10月21日(火)朝8時から、テレビ朝日「モーニングバード!」に出演しました。
番組では、20日の経産大臣と法務大臣の「ダブル辞任」が大きく取り上げられました。安倍総理の思惑はもちろん幕引きですが、そう上手くいくとは到底思えません。今の内閣には、資質に問題のある人たちがあまりにも多いからです。
橋下徹・大阪市長と桜井誠・在特会会長が「会談」し、お互いを罵倒しあう映像も紹介されました。ただただ、幼稚なののしり言葉の投げつけ合いに、呆れ返るばかりです。
このほか、エアマットで海に出て漂流した大学生のニュース、中国のガソリンスタンドで自動車が「ひったくり」にあった出来事にもコメントをしました。
この10月23日で、新潟県中越地震の発生から10年。地震の影響で起きた土砂崩落現場から生還した当時2歳の男の子は、現在12歳。肉親をうしなった傷を乗り越え、夢を追う姿に心を打たれました。
目玉人事が政権の致命傷に? 経産相・法務相のダブル辞任
小渕優子経産大臣と、松島みどり法務大臣が、20日に辞任しました。お二人とも、9月の内閣改造で入閣。目玉とされた「女性閣僚」でした。
小渕議員には、政治資金規正法違反の疑いが持たれています。支援者向けに主催した観劇会の収支をめぐり、資金管理団体「未来産業研究会」と後援会など4団体の政治資金収支報告書で、大きな食い違いをみせているためです。
また、小渕議員は下仁田ネギやこんにゃくなど、地元群馬県の名産品を政治活動費から購入していました。これについては、県外支援者への「贈答用」だと説明。さらに、「さまざまな人と交流し人脈を広げることは(政治家の)重要な仕事の一つ。政治活動の経費として認められると思っている」と発言しています。
明らかに小渕議員は公私混同をしており、歪められた「政治活動」にいそしんできたと見られても仕方がありません。
一方、松島議員は、似顔絵や政策などが印刷された「うちわ」を配布したことが、公職選挙法違反の寄付行為にあたるとして国会で追及されていました。ご本人は「討議資料」だと主張し、「うちわに見えるもの」などと強弁していました。
これに対し民主党は、松島議員の刑事告発に踏み切ります。法の番人であるはずの法務大臣が、違法行為の疑いをかけられたわけです。松島議員は、自分の作った「うちわ」で火種をあおって大火事にしてしまいました。
任命責任が重く問われる安倍総理は20日、「深くお詫び」すると口にし、同日中に、経産大臣の後任には宮沢洋一氏が、法務大臣の後任には上川陽子氏が内定します。
安倍総理には、「ドミノ辞任」から第一次安倍政権崩壊を招いた、苦い過去があります。今回は、さっさと首をすげ替えることで、素早い幕引きをはかろうとしているのは間違いありません。しかし、そのような延命策が功を奏するでしょうか。
岩上「民主党の海江田代表が『閣僚の資質に疑いがある方がまだいる』という風におっしゃっています。安倍さんの思惑としては二人同時に辞めさせることでマスコミの集中砲火を避け、報道の量を最小限に抑えようとしたのでしょう。
しかし、たとえば、江渡聡徳防衛相の政治資金収支報告書に問題があったのでは、という報道が出ています。また、新たに経産相になられた宮沢洋一さんも東電株をたくさんお持ちだと言われています。これが利益相反に該当するかもしれない。これは、そのままでスキャンダルではないでしょうけど、売ることができるのか、という追及も出るでしょう」
宮沢新経産相の身辺では、就任早々、スキャンダルの嵐が巻き起こりました。23日には、宮沢経産相の資金管理団体の「宮沢会」が、広島市内の繁華街にある「SMバー」に政治活動費を支出していたことが明らかになりました。
名目は「交際費」だということですが、下着姿の女性をローブで縛る出し物があるという場での「交際」が、どうして「政治活動」と結びつくのか。理解に苦しみます。
「SMバー」を訪れたのは秘書の方だとのこと。宮沢経産相が「不適切な行為だった」と認め、政治資金収支報告書の訂正をすれば、それで済まされる問題なのでしょうか。
このほかにも、安倍内閣には、「資質に疑いがある」面々がいます。番組で私は、山谷えり子国家公安委員長と高市早苗総務相の、在特会やネオナチとの関係について言及しました。
岩上「山谷えり子国家公安委員長がヘイトスピーチ団体の在特会との関係を疑われたり、高市早苗総務相はネオナチ団体の代表と一緒に写真を撮影していますね。
