【岩上安身のツイ録】AKB48襲撃事件、背景にあるのは雇用の流動化 「モーニングバード!」で岩上安身がコメント 2014.5.27

記事公開日:2014.5.27 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

※5月27日の岩上安身の連投ツイートをリライトして再掲します。

 5月27日(火)放送のテレビ朝日「モーニングバード!」で、レギュラーコメンテーターとして出演している岩上安身は、AKB48のメンバーが刃物を持った男に襲撃された事件、韓国旅客船「セウォル号」沈没事故、大阪市西成区准看護師殺害事件という3つのニュースについてコメントした。

AKB48襲撃事件、「無差別殺傷事件と経済動向はパラレル」

 5月25日、岩手県滝沢市で行われていたAKB48の握手会で、ノコギリのような刃物を持った男が突然暴れ、メンバーの川栄李奈さん、入山杏奈さん、男性スタッフの計3人が怪我を負うという事件が発生した。川栄さんは右手親指の骨折と裂傷、入山さんは右手小指の骨折と裂傷という怪我を負った。3人は盛岡市内の病院で手当を受けた後、26日夕方に退院した。

岩上安身「ファンは問題なかったかもしれませんが、ファンではない人が潜り込めるような状況が問題だったということになると思います。警備の状況をどうやったら完璧なものに出来るか、考えてみるとなかなか難しいんじゃないでしょうか。

 荷物検査をすれば完璧かというと、犯人はノコギリを懐に忍ばせていたわけですね。荷物を全部預けても、懐に何か入れているということはあり得るわけです。となると、ボディチェックを全部完璧にやるのか。しかし、そうすると、ものすごい時間がかかります。金属探知機を入れても、ノコギリは引っかかったとしても、木槌は引っかかりません。

 最後の最後は、結局、瞬間にきっちり止められる、屈強なボディーガードを立たせる、ということになります。よく外国人タレントの周りをプロレスラーの人が固めているような状況があります。あのようにガードを固めるか、アクリル板でさえぎって、穴を通して握手するか。しかしそうすると、親近感はなくなってしまいますよね」

 岩手県警は、青森県十和田市の無職・梅田悟容疑者(24)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。梅田容疑者は警察の調べに対し、「人が集まるところで、人を殺そうと思ってやった。殺すのは誰でもよかった」などと供述しているという。特定の相手がいなかったとなると、無差別殺人を計画していた可能性がある。

岩上「『誰でもよかった』という言葉は、この24歳の男のオリジナルの言葉ではないと思います。過去に数々の無差別殺人事件がありますが、その犯行におよんだ人たちが、必ず言っていた言葉です。

 過去の無差別殺傷事件をひも解いてみたところ、ふっと気がつきました。80年代からこういうものが出始めるのですが、景気がよくなる80年代の後半から90年代まで、ぱったりと無くなるんです。

 それが、金融恐慌が起きた1997年からまた増えて、激増するのが2008年のリーマンショック以降なんですね。経済動向とパラレルな関係にあって、経済と社会全体が冷え込むと、末端で働いていて報われない状況にある人が影響を受けやすい、ということだと思います」

(※)過去の通り魔事件(Wikipediaより)

 「秋葉原連続殺傷事件の加藤智大被告は、書き込みなどで多くの言葉を残しています。彼が書き込んだ言葉の中に、『人と親しくなると怨恨で殺す』『孤立が深まれば無差別に殺す』というものがあります。

 おそらく、無差別に誰でも殺したいと言っていた人は、みんな孤立していた人たちで、どういう状況におかれていたかは千差万別かもしれませんが、やはり人との関わりが十分に持てなかったのではないかと思います。

 その時に考えなければいけないことは、労働環境が不安定というのは、やはり社会を非常に流動化させてしまうということです。昨年の4月、政府の規制改革会議の雇用ワーキンググループで、委員の東大教授が、これからの日本は9割非正規にしよう、などということを発言しています(※)。

