【岩上安身のツイ録】1万人の「おばちゃん」集団は政府転覆の序曲? 中国当局が恐れる「集団化」 「モーニングバード!」で岩上安身がコメント 2014.7.18

記事公開日:2014.7.18 テキスト
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 みなさん、こんにちは、岩上安身です。7月15日(火)、いつものように朝8時から、テレビ朝日「モーニングバード!」に出演しました。

 スタジオでは、市役所職員による飲酒運転ひき逃げ事件、地方議員の政務活動費の問題、養豚場から生きている豚が消えていく事件、すべてが流された土石流災害の現場で1本のアンズの木が倒れずにいたという話題、そして中国で1万人規模の「おばちゃん」たちが集団で歩き回るという現象、この5点についてコメントしました。

どうやって飲酒運転を避けるか

 12日に埼玉県川口市の県道で、乗信号待ちをしていたミニバイクに車が追突。車の運転手はそのままミニバイクに乗る65歳の女性をひきずり、事故現場から逃走しました。女性は事故現場から1・3キロ離れた場所で死亡しているのが発見されました。

 この事件で埼玉県警武南署は13日、出頭した川口市役所市民税課の松村大貴容疑者を、自動車運転処罰法違反(過失致死)と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕しました。

 松村容疑者へのアルコール呼気検査では、「酒気帯び運転」規定値の数倍の値が検出されました。当初、松村容疑者は、「運転後に酒を飲んだ」と供述していましたが、その後、酒を飲んでから運転したことを認める内容の供述を始めたといいます。松村容疑者が運転していたと見られる車が蛇行しながら走っていた、という目撃証言もあるそうです。

岩上「よく、『飲んだら乗るな』と言います。飲んでしまうと理性による判断ができなくなってしまうのでしょうね。素面の時ならば、誰でも飲んだら乗るのは駄目だと判断できますね。しかし飲んでしまえば、その判断ができなくなってしまう。

 だから、お酒を出すお店の方々が気をつけるなど、周囲や環境がすごく重要になります。警視庁の調査によれば、7月のこの時期は特に飲酒事故が増えます。海の家の中には、周辺に『飲酒運転禁止』というビラを自主的に配る取り組みを行うところもあるそうです」

【発覚免脱罪】

 飲酒運転事故で運転手が逃走した場合、事故の時点でどの程度のアルコールの影響があったのかの判断が難しくなります。結果、刑の重い危険運転致死傷罪の成立要件を満たすことができず、刑の軽いひき逃げの罪だけが問われることになります。これは「逃げ得」と呼ばれ、問題視されてきました。

 「逃げ得」をなくすため、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法あるいは自動車運転死傷行為処罰法)」が、2014年5月20日より施行されました。

 その第4条では、飲酒運転事故を起こした場合に、運転時のアルコールや薬物などの影響がどの程度なのかを、意図的に隠そうとした場合に、「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」として12年以下の懲役刑となることを規定しています。

 松村被告の場合、現場から逃走しているので、ひき逃げの罪も成立すると見られ、最高で18年以下の懲役刑が科されるものと見られます。

野々村氏だけではない 不当な政務活動費の使われ方

 野々村氏は兵庫県議員を務めていた2013年度、ある特定の4カ所のみを195回も訪れ、要した費用およそ300万円を政務活動費から支出していました。野々村氏が当時提出した報告書には、添付が義務づけられている領収書や活動目的の記述が一切ありませんでした。

 7月7日、兵庫県議会は「支出に関して説明ができない場合は辞職を」という勧告を行い、11日に野々村氏は辞職しました。12日には自身のブログで「辞職勧告を厳粛に受け止め、辞職した」と述べましたが、政務活動費の支出に関する詳しい説明はありませんでした。

岩上「先週指摘したように、函館市では政務活動費に関する資料がインターネットを通じて公開され、誰でも閲覧できます。また、世田谷区ではきちんとした領収書が添付されているようですね。

 では、東京都内どこでも同じようにやっているのかと言えば、そんなことはありません。千代田区、品川区、江東区では、過去何度も不適切な支出が問題になっています。驚くような例がゴロゴロあるのですが、中にはエロ本を買ったという区議もいるそうです。

 野々村氏の兵庫県でも、切手代として大きな金額を計上していた県議が複数いることが明らかになっています。こういうことが全国にある。税金が使われているわけですから、皆で突き上げて頂きたいと思います。きちんと見ていけば、必ず発覚しますから。

 税金の使われ方の監視は有権者の義務だと思います。突き上げることによって議員のあり方を正す。事務局に任せきりでは駄目です。民間企業との違いはここにありますね。議員のあり方を正すためには、有権者の行動が必要なのです。そのためにも情報は全て公開されるべきですね。

 もう一つ、官庁・お役所でも議会とは全く規模で、税金が使われていますね。どういう内容の支出なのか分かるような透明性が必要です。『インターネットで公開』を原則にしてもらいたいと思いますね」

