7月22日(火)朝8時から、テレビ朝日「モーニングバード!」に出演しました。
スタジオでは、海水浴場で若者たちが飲酒し、大音量で音楽を流す、いわゆる「クラブ化」の規制の問題が取り上げられました。集客のために容認するのか、それとも風紀を保つために厳しい規則を設けるのか。対応の違いから、これからは海水浴場の間で、「棲み分け」が生まれてくるのではないか、と思います。
その他、今年4月に韓国で沈没したセウォル号の運航会社の実質的オーナーで、指名手配されていた兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者の遺体が発見されたニュース、岡山県倉敷市で小学5年生の女の子が49歳男に監禁されていたニュースについてもコメントしました。
セウォル号オーナーの変死
韓国旅客船セウォル号沈没事故で、新展開です。韓国の南西部に位置する全羅南道の順天(スンチョン)市で6月12日に、変死体が発見されました。この遺体は、セウォル号の運航会社「清海鎮海運」の事実上のオーナーであり、背任などの容疑で指名手配されていた、兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者(73)のものであると見られています。遺体は、損傷がかなり進んだ状態で発見されたといいます。
事故直後より行方をくらましていた兪容疑者は、5月22日に、自身の関連会社から巨額の資金を不正流用したとして、横領や背任の容疑で指名手配されていました。また、兪容疑者は、沈没の原因とされる過積載と復原性の問題についても関知していたとされ、捜査当局は、兪容疑者の刑事責任を追究する方針だったと韓国メディアは伝えています。
事故発生の直接的責任が問われる人物だけに、5億ウォン(約5000万円)の懸賞金をかけた上で、数千人規模の大がかりな捜査態勢がとられていましたが、ついに、このような姿で見つかることとなりました。事故の全容解明は、極めて困難になったと言えます。事故なのか、自殺なのか。他殺という可能性はありえるのか。事件は謎に包まれてしまうこととなりました。
岩上「まず、真相究明のために、ご本人に話して頂かないと分からないことがあったと思います。それから責任の取り方ですね。ご本人がいなくなってしまえば、責任の取りようがなくなってしまいます。残された遺産から被害者の補償が進むとは思いますが、真相の究明はできません。
また、どんな理由でお亡くなりになったのか。これもきちんと突き止めなくてはなりません。たとえば突然死や病死、ひょっとしたら自殺の可能性もある。
しかし、それ以上に、ユ・ビョンオンさんを邪魔に思う人がいて、亡き者にしようと考え、実行した可能性もある。服毒などの手段が考えられます。遺体の検証をしっかりやってもらいたいですね」
【兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者の刑事責任】
兪容疑者の指図により船内の改修工事がおこなわれ、その結果、船体の復原性に重大な支障をきたすようになったことが分かっています。兪容疑者は、すでに業務上過失致死罪で起訴されている清海鎮海運社長のキム・ハンシク被告から、復原性の問題について報告を受けていながら、運航の継続を指示していたものとみられています。
なお、22日にソウル警視庁は、国立科学捜査研究院による鑑定の結果、順天で発見された遺体のDNA型が愈容疑者のものに一致したことを発表しました。
また、同研究院は遺体の鑑定結果を25日に発表しましたが、愈容疑者の確たる死因は、はっきりとつかめていないようです。
同じ25日には、愈容疑者の長男で、横領など容疑で指名手配されていた兪大均(ユ・テギュン)容疑者の身柄が捜査当局により拘束されました。ユ・テギュン容疑者は、清海鎮海運の持ち株会社アイワンアイホールディングスの最大株主。清海鎮海運の経営に影響を及ぼしてきたものとみられます。これで事故原因の解明に一歩近づくのか、先行きはまだ不透明です。
49歳男が小5女児を監禁:「そこで育てたかった」
少女を育て、我がものとする男性の妄想は、「源氏物語」から映画「コレクター」にまで、繰り返し描かれてきました。こうした願望なり、妄想なりは、よほど根深いものと思われます。しかし、フィクションの中で描かれている話を、実行に移そうとしたら、言うまでもなく重い犯罪です。絶対に許されません。
岡山県倉敷市では今月14日から小学5年の女の子の行方が分からなくなっていましたが、19日夜に49歳の男が監禁の容疑で逮捕され、女の子は無事保護されました。
逮捕された藤原武容疑者は背が高く、一見するとスポーツマン風。また、大学で講師をしていた経験もあるということで、部屋には哲学を勉強したと思わせる本が並んでいたそうです。他人に与える印象とは裏腹の行為を行っていたようです。
藤原容疑者が女の子を監禁していた4畳半の洋室には窓がなく、ドアは外から鍵をかけるようになっていました。また、壁、天井、床に防音材を入れる改装工事が施されていたということです。
岩上「監禁部屋の防音工事から分かるのは、計画性があったということですね。小さい女の子を連れ去ってきて、育てていこうという『夢』が、彼の内面で長期に渡って育まれ、そして、その『夢』を実行に移そうとしていた。大変な妄想だな、と思います。
