【岩上安身のツイ録】佐世保女子高校生殺害事件・続報 父親の「悔しさを滲ませるコメント」と「弁明」「モーニングバード!」で岩上安身がコメント 2014.8.7

記事公開日:2014.8.7 テキスト
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 8月5日(火)朝8時から、テレビ朝日「モーニングバード!」に出演しました。

 スタジオでは先週に引き続き、佐世保での女子高生殺害事件が取り上げられました。加害者少女の問題行動に、両親が対応しようとしていたことが次第に明らかになりつつあります。その一方で、殺害の動機解明につながる動きはまだこれからのようです。

 その他、四国で続く大雨のニュース、顔認証技術とその後ろに見え隠れする監視社会の話題についてもコメントをしました。

四国の大雨

 今月に入り、四国では記録的な大雨が続いています。4日には住民40万人に対して避難勧告が出されました。降り始めからの雨量は多い所では5日までに1300ミリを越えています

 高知市内の県道で発生した土砂崩れの影響で、小中学生ら78人が合宿していた「工石山青少年の家」は、一時的に孤立状態となりました。4日夜から雨脚が止まり、5日朝6時30分に交通規制が解除されたため、小中学生らは難を逃れ、下山することができました。

岩上「いつのタイミングで、どの場所に降るのかがわからないですからね。非常に広域にわたって、だいたいこの辺りに大雨がくるんじゃないか、と言われていても、自分の頭の上は、快晴だったりする。大丈夫じゃないかなと車を出すと、そのスポットに大雨がくることがありますね。これにゲリラ豪雨が重なりますから要注意ですね」

顔認証システムと監視社会

 法務省により4日から、羽田・成田の両空港で、顔認証による出入国審査システムの実証実験が行われています。近年の顔認証技術は精度が向上、目鼻口などの顔の部位の位置を撮影し分析することで、かなりの確度で本人認証が可能となったといいます。番組では検証実験を行い、10年前の写真や、舞妓さんのような圧塗りの化粧をしても、本人認証が可能であることが紹介されました。

 このシステムが導入されれば、装置にパスポートをかざすだけで、すぐに本人であることが確認できるため、入出国審査の時間が大幅に短縮できると期待されています。今回の成田空港の実験には、空港の混雑が予想される2020年のオリンピックを前に、このシステムの導入を図りたい狙いがあるようです。

 出入国審査で並んで待たされる時間は、確かに毎回うんざりさせるものです。手続きに慣れない人にとっても、審査の簡素化は歓迎すべきことかもしれません。これだけなら、利用者にとってはいいことづくしです。

 しかし、技術の運用次第で、監視社会化が進むのではないかという声も上がっています。法務省は、顔認証システムの導入にあたり、データを保存せず、別用途に転用しないことが必要としています。

岩上「最近の技術では顔だけではなく、『歩容』といって、歩き方でも個人を特定できるようになっているそうです。二歩歩いて、一秒間の映像があれば、個人の特定ができるそうです。あるいは、体でも可能となっています。これらの局面だけを取ると、素晴らしいシステムだなと思います。

 しかし、このような認証技術が、商業施設などで、すでに断わりなく使われているんですよ。たとえばディスプレイをのぞき込むと、実は撮られていたりするんです。しかし、撮られていることを教えない。そして、その人が大型の商業施設のどこを歩いているのか、全て追跡してしまう。

 こういう行動履歴が蓄積されていて、商業的に利用しようとしている。『ビッグデータ』と言われているやつですね。これを今、第三者に売る規制を緩めようという動きがあるんです。

 実は日本にはいまだに法規制やルールが確立していません。先進国では日本だけです。逆に商業利用に関してはものすごく積極的です。

 政府のIT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)というところが、パーソナルデータに関する検討会というものを開いています。6月9日ですが、個人情報保護法を少し緩め、個人が特定できないものであれば、個人情報を第三者に提供できるようにしようとしています。

 僕らが知らない間に集められている個人情報が、商業利用のために、業者が他へ売っていいことにしようとしています。そんなことは、もうちょっと厳格な個人情報管理のルールを確立してからやってもらいたいと思います」

【パーソナルデータに関する検討会】

 山本一太IT政策担当大臣は6月9日の「第11回パーソナルデータに関する検討会」の冒頭で、安倍総理の言葉として次のような一節を紹介しました:

