子宮頸がんワクチンは、本当に必要なワクチンなのか――。
自分の名前が言えない、親の顔が分からない、階段が上れない、計算ができない。子宮頸がんを予防するワクチンだと信じて接種した後、歩行困難や記憶障害、失神や激しいけいれんなどの重篤な症状に苦しみ、通学を断念せざるを得ない少女たちが後を経たない。中には、将来が見いだせず、自殺をほのめかす少女もいるという。
2015年3月31日、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の副反応被害者とその家族らが全国から集まり、午前10時過ぎから、ワクチンの製造元である製薬会社2社と厚労省を訪ね、被害者の救済と早期全面解決を求める要求書を提出した。
その後、被害状況を訴えるため国会議員事務所を訪ねた被害者らは、17時から参議院議員会館で、支援者、医師、国会議員らを交えた院内集会に参加。約10時間に及ぶ大行動は19時に幕を閉じたが、その間、被害者少女の中には、突然の発作で横になる姿もあった。
集会では、横浜市立大学附属病院の小児科医である横田俊平教授が登壇し、約1500例に及ぶ臨床データを元に、独自のチームで解析した経過を報告。そのなかで横田教授は、厚労省の専門部会の驚くべき実態を明らかにした。
現在、ワクチンの副反応について検討を重ねている、厚労省の専門部会の桃井真里子座長が、横田教授との会話の中で、子宮頸がんワクチン副反応の患者を「カルテだけで50例を診た」と発言したというのだ。もし桃井座長が副反応被害に苦しむ患者を一度も診療することなく、カルテだけでこの問題を把握しているとしたら大きな問題である。
臨床経験がない座長が、同ワクチンのリスクや安全性について検討する部会をとりまとめ、現在も、ワクチン接種の積極的勧奨再開の是非を検討しているのだろうか。IWJはその真偽を確かめるべく、桃井座長に取材する予定だ。
- 日時 2015年3月31 日(火) 17:00~
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
- 主催 全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会
薬剤師のはたともこ元参議院議員「百害あって一利無しの『ただ乗り』ワクチン」
日本国内で認可されている子宮頸がんワクチン2種のうち、「サーバリックス」が承認されたのが2009年10月。2年後の2011年7月、厚労省は「ガーダシル」を承認した。そして、2013年の3月、改正予防接種法が国会で成立し、この2種の子宮頸がんワクチンも「定期接種」の対象として追加されている。
この同法改正に、国会議員で唯一反対したのが、薬剤師でもあり、現在は山本太郎参議院議員の公設第一秘書を務める、はたともこ元参議院議員だ。2013年3月、はた氏は、参議院厚生労働委員会で、子宮頸がんが、ワクチンによってではなく、定期的な検診で予防できる確立が高いがんであることを、当時の厚労省健康局長・矢島鉄也氏の答弁から引き出している。
集会で挨拶したはた氏は、怒りをあらわにしながら、当時を振り返り、こう説明した。
▲「少女たちの未来を奪った責任をどう取るのか」国会議員に対し訴えるはたともこ氏
「このワクチンが日本に導入される時点から、どうもきな臭いと思っていた。国会議員になり、このワクチンを定期接種にするかどうかという法案の採決の場に立ち会い、どうしても、賛成することはできなかった。残念ながら反対したのは私一人だけで、法案は通ってしまった。
このワクチンは、本当に必要なワクチンなのか。
国会で質疑をした時、当時の矢島健康局長は、私の質問に対し、(がんリスクのあるヒトパピローマウイルス)16型と18型の日本人一般女性の感染率はそれぞれ、0.2%と0.5%、合わせて0.7%ですと言った。感染しても、90%のウイルスは自然に排出される。さらに残りの10%が、軽度異形成、中等度、高度異形成と進展して行く可能性があっても、軽度異形成の90%は2年以内に自然治癒すると、矢島健康局長は、はっきりと答弁している。