養豚場から消える豚

 14日、千葉県東庄町の養豚場から、繁殖用の雌豚13頭が盗まれました。千葉県では、これと似たような、養豚場から豚が生きたまま盗まれる事件が相次いでいるそうです。

 東庄町では、先月22日から23日にかけて20頭が、同県旭市では今月10日から11日かけて18頭が、それぞれ養豚場から盗まれています。いずれの事件も、出荷間近まで育った豚ばかりが選ばれるようにして、消えていたということです。

 現在、豚肉の卸価格は、豚流行性下痢(PED)の流行により昨年同時期より2割近く高騰しているといいます。この事情を知り、さらに養豚場の現場に詳しい人物、という犯人像が浮かびます。

岩上「犯人は手慣れていますね。それから養豚場の場所を正確に把握していますね。誰でも知っている繁華街の宝石店を襲うのとは訳が違いますから。

 本気で捜査をすれば犯人像は絞られてくると思います。豚を盗んだ後に食肉加工することは確実ですね。そうすると屠殺場に運ぶことになる。こういうことができるのは、本当に限られた人物です。おそらくは同業者ではないでしょうか」

アンズの木の記憶

 長野県南木曽(なぎそ)町で7月9日、非常に激しい雨の影響で土石流が発生。家一棟が押し流された結果、中学生の男子一人が亡くなるという惨事が起こりました。一緒にいた母親と兄弟2人は、病院で治療を受けているそうです。

 この土石流により、上水道と農業用水の取水口が破損し、300近い世帯は断水し、ひび割れた姿を見せる田んぼも出始めているといいます。

 14日には、土石流が襲った南木曽町梨子(なし)沢周辺への避難勧告基準が見直され、1時間雨量が10ミリ以上、または降り始めからの雨量が50ミリ以上となりました。この地域には、113世帯278人が居住しています。

 土石流の現場は、一面に大量の土砂と流木で覆われています。そんな光景の中、ただ1本のアンズの木が、枝に葉を茂らせ立っているのが、ひときわ目立ちます。その姿は、被災された方々の心の支えになっています。

岩上「どんな土地にも、どんな共同体にも、物語があると思うんです。時には悲劇であったりするのですが、それを記憶し続けるのはとても大事なことです。

 一本に木には寿命がありますが、このアンズの枝葉や種から別の木が生まれ、『あの土石流の時のアンズの子孫がこの土地に根付いている』という物語が残されていけば、それは素敵な励みになっていくことでしょう」

中国の「おばちゃん」集団

 中国江蘇省徐州市(じょしゅうし)では最近、中高年女性を中心とした大規模な集団が列をなして歩き回る、という現象が起きているそうです。特に今年に入ってからの流行には顕著なものがあり、現在、毎晩7時からの参加者は1万人を超えるといいます。

 地元では「おばちゃん」と呼ばれているこの集団。参加者たちは「健康のため」と口を揃えていますが、信号無視や公道を占拠することもあるといい、地域の警察は対応に頭を悩ませているとされます。音楽のリズムに合わせて歩くため、騒音に対する苦情も寄せられているそうです。

 見ようによっては珍妙なこの現象に対して、スタジオでは色々な意見が出ました。高木美保さんは、「おばちゃんは世界中どこでも元気だな」とコメント。私も確かにそうだとは思いましたが、他方、警察やその背後の中国政府が本当に怖がっているのは何なのか、私は以下のようにコメントしました。

岩上「当局が恐れているのは、集団化だと思います。

 例を挙げると、健康法として流行した『法輪功』には大変な数の人が集まるようになりました。すると集団が政治的な異議申し立てをするのではないか、と当局が思い始めるわけです。

 ところが、西側から入ってきたヒップホップのダンスは許可されています。これは、政治的運動への発展はないと、判断したためでしょう。

 つまり、当局は政治的な意図を持った集団の発生を恐れているのであって、信号無視や騒音というのは、言いがかりでしょうね。今は『おばちゃん』集団にどれくらいの政治的背景があるのか定かでないので静観しているのでしょうが、警戒していると思いますよ。

 これは深い問題だと思います。法輪功の話ですが、今でも港区の中国大使館前には法輪功弾圧に抗議する人が毎日立っています」

 スタジオでは、宣伝を当て込んだ健康用品の企業から、参加者へ無料でTシャツが配られているという情報も紹介されました。興味深い内容ですが、これに関しても、少し違う角度から見る必要があるように感じます。

岩上「健康用品の企業といっても、何か腹に一物を持っているかもしれません。『Tシャツを配っているだけ』と言いながら、人集めの口実にしている可能性があります。また、根拠の有無にかかわらず、当局がそう見ることも考えられます。疑心暗鬼の連鎖ですね」

【法輪功の弾圧】

 法輪功は気功の一種で、李洪志(1951~)により創始されました。元来中国では、気功は健康法として定着し、中国共産党もその活動を容認する傾向にありました。しかし、法輪功の学習者が急速に増えつつあったことを警戒した中国共産党は、1999年7月20日に弾圧を開始し、指導者と見なされた人物たちが拉致・監禁されたといいます。

【過去のモーニングバード!ツイ録記事】

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