日本のテレビ・新聞はこれらをほとんど報じませんが、世界的にみたら絶対に許されないことだと、海外では厳しい批判が集中しています。
これらのことを、いつまでも知らんぷりし続けられるのか。きちんと説明し、答えていくことが必要になってくるだろうと思いますね」
橋下徹・大阪市長と桜井誠・在特会会長の罵りあい
番組の中で私がコメントを差しはさむ機会はありませんでしたが、20日には大阪市長の橋下徹氏と、在特会会長の桜井誠氏が、報道陣を前に、罵りあいを演じるという出来事がありました。
番組では、その一端が紹介されました。IWJでは、二人のやりとりがどんなものであったか、全編にわたり視聴が可能です。ぜひ会員登録の上、ご覧いただきたいと思います。桜井氏が報道陣に対して凄んでみせる場面も完全収録。貴重な記録です。
終始「おまえ」呼ばわりし続けた橋下市長の方が、あの在特会の会長よりも柄が悪く見えたのは、苦笑するしかありませんが、桜井氏が自身の著書を脇においてちゃっかりPRにつとめ、橋下氏は何の思惑か、「選挙に出ろ」と桜井氏に出馬をしきりにすすめるなど、統一地方選への妙な生ぐささもかぎとれました。
「冒険」に出航した大学生、119番で難を逃れる
19日、神奈川県葉山町の森戸海岸沖およそ3キロの海上で漂流していた男子学生(19)が、横須賀海上保安部によって救助されました。学生は、救命胴衣も着けず、長袖シャツにジーンズというラフな格好でエアマットに乗り込み、大海原へ漕ぎだしたそうです。
この学生は、沖合に浮かぶ無人島の「名島」を目指したということですが、果たせないまま漂流。自分で119番をしたところ、同海上保安部のほか、葉山町消防、葉山署、葉山港管理事務所から12人と船1艇が出動する騒ぎに。学生は、海上保安部からきついお灸をすえられたといいます。
岩上「なによりも、携帯電話が通じてよかったですね(スタジオは大爆笑)。ポチャンといったらおしまいです。
冒険サークルのようなものに所属しているということですが、それにしてはあまりに考えがありませんでしたね。行き当たりばったりの感じがします」
ガソリンスタンドで「ひったくり」が狙うもの
中国・重慶市からのニュースです。ガソリンスタンドで給油中の車から、運転手が離れたわずかの隙に車が盗まれました。スタンドの店員が給油している最中、運転手は店内へ料金の支払へ。鍵をドアにかけたままでした。
そこへ若い男が一人あらわれます。獲物に目を付けたのか、車の周囲をうろうろしていましたが、店員がいなくなった瞬間、ドアを開き急発車。あっという間に姿を消しました。
岩上「一瞬の出来事ですね。
特にセルフ式のスタンドだと運転手は車を離れやすいですよね。これは中国のシステムに隙があるというわけではなく、世界中どこでも起こりうることですね。気をつけないと。ひったくりと同じということですね」
新潟県中越地震10年 悲しみを夢で乗り越えようとする12歳の少年
2004年10月23日に新潟県中越地震が起きました。マグニチュードは6.8、震度は最大で7を記録した大きな地震。亡くなった方は68人にのぼります。
車ごと土砂に押しつぶされ、生き埋めにされた状態から奇跡的に救出された当時2歳の男の子は、今12歳。皆川優太くんの身長は170センチメートルを越え、柔道に打ち込む充実した日々を送っています。
当時の記憶はほとんどないということですが、同じ車に乗っていたお母さんとお姉さんは亡くしました。「なぜ自分だけが助かったのか」と自問することもあったといいます。
「いろんな人のおかげで中学生になれたので」と、周囲の支えに対し感謝の言葉を口にする優太くん。「人を守ったり人の役に立つ仕事がしたい」と夢を語りました。
岩上「東日本大震災での自衛隊の活躍ぶりを見て心を動かされたということですね。自衛隊が人を守り助ける仕事なんだと素直に思えた。
たしかに、それくらい東日本大震災の被災地では自衛隊が活躍していました。これからも人を守り助ける仕事をする自衛隊であってほしいと強く思います。この男の子もそういう場で活躍してほしいですね」
★岩上安身がレギュラーコメンテーターとして出演中のテレビ朝日「情報ライブショー モーニングバード!」は、毎週火曜日午前8時から放送中! ぜひ、ごらんください。