「いつ植民地をやめるのか、今でしょ!」対米追従姿勢に警鐘!東京、大阪、米軍基地、そして原発…日本全土にミサイルが雨あられと降り注ぐ!? 岩上安身によるインタビュー 第565回 ゲスト 山本太郎議員 2015.8.1

記事公開日:2015.8.5取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・原佑介、平山茂樹)

 「いつ植民地をやめるのか、今でしょ!」――。参議院で審議中の安全保障関連法案をめぐり、平和安全特別委員会で質問に立った「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表の山本太郎参議院議員。2015年8月1日、岩上安身の緊急インタビューに応じた山本議員は、質疑の裏側を詳細に語った。

 7月29日(水)、30日(木)と、2回にわたり質問した山本議員。その内容は、原発の被弾リスクとイラク戦争に対する安倍総理の総括という、政府側にとっては「聞かれたくない」ものばかりだった。いずれの質問に対しても、安倍総理をはじめとして政府側は曖昧な答弁に終始した。

 インタビューでは、2回の質問を終えたばかりの山本議員に、質問の真意と政府側による答弁の詳細について、話を聞いた。

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■ハイライト

■全編動画

  • 日時 2015年8月1日(土)18:30〜
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

7月15日に衆議院で強行採決された安全保障関連法案。審議の場は参議院へ

岩上安身(以下、岩上)「今日は山本太郎議員をお迎えしてお話をお聞きします。今日は緑のポロシャツにビーサンで、湘南から戻ってきたばかりの感じで登場です。2度の国会質問すごかったですね。僕らはすぐに文字起こしして、記事として公開しました。昨日も、SEALDsの記事をスタッフ6人で徹夜して仕上げました。

 本題に入ります。国会審議の行方。NHKは衆院の強行採決を中継しませんでした」

山本太郎参議院議員(以下、山本・敬称略)「この態度。ふざけていますよね。野党がここまでプラカード掲げているのを流すことはできないのでしょうね。(NHKは)自民党テレビになっています。本来は、視聴者である皆様の声が大事のはずなんですけどね。視聴率1%でも100万人に届く。国のあり方が180度変わる法案ですから、放送し続ける義務があるはずです」

岩上「そして法案が参院にいった。そこに待ち受けていたのが山本太郎です」

山本「とんでもない。45人の委員会になったのでようやく入れました」

岩上「安倍総理は理解が進んでいないといいますが、理解して国民は反対しています。でも、問題があるのはNHKだけではありません。この法案に関して議論を展開するテレビが少なすぎるのではないでしょうか」

山本「政治家に議論させる番組など、ほとんどないですもんね」

国会前で抗議行動を続けるSEALDsを、山本太郎議員はどう見るか

岩上「SEALDsの功績は大きいですよ」

山本「僕も渋谷のに参加しました。キラキラしてますよね」

岩上「コールや音楽センスもいいです。演説の内容もとてもいい」

山本「いい影響を広げてくれましたよね。議員会館からも声が聞こえます」

岩上「安全保障関連法案に関しては、学者の会も動いています。声明への賛同者は1万2,000人を超えています。IWJはこの方たち全員にメッセージを寄せていただけるようお願いしています。中でも、高山佳奈子さんという刑法が専門の京大の学者さんは、『総理とメディアの会食は刑法に抵触する可能性がある』と証言しています。

 安倍総理はIWJの取材に応じないわりに、ニコニコ動画で『前を歩いていた喧嘩の強い麻生さんに殴りかかったとしよう』などと例え話をしていました。『麻生くん』って、これ米国ですよね。世界の軍事費の50%を持っている米国に誰が挑むんだ、と」