 1割だけが正社員で、あとは非正規にして全部流動化しちゃえばいいということを言っています。これは、こういった不安定な気持ちを持った人を大量生産する社会を生み出してしまうことになります。

 ただ単に、企業にとって使い勝手のいい人材がいればそれでいいでしょ、という考え方ではなくて、個々の人間に不安や孤立をもたらすということを、上に立つ人間は考えなければいけないと思いますね」

(※)3月1日に行われた日弁連主催のシンポジウムで、龍谷大学法学部教授の脇田滋氏は、2013年4月11日に行われた規制改革会議雇用ワーキンググループで、東京大学教授の佐藤博樹氏が、「正社員は一割でいい」と提言したことを紹介し、「安定した雇用の正社員がますます減っていく」と批判した。

韓国旅客船事故、兪炳彦元会長の行方は

 発生から1ヶ月以上が経過した韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故。船の運航会社・清海鎮(チョンヘジン)海運の実質的オーナーで宗教家の兪炳彦(ユ・ビョンオン)元会長の行方に注目が集まっている。韓国の検察と警察は、兪元会長に5億ウォン(約5000万円)の懸賞金をかけ、その行方を追っている。

岩上「着手するのが少し遅かったと思います。逃走のための準備をさせてしまったのではないでしょうか。

 この問題が起こったとき、もっと早くすみやかに内偵をして、行動確認をやり尾行をしていれば、身柄はすみやかに確保できたんじゃないかと思います。本格的に逃亡することになると、海を隔てて日本に渡るということも視野に入ってくるのではないでしょうか」

西成の准看護師殺害事件、「強い感情のあらわれ」

 3月下旬から行方不明になっていた大阪市西成区の准看護師・岡田里香さんの遺体が、5月21日、東京都内のトランクルームの中から見つかった。捜査関係者によると、遺体は3月24日に宅配便で岡田さんの自宅から運び出され、25日に中国籍の20代の女が住む八王子のマンションに運び込まれたという。

 マンションにはこの中国籍の女の他に、岡田さんの元同級生の日系ブラジル人の女も同居していたとみられるが、2人は5月3日、羽田空港から上海に出国したという。

岩上「遺体に残っている傷がすごい数だと言われていますね。これまでの考え方からいうと、強い感情のあらわれですよね。繰り返し刺し続けたということ。濃厚な感情があったのではないかと思います。

 問題は、高飛びされてしまっているということですよね。組織的なものが背景にあるとはとても思えないんですけど、しかしそう簡単なことではない。社会が国際化していくということは、こういう事件を解決する筋道が見えない、ということですね」

 時間がなくコメントしきれなかったが、安倍政権はこれまで「タブー中のタブーだった」移民の本格的受け入れに向けて議論を開始すると、第一歩を踏み出した。

 一般のメディアはほとんど報じていないが、5月16日、外国特派員協会で、移民政策研究所の所長を務める坂中英徳氏が、「安倍総理が、移民立国を目指すのであれば局面は一転する」とスピーチした。

 坂中氏は2005年3月に法務省を退職後、外国人政策研究所(現・移民政策研究所)を立ち上げ、日本に移民を受け入れることを提唱。自民党の国際人材議員連盟で勉強会の講師役を務めるなどし、日本の総人口の10%にあたる1000万人を移民が占めることを目指す「移民1000万人政策」を主張している。

 安倍総理は、2月13日の衆議院予算委員会で、日本の移民受け入れについて、「わが国の将来のかたちや国民生活全体に関する問題として、国民的議論を経たうえで多様な角度から検討していく必要がある」と答弁している。

 しかし、移民については、岩上安身は12年も前に、雑誌「正論」で「日本人が消滅する日」と題し、その不可能性を論じている。

 例え日本国内に移民を受け入れたとしても、彼らが日本国内で職に就き、安定した給与を得て、結婚して子どもを生み育てない限り、「人口」が増えることにはならないのである。

★岩上安身がレギュラーコメンテーターとして出演中のテレビ朝日「情報ライブショー モーニングバード!」は、毎週火曜日午前8時から放送中! ぜひ、ごらんください。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です