2020年4月3日(金)午後2時より、東京都千代田区永田町の衆議院第二議員会館多目的会議室にて、「国際刑事法典の制定を国会に求める会(以下、『求める会』)」の主催により、「国際人道法違反を裁けない日本の法体系を考える集い」が行われた。
集いは、『求める会』の事務局長である、松竹伸幸氏の司会で進められ、パネリストとして、東京外語大学教授で「求める会」代表の伊勢﨑賢治氏、弁護士の水上貴央氏、倉持麟太郎氏、元内閣官房副長官補・柳澤協二氏、元陸将・渡邊隆氏、元空将補・林吉永氏、そして、伊藤塾塾長および弁護士の伊藤真氏が登壇し、実際の法案作成について、各々の分野からの意見や知見を積極的に提出・交換し、国会議員や一般の参加者からも疑問点や意見が出され、熱気にあふれるものとなった。
冒頭の挨拶で、司会の松竹氏は、「代表の伊勢﨑氏は何年も前からこの問題の重要性を説いてきており、これまで多くの議論の中で多くの共感を得てきた。だが、なかなか立法化への具体的な道を開けないでいた。そこで、実際に自分で法律案を作成し国会に提示してみてはどうだということになり、法制局や国会議員、および元官僚や弁護士などの専門家の方々に相談し、協力を得ながら作業を進めてきた。そして、その中間報告として、このたびの集いの開催となった」と経緯を説明。会場で配布された資料には作成中の法律の骨子案も含まれていた。
事実として、自衛隊は、アフリカ東部のジブチに情報収集を目的として派遣されているにもかかわらず、日本の法体系には、国際人道法上の違反行為を適切に処罰する仕組みがなく、派遣された自衛官等の過失行為を処罰する方法もないのが現状であり、自衛隊の海外派遣を継続するのであれば、すぐにでもそのための法の仕組みを整備しなくてはならず、法整備にあたっては、憲法9条との関連も視野に入れ、最低限の国際条約上のルールも適用する必要がある。また、同じく日本の法体系では扱うことのできない「ジェノサイド(特定の民族・集団自体の破壊を目指す行為)」についても、日本の過去を教訓とすれば、起き得る事態として、国際法に準ずる法体系を整備しなくてはならない。