山本「国際的な強盗グループの一員になろうとしている。ありえないですよ。いい加減にしろ、と」

岩上「喧嘩とわけが違う。戦争ですもんね。

 礒崎陽輔首相補佐官が、『法的安定性は関係ない』などと発言し、問題となっています」

山本「憲法は、この人たちが都合よく変えられるものではありません」

岩上「野党側は追及していますが、(安倍総理は)口頭での注意にとどまっています」

山本「そんなので済む。すごいですよね。3日には礒崎さんを参院に参考人招致しましたが、その日はNHKも入らず、総理もこない。でも大臣補佐官が参考人として呼ばれるのは異例中の異例です」

「原発×戦争」リスクについて、政府は「リスクは想定していない」と答弁

岩上「まず、『原発×戦争』について。私は3.11以降、この問題をずっと言って来ましたが、太郎さんはこれをストレートに国会でぶつけてくれた。本当にど真ん中のストライクゾーンですよ」

山本「これまでも他の委員会で追及してきましたが、政府は『リスクは想定していない』と言っていました。リスクを想定したら原発なんてできませんからね。よく『原発狙うなら都市部を狙う』という人もいます。しかし、長期的な国力を削ぐなら原発でしょう」

岩上「そうですし、東京も米軍基地も原発も全部狙うでしょう。原発攻撃は国際法違反だと言う人もいますが、現に、イスラエルはイラクの原発を空爆しました。戦時国際法など守られない可能性は大いにあります。狙いが正確でなくとも、原発には送電線があって免震重要棟があります。そのあたりに着弾すれば、メルトダウンですよ」

山本「安倍政権のような姿勢で外交するなら、原発はすべて撤廃以外ありえませんよね。脆弱な施設をどう守るか、その後をどうするかを考えていないのであれば、その他のこともいろいろと考えていないのでしょう」

岩上「テロまでは考えているのに、なぜ戦争リスクを考えないのでしょうか」

山本「政府は『仮定の話には答えない』としていますが、この安全保障関連法案は、仮定だらけです。ミサイルが10分で飛んでくる。何百発も北朝鮮や中国は持っている! と言いながら、『一概に言えない』と」

岩上「山本議員は政府のご都合主義を批判されました。総理の様子はどうでしたか?」

山本「随分とお疲れになっているように感じました。でも、これだけ国会を延長したのは総理ですからね。総理は、僕の質問中はペーパーを読んでいたんじゃなかったかな」

岩上「『もし、弾道ミサイルが飛んできて破壊された場合、何キロ圏までの計画を作成すべきか』と山本議員は聞いています。しかし、内閣官房は弾道ミサイルを想定しながらも、『特定の定量的な被害は期していない』ということでした」

山本「規制委は『どのパターンでも福島の100分の1の放出量』と言っています。不安で仕方がないですよね」

岩上「地震、津波とは違い、ミサイルは何発も飛んでくる可能性があります。中でも若狭湾をやられれば、関西一帯が駄目になるでしょう」

山本「何重にも被害が出る。最悪を想定するのは絶対条件ですが、それは考えられないというんです」

岩上「『ミサイル攻撃などにより、原子力災害が発生した場合、あらかじめ地域を定めて、避難措置を講ずるもののではなく事態の推移に応じる』としています」

山本「僕は委員会で『SPEEDIで避難計画をつくるべき』と言いましたが、田中委員長は『それが起きたあとにモニタリングして実測値で勝負する』と言っていました」

岩上「戦争中ですよ? 戦争中だって疎開やったじゃないですか。やる気がないんですかね」

山本「結局、福島も泣き寝入りです。建前では民主主義国家でも、人権なんてない国でこんな法律が定められたら、当然、また福島のようなことになると思います」

岩上「中国との戦争なんて勝てません。どう屈服させるというのか。日中戦争だって、向こうは拠点を転々として、15年やっても何も陥落できなかった。孫崎さんが核武装論を研究し、日本は3発でアウト。向こうは10発20発でも首都機能が生きるわけです。

 米国は制限戦争と言っていますが、米国本土に打ち込まれるのは避けるために、傀儡国家を使ってアジア地域で戦争を起こさせる、と言っています。制限戦争の可能性というのはあります。自分たちには被害なく、東シナ海、日本…それに利用されつつあります」

