イラク戦争での自衛隊派遣「政府判断の正否」は藪の中に――情報公開クリアリングハウスが国を提訴、「秘密保護法+安保法制」の危険性に警鐘 2015.7.16

記事公開日:2015.7.30取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※7月30日テキストを追加しました!

 「このままでは、外交・安全政策での政府の誤りが担保されてしまう。その点につき、世間に対して広く問題提起を行う狙いも、今回の提訴にはある」──。情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子氏は、強い口調で経緯を語った。

 NPO法人情報公開クリアリングハウスは、2015年7月16日、外務省の「イラク戦争検証報告書」の不開示決定の取り消しなどを求める訴訟を東京地裁に起こし、東京都内で記者会見を開いた。

 イラク戦争で自衛隊を派遣させた、当時の政府判断の正否が検証されたのは、民主党政権時代になってからのこと。2012年12月に報告書がまとめられるのだが、ポイントのみの簡単な資料しか公表されていない。情報公開クリアリングハウスは、この検証報告書そのものと、検証プロセスにかかる文書の公開を求めたが、大部分は不開示となった。

 今回の訴訟は、2014年12月に施行された特定秘密保護法と、安倍晋三政権による安保政策の組み合わせの危険性をアピールする狙いがあるという。中谷元(げん)防衛相は、国会で、「(集団的自衛権が必要と)認定する前提となった事実に、特定秘密が含まれる場合もある」と答弁しており、政府による根拠の説明が足りないまま、集団的自衛権が行使される可能性があることを示唆している。

 会見で同NPO法人理事長の三木由希子氏は、日本の安保・外交政策に関心のある専門家が、情報公開訴訟をどんどん起こすことが状況を良くする、と訴える。だが、今のところ、同様の訴訟の件数は至って少ない。三木氏は、「今回の訴訟には、自ら前例をつくらねば、という思いもあった」と表明した。

■ハイライト

  • 訴訟の対象:外務省の行ったイラク戦争検証報告書その他検証に関する資料の不開示決定に対する取消等
  • 原 告:特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長 三木由希子 (法人としての提訴)
  • 被 告:国(処分庁 外務省)
  • 日時 2015年7月16日(木)14:00~
  • 場所 司法記者クラブ

独立委員会が検証する欧米、内部調査のみの日本

 「外務省に対し、2015年1月に情報公開請求を行ったところ、2月に『一部開示』という決定が下されたが、検証結果の報告書自体は『一切不開示』とされた。この件を不服に思い、今回、提訴に踏み切った」

 三木氏は、提訴の経緯をこう説明した。原告は情報公開クリアリングハウスで、被告は国である。

 対テロ戦争と位置づけられたイラク戦争では、日本は2003年3月、当時の小泉純一郎首相が、米国のイラクへの武力行使を支持する表明を行い、特措法で自衛隊をイラクへと送り込んでいる。

 しかし実際は、武力攻撃の根拠とされた大量破壊兵器はイラクで見つからなかったなど、戦争の正当性が疑われて、国際問題へと発展する。米英やオーストラリア、さらにはオランダでは、独立委員会による検証が行われており、結果の公表が進んでいるが、日本はこれとは対照的である。三木氏は、「あくまでも、外務省内部で調査が行われており、海外の標準とは異なる」と強調した。

(…会員ページにつづく)

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「イラク戦争での自衛隊派遣「政府判断の正否」は藪の中に――情報公開クリアリングハウスが国を提訴、「秘密保護法+安保法制」の危険性に警鐘」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    イラク戦争での自衛隊派遣「政府判断の正否」は藪の中に――情報公開クリアリングハウスが国を提訴、「秘密保護法+安保法制」の危険性に警鐘 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/253210 … @iwakamiyasumi
    独立委員会が検証する欧米、内部調査のみの日本。秘密国家と化している。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/626861326787309568

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