ところで、藤原容疑者のアニメ趣味が大きく取り沙汰されていますね。彼の旧い知人男性によれば、昔からアニメが好きだったようです。自宅二階には、壁、床、天井に、アニメのポスターが多数貼られている一部屋があるという証言もあります。さらに、アニメのイラストを描く趣味があったようです。
捜査員が踏み込んだ時、女の子はテレビでアニメをみていました。藤原容疑者はすぐ近くにいましたから、あるいは一緒に見ていたのかもしれません。
こうしたことから、一部では、『アニメが好きだから監禁したんだ』という見方があるようです。
しかし、単純に、『アニメ好き』という趣味と、『監禁』という犯罪行為を結びつけることに対して、多くのアニメファンは反発していると聞きます。この声には耳を傾ける必要があると思いますね。
小さな女の子を連れてきて育てる、ということを描いた文学は『源氏物語』からあります。それを考えると、男性の一部にある、惹きつけられる願望のようなものが、かつては文学に描かれ、今日ではいわゆるサブカルの中で描かれる傾向があるのだと思います。そこのところを、少し腑分けして考える必要があるように思いますね」
海水浴場の「棲み分け」
この3年、忙しすぎることもあって、湘南に行く機会がなかなかありませんでした。IWJを設立し、「3・11」が起きて、忙しさが尋常ではなくなる前は、毎年のように夏は湘南へ出かけていました。
その湘南の海岸が、近年、にぎやかなのが度を超して、騒がしくなりすぎているようです。
ここ数年、夏の海水浴場では、大音量で音楽を流しながら飲酒する若者たちが集う、いわゆる「クラブ化」が著しいと言われています。逗子海水浴場では、騒音や不法侵入を巡って警察が出動する騒ぎとなったことも度々でした。昨夏には、ついに殺傷事件まで発生しています。
逗子市ではこの夏より、新しい条例による海水浴場利用規則が設けられ、飲酒およびバーベキューを砂浜で行うことは禁止となりました。また、入れ墨・タトゥーの露出も禁止。さらに、楽器や音響装置で音を鳴らすことも禁止となりました。海の家の営業は、6時半までとなりました。
このように「厳しい」措置が取られた結果、主に若者客が離れたため、海水浴客は激減しているということです。逗子市が集計したところによると、7月16日の時点で、1万4320人。これは昨年同時期のわずか17%でしかありません。
家族連れの海水浴客からは、「ガラがよくなった」との声も聞かれる一方で、売上げが「90%ダウン」になったとこぼす、海の家の経営者もいます。海に来たのだから、酒と音楽が必須だ、と感想を述べる若者客の姿もありました。
条例の改正案は今年2月26日、市議会で可決されました。一方、それに先立つ24日には、海の家の運営団体である逗子海岸営業共同組合から、改正の差し止めを求める提訴が市に対して出されていました。その後も組合側の態度は硬いままでしたが、海開き直前になり、条例に準じた独自ルールに則って営業する方針へ転換したといいます。
海の家側にとっては、売上げ減の懸念が的中した形となりました。規制緩和を申し入れる動きもある一方で、「厳しい」規制のまま、新しい客層を呼び込もうとしている海の家もあるということです。
若者たちはというと、逗子海岸を避け、鎌倉市の由比ガ浜海水浴場へと大挙して押し寄せています。大きな音で音楽を鳴らしながら、アルコール類を一気飲みする若者たちの姿がそこにはありました。
由比ガ浜海水浴場では、砂浜での飲酒は可能、音楽も80デシベル以下でなら鳴らしても大丈夫だとのこと。警備員が巡回していますが、若者同士で小競り合いが起こることもあるようです。また、海の家の営業は午後10時まで許可されています。
岩上「これは棲み分けが起こっていくような予感がします。
僕らが子供のころ、昭和40年代の湘南と言えば、こんな大音響の音楽もかからないし、お酒を飲んで宴会をしているような若者だらけ、なんていうことはなく、家族連れが楽しめる場所でした。
今のように海辺が『クラブ化』している状態というのは、楽しんでいる若者たちはいいけれど、それ以外の人たちにとっては迷惑以外の何ものでもないですね。お年寄りや小さい子供もいますし、『怖いな』と思うでしょうね。全世代向きの海岸が一番いいのではないでしょうか。
由比ガ浜はサーファーが多い場所ですね。一方、逗子から葉山にかけてはヨットを楽しむ人が多い。もともと海の楽しみ方の違いがあり、訪れる階層にも違いがありますね。
その意味で、今年は逗子では一時的に海水浴客の減少がありましたが、逆にこれから、ハイソサエティな海の楽しみ方を提供する海岸に仕立て直していけば、品のいいお客さんが逗子に増えていくのではないでしょうか。
音楽にしても大音量でガンガン流すのではなく、綺麗な音楽を静かにかけるのならば、好ましいかも知れませんしね、波音が聞こえるくらいの」
ちなみに、「モーニングバード!」の収録中に流れるジングルは、ジェイク・シマブクロ氏のウクレレの演奏。こんな小洒落たウクレレの音色やアコースティック・ギターのストリングスが聞こえてくる海岸で、まったりする休日を過ごしたいものです。
皆さん、楽しい夏休を!