もしかしたら、10万人に7人には効果があるかもしれないワクチンだが、そもそも90%自然排出、90%自然治癒なのだから、ただの『ただ乗り』ワクチンではないかと思っている。本当に必要なことは、定期的な検診。細胞診とDNAの併用検診を自治体がサポートして、検診しやすい体制を構築し続けていくことによって、誰も、がんにはならない。百害あって一利なしのワクチンだと確信している。
このワクチンが不要であることを国に認めさせ、まずは勧奨中止、承認の取り消しに持っていくべきだと思っている」
厚労省指定の医療機関で医師らが暴言
今年2015年3月、厚労省は、子宮頸がんワクチン接種後の痛みを治療する協力医療機関を、全国に70か所整備した。しかし、集会でスピーチした被害者家族の証言により、これらの指定病院の対応の杜撰さが明るみになった。
大阪府に住む薮内さんは、この4月で高校3年になる女子生徒の父親だ。厚労省が指定した大学病院に駆け込んだ、妻と娘の経験を告白した。
「厚労省が指定した大学病院の中に、大阪大学病院が入っていたので、妻と娘はすがる思いで受診しました。担当医から、『歩いて立ってみてくれるか』と言われ、当然、歩くのもしんどい状況で、歩き方も変になっていた娘に対し、医師は『ちゃんと歩いてくれないか』と言ったそうです。
その後も、ワクチンの副作用について報道されてから、騒いでくる人が増えたと、だから、うちの娘も騒いでいるだけではないかと、その医師は言い、国が指定した病院だから信用して、前向きに診てくれるだろうと期待して行った娘と妻は、悔しい思いをして泣きながら帰ってきました」
▲大阪府から来た薮内さん「娘は目が見えなくなってパニックになったことも」
県外の病院に片道3時間かけて通院 経済的にも「限界」
愛知県から駆けつけた、同じく高校3年生の母親である谷口さんも、協力医療機関に指定されている愛知医大の医師から「子宮頸がんワクチンは素晴らしいワクチンだ」と告げられた経験を告白した。
「厚労省が選定した愛知医大に行きました。痛みの研究班のリーダーということで、ワクチンの副反応を調べていただけるものだと思っていましたが、医師は笑顔で私たちに向かって、『このワクチンは、がんに唯一効果のある素晴らしいワクチンなんだよ』と言いました。はらわた煮え返るくらいの思いで、怒りを感じました。
愛知には大きい病院がたくさんあります。しかし、どこの病院に行っても、拠点病院となっている愛知医大に行ってくださいと言われます。愛知に住みながら、愛知の病院にかかれない。県外の病院に片道3時間かけて通う状況が続いています。早くなんとかしていただきたい。発作で急に倒れてもかかる病院がないんです。救急車で運ばれても、副反応を認めてもらえない病院からは、することがないから帰ってくださいと言われる状況です」
谷口さん親子は母子家庭だ。仕事を休むことが困難な中、一人家で待つ娘の元に帰ると、転んだ娘の頭にはたんこぶが、口が切れて血だらけになっていたこともあるという。
「私たちは、国を信じ、医者を信じて、このワクチンを接種させました。実際に副反応が起きると、私たちはこの2年、ほったらかしです。補償もなければ、謝罪もない。そんな辛い状況の中で、日々、辛い症状と闘っている娘を見ているしかない。
母子家庭なので、子どもを一人残して、仕事に行きますが、娘が倒れて、頭をぶつけてたんこぶを作り、口が切れて血だらけになっていたこともあります。『辛い、しんどい。帰ってきて』と言われても、帰ることができません。高額な医療費を払って、明日の生活をどうしようという所まで来ています。限界が来ています」
多彩な副反応症状「共通してHPVワクチンを打っている。臨床医学的には確実に、ワクチンによって起こっている」
▲横浜市大の小児科内に「HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)」研究室を立ち上げた横田俊平教授
次に、横浜市立大学附属病院の小児科医、横田俊平教授がスピーチした。横田教授は、国内外の同じ志をもった医師らと協力し合い、これまで1500例近い臨床症状を分析してきた。子宮頸がんワクチンの副反応被害を「医療界が作ってしまった病気」だと断じた横田教授は、横浜市大の小児科内に研究室を立ち上げたばかり。
話の中で、横田教授は、ワクチン接種後の副反応を検討する、厚労省の部会で座長を務める、桃井真里子小児科学教授(自治医科大学)と交わした会話について紹介。桃井座長の口からは、信じられない言葉が飛び出した。