張したという、偽情報が海外で広まり、本庶氏が京大のホームページで否定する声明を発表したことが報じられた。
記事目次
※動画は準備が整い次第、アップします。しばらくお待ち下さい。
まず本庶氏が3月末から提唱していたという3つの提言について触れた。以下の内容である。
1 感染者を検出するPCRを毎日1万人以上に急速に増やす、無症状、軽症、重症の振り分け
2 東京圏、大阪圏、名古屋圏の1ヶ月の完全外出自粛により満員電車での通勤をやめる
3 治療法として外国で有効性が示されているものを実地導入する
そして「敵は眼に見えないスパイのようなもの」と新型コロナウイルスを表現し、その敵を知る上でPCR検査は重要だと発言した。
また4月にホームページに3つの提言を掲載した際には、イタリア、イギリス、米国を指して「科学的事実を直視せず、直近の経済的損失を恐れて対策を後に延ばした指導者は、すべて失敗した」としていたが、「今は日本も同じになってしまった」とした。「しかし世界中のほどんどの国がそういう状況です。しかし女性指導者以外ですね。女性指導者はよくやっています」と、おそらくは、ドイツのメルケル首相を念頭に評価した。
また科学の価値は、経済的な利益にあるのではなく、「人の生活や社会・国を守る土台として尽くす」ことであるとし、政府のワクチンや治療薬に対しての資金援助の重要性を強調した。
そして新型コロナウイルスなどのRNAウイルスは、インフルエンザやHIV同様に、ワクチンを開発するのが難しいことを挙げた。そこでワクチンだけに頼る戦略を取るのではなく、薬や自己免疫に対しても同時に働きかけることの重要性を提唱した。
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