山本「いつ植民地をやめるのか、今でしょ! って話ですよ」

原発がミサイル被弾したら、どれくらいの放射性物質が拡散されるか

<ここから特別公開中>

岩上「じゃあ、お聞きします、田中委員長に。誰も教えてくれないんですよ。川内原発の場合、1号機原子炉内の核燃料、157体の放射性物質全て放出された場合、また貯蔵庫の燃料64体、使用済み燃料プール、1128体の放射性物質、すべて環境中に放出された場合、セシウム137基準でそれぞれ何ベクレルになるんですか? と山本議員は聞いています。なぜ川内原発なんですか?」

山本「もちろん、再稼働を意識しました」

岩上「規制委の田中委員長は、『当然、全体の量というものは把握しておりますけれども、全部が放出されるというようなことは想定しておりません』と答弁しました」

山本「結局、責任者はいないということです」

岩上「これを国会で言わせたのはすごいですよ」

山本「9月末までに、あと20回くらい質問の機会があります。すべてで僕ができるわけではありませんが。というか、そこまでやりたい法案なら総理はすべて出席すべき。

 岸田文雄外務大臣は、『先制攻撃できる』。何を言っているのか。一回落ち着けって。一回国会を閉じて、ちゃんと話し合えって思いますよ。居酒屋トークみたいなのを国会でやっています」

中国の弾道ミサイルをPAC3で撃ち落とすことは不可能!

岩上「中国の弾道ミサイル、長距離巡航ミサイルの増勢状況をまとめました。ちょっと古い資料ですが、桁が違います。今はもっと増えています。数百という弾道ミサイル、巡航ミサイルが日本の米軍基地に届きます。そして航空母艦からの爆撃もあります。雨あられで降ってきます。東京か原発か、ではなく同時にくるんです」

山本「ミサイルを撃ち落とすとか言っていますもんね。飛んできたゴルフボールに後からゴルフボール打って当てる、みたいな」

岩上「向こうが投げる球にこっちの球を当てる。でも向こうは単発じゃない。イージス艦が察知してPAC3で撃つ。しかし、PAC3がカバーしているのは軍事施設だけ。ほぼフルヌードですよ。でも青森にはまだ配備されていない。六ケ所もあるのに。福島、柏崎、若狭湾、伊方…全部ノーガードです」

山本「本気で防衛するなら、全然予算が足りないですよね」

岩上「もしくは刺し違え作戦。でも日本は3発落とされればアウトなんです。あまりにも狭すぎるんです。なんでみんなこれを見据えないのでしょう。

 元防衛官僚・柳澤協二さんはPAC3について『日本全土はカバーできません。当たるか当たらないかはやってみなければわかりません。社会的、象徴的な意味しかない』と言っています。しかもPAC3はミサイルがくる、といってから移動させるんです」

イラク戦争の総括をしていない安倍総理

岩上「山本議員はイラクへ派遣された航空自衛隊の質問もしました。復興支援活動といいながら、実態はほとんど米軍の戦闘員の支援をしていた、ということです。米軍は07年の1年間だけで1447回もイラクを爆撃。雨あられ。戦争ってこういうことですよ。国連の健康の権利に関する特別報告官が、ファルージャの攻撃で死亡したのは、90%は一般市民だったとしています」

山本「そういうことなんですよ」

岩上「参加した米兵は、動くものはとにかく撃って、何もいなくなったと証言しています。『総理、アメリカに民間人の殺戮、当時やめろって言ったんですか? そしてこの先、やめろと言えるんですか? お答えください』と山本議員。安倍総理はイラクが証明しなかった、と」

山本「国連が700回調べても、大量破壊兵器は出てこなかったんです」

岩上「各国が総括した。でも日本の総括はペーパー4枚。それで戦争できる国になろうとしている」

山本「安倍総理はこう言うしかないですよ。でないと、法案が崩れちゃうんですから」

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