「今の政権への国民の批判や不満は、減ることはないと思う。安保法案の強行採決は国民の心にかなりの影響を与えた。したがって、次の選挙、またその次の選挙で、野党が一致結束できれば、圧勝できる」──。
安全保障関連法案が、衆院平和安全法制特別委員会で採決された2015年7月15日。午後3時過ぎから、東京都千代田区の参議院議員会館で、生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の小沢一郎氏が緊急会見を行った。
この日、正午過ぎの強行採決を受けて行われた、野党5党(民主・維新・共産・社民・生活)の党首会談を終えたばかりの小沢氏は、翌7月16日の衆議院本会議での政府案採決には、野党5党すべてが欠席を決めたことを報告した。その後の質疑応答の中では、本質を欠いた議論しかできない安倍政権の姿勢を批判。今後の野党共闘の可能性に言及するとともに、国民世論の高まりに期待を寄せた。
今回の強行採決を、「自分だったら、やらない」と言う小沢氏は、官邸の強い意向があったのだろう、と推察。その上で、これまでの安保法案の審議について、「安倍総理の説明は、良く言えば、論理的ではない。悪く言えば、しっちゃかめっちゃか」とし、本当にこのまま突っ走れるのかは、今後の参議院での審議や、世論の動きに左右されると述べた。
「憲政の歴史の中で、今日の出来事を記述するとしたら?」という質問には、「安倍内閣は衣の下の鎧(よろい)を隠すため、意味不明な言葉を弄んでいる。それは歴史に逆行する考え方だと、私は思う」と語気を強めた。その上で、「賢明な主権者の国民が、これではいけないと流れを押し戻し、正しい道を選んだという結果になれば」と語った。
- 日時 2015年7月15日(水)15:15めど(15:00開場)
- 場所 参議院議員会館 地下2F 「生活」会議室
「国民の反発は一時的」と軽く考えている官邸
まず、野党党首会談の内容について、小沢氏は次のように報告した。
「衆議院本会議では、今回の強行採決への抗議の意味も込めて、野党5党とも、政府案の採決には欠席することで一致した。ただ、各党の対応は少しずつ違い、民主、共産、社民は討論してから退席する。維新は、単独で提出した法案の採決には加わり、そのあと退席するという。
私たちは、討論する以上は採決に参加することが筋だと考えている。しかし、今の政府の無責任でいい加減な法案、こういうものを成立させるべきではないし、採決を認めるわけにはいかない。従って、われわれは本会議を欠席することにした」
続いての質疑応答では、小沢氏が「強行採決はない」との見立てを示していたことについて、「小沢共同代表から見れば、今の政権運営は、従来のルールを逸脱しているように映るのか」という質問があった。
小沢氏は、「私が強行採決はないと予想していたのは、自分が政府・与党の立場なら、やらないと思うからだ。今回、何が何でも採決ということになったのは、官邸の強い意向なのだろう。あとは(安保法案に反対する)世論の高まりを期待したい。私どもも折々に、それを主張していきたい」と答えた。
次に、「今後、野党として、どのように闘うつもりか」という問いには、「こういう形で、国の将来を左右する問題を強行すれば、国民からの批判も強まる。官邸としては、日本人は喉元過ぎれば忘れる、強行採決への反発は一時的なものだと、軽く考えているのではないか。しかし、この問題は時間とともに風化するものではない」と述べた。
法案が、再び衆議院に差し戻された際に、不信任案を次々に出して潰す方法もある、と小沢氏は言う。「不信任の主旨説明に時間制限はないので、その気になれば、アメリカ議会であったように2~3日話し続ける戦術もとれるが、そのためには、今の政府に対する国民の怒りが、もっと高まらないといけない」
「安倍総理の説明は、しっちゃかめっちゃか」
「安倍政権は、衣の下の鎧を隠すため、意味不明な言葉を弄ぶ」 ~小沢一郎氏が安保法案の強行採決を痛烈に批判「賢明な主権者が流れを押し戻し、正しい選択を」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/253421 … @iwakamiyasumi
不信任案策まで提言した小沢氏。支えるのは国民の怒り。
https://twitter.com/55kurosuke/status/622340266003816448