 「ビッグデータの利活用は、成長戦略の重要な要素であります。このため、パーソナルデータの取扱ルールを2015年に策定するよう、法制を含めた改革の方向性を速やかに取りまとめていただきたいと思います」

 この日の検討会では個人情報保護法改正の基本方針の原案が出されました。それによると、行動履歴などについては、指名や住所などの個人特定につながる部分を消去すれば、本人同意なしに第三者への提供が認められることになるといいます。また、情報を取得した際の目的以外の用途でも利用が可能となります。

 しかし、専門家からは「本人同意なしの第三者への提供は例外的なものだとするべき」との指摘があります。このような例外的な取り扱いに関して、情報が提供される先の開示と、第三者機関によるきちんとした監督が必要だとする声が上がるのは当然だといえます。

・パーソナルデータに関する検討会

【6月9日の議事要旨】

「悔しさを滲ませるコメント」と「弁明」

 佐世保女子生徒殺害事件の続報です。同級生を殺害した7月26日の3日前、少女は、殺人や解剖に関心があることを母親に話していました。父親の弁護士によると、母親からこの話を聞いた父親は、事件前日の25日に精神科に対して少女の入院を求めました。しかし、個室を独占するなどの理由から、断わられました。

 同日午後6時半頃、父親は児童相談所に電話をします。しかし、担当の職員は退庁しており、「月曜日(28日)にかけ直す」と電話を切ったといいます。父親は名前を名乗らず、相談内容も告げることもありませんでした。父親は、27日に児童相談所に行く予定だったともされています。

 同じ窓口には、少女を診察した精神科医も6月10日に電話をかけています。県関係者によると、精神科医は名前を名乗りましたが、少女の身元を明かすことはありませんでした。電話で精神科医は、小学校時代の給食への異物混入、中学時代の猫の解剖、および金属バットによる父親の殴打を告げた上で、「このままいけば人を殺しかねない」と説明しました。担当者は児童福祉法に基づいた助言をしましたが、少女の名前はふせられていたため、具体的な対応は困難と判断しました。

 父親の弁護士によると少女は3月2日、自宅で父親が寝ているところを金属バットで殴り、頭部に重傷を負わせました。この後、父親は少女を2つの精神科に通院させます。診察した医師から「このまま同じ家にいると、命の危険がある」との助言を受け、少女を一人暮らしさせることにしたといいます。また、両親が、少女の猫の解剖について初めて耳にしたのは、7月7日、精神科医からだといいます。

岩上「事件直後には、加害者少女の親の責任を問う批判がありました。少女には問題行動があったにもかかわらず普通の生活をさせていたというものですね。

 それに対し、父親が謝罪のコメントを出し、さらに、自分たちとしては娘の問題行動を把握していたと説明しました。そして自分も金属バットで殴られ、『このままでは殺される』ということで別の家を借りたと説明しています。

 父親は少女を精神科に連れて行き、なんとか入院できないかと、医者に相談をしていた。さらに、再婚後の母親も、少女の『人を殺したい』という言葉を耳で聞いている。以上のことを、今発表しているわけですね。

 ということは、『我々はできる限りのことはやったんだ』『ただ、あとちょっと遅かった』『もし医者なり児童相談所の早い決断があれば』という悔しさを滲ませるコメントなのだと思われますが、これは、『ずっと放置していたわけではない』という、ある種の弁明であろうとは思います。

 ですから、事件の事情はだんだんと分かってきた。問題も把握していたのでしょう。ただ、一歩遅かった、という話になってきていますね」

 娘の「心の病い」に気づいていて、精神科の医師にも積極的に相談していたならば、親の対処の仕方を一方的に責めることはできないかもしれません。他方、まだ明らかにされていないのは、精神科を受診していた加害少女の治療の過程です。

 向精神薬の中には、自殺念慮や他者への攻撃衝動を高める副作用があるという指摘もネット上では散見されます。少女が向精神薬を服用していたのか否か、もし服用していたとしたら、どのような薬剤なのか、といったことは、まだ明らかにされていませんが、今後のためにも、明らかにされるべきポイントだろうと思われます。

★岩上安身がレギュラーコメンテーターとして出演中のテレビ朝日「情報ライブショー モーニングバード!」は、毎週火曜日午前8時から放送中! ぜひ、ごらんください。

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