「TPPを叩き潰せるかどうかは今年一年にかかっている」―。
民主党政権時のTPP参加表明の舞台裏や、最新の交渉状況について暴いた山田正彦元農水相の著書『TPP秘密交渉の正体』(竹書房新書)の出版を記念して、2月25日、東京都港区・南青山会館でパーティーが行われた。榊原英資氏、原中勝征氏、大下栄治氏、植草一秀氏、孫崎享氏、高木一夫氏が発起人となって開かれたこのパーティーには、鳩山由紀夫元総理や亀井静香衆院議員、福島みずほ参院議員、宇都宮健児弁護士も駆けつけた。
(取材・赤間一欽、記事構成:佐々木隼也)
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特集 TPP問題
「TPPを叩き潰せるかどうかは今年一年にかかっている」―。
民主党政権時のTPP参加表明の舞台裏や、最新の交渉状況について暴いた山田正彦元農水相の著書『TPP秘密交渉の正体』(竹書房新書)の出版を記念して、2月25日、東京都港区・南青山会館でパーティーが行われた。榊原英資氏、原中勝征氏、大下栄治氏、植草一秀氏、孫崎享氏、高木一夫氏が発起人となって開かれたこのパーティーには、鳩山由紀夫元総理や亀井静香衆院議員、福島みずほ参院議員、宇都宮健児弁護士も駆けつけた。
記事目次
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■ハイライト
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山田元農水相は挨拶で、「米パブリック・シチズンのロリ・ワラック氏の情報によると、参加各国や、米国内でも反対の声が強く、今年は妥結は無理だろうという。しかし中間選挙のあとは米政府は再び巻き返してくるだろう。TPPを叩き潰せるかどうかは今年一年にかかっている」と、TPP交渉の状況報告と今後の意気込みを語った。
さらに今の日本を取り巻く状況について、「日本はおかしくなっている。先日、藤波心ちゃんが、『日本の若い人は右傾化している』と心配していた。また亀井静香さんが、『日本国民は生体反応がなくなってしまった。五寸釘を打ち込まれても痛いと言わなくなってしまった』と言われたが、本当にそう思う」と警鐘を鳴らした。
パーティーでは、鳩山由紀夫元総理もマイクを握った。鳩山元総理は、「政治家はポストにつけば、ポストが可愛くなる。政府の方針に楯突けば、報復を受ける。ところが、山田さんは国民のことを考え、結果、農水大臣をやめざるを得なかった」と当時を述懐。
そして鳩山元総理は、「ベトナムに最近行き、枯れ葉剤の影響が今も続いていることを知った。この枯れ葉剤を製造したのがモンサント。それを除草剤に応用した。TPPの背後にいるのがこのモンサントだ」と指摘した。
続いて発起人の一人である、 TPP阻止国民会議代表世話人で前医師会会長の原中氏が登壇。その後も、孫崎氏、植草氏など発起人が順番にマイクを握った。
原中氏は、「私は福島県浪江町出身、双葉高校卒業。原発事故があと何回か起きたら、日本はユダヤ民族のように離散するのではないか。医師会の会長時代、『TPP反対をやり抜こう』とJAの萬歳会長と話していたが、政権交代したら(JAは)離れていった。改憲も許してはならない」と語った。
さらに孫崎享・元外務省国際情報局局長も、「TPPは日本を売り渡す条約。日本は明治以降、たくさんの国際条約を結んで来たが、ここまでひどい条約はない。主権を失ってしまう。日本人は望んで騙されようとしている。政治家も官僚も真実を述べて、行動すべき。みんな今、気概を失っている」と、現在の日本の政治家・官僚の姿勢を痛烈に批判した。
植草氏は、「政治家は、『日本を支配してきた「米」「政」「官」「業」「電」の五者の立場』に立つのか、『主権者である国民』の立場に立つのか。既得権益の側ではなく国民の側に立つ政治家は今、非常に辛い立場に立たされている。国民が、国民の立場に立つ政治家をしっかり支えないといけない」と訴えた。
さらに、「TPPはとんでもないペテン。秘密交渉が続いているが、その中にISD条項が含まれている。その時点で、この条約を認めてはならない」と、語気を強めた。
パーティーでは、TPP阻止国民会議の副代表でもある宇都宮健児弁護士(元日弁連会長)も。飛び入りでスピーチした。
宇都宮氏は、「日弁連会長時代、山田先生からTPPの危険性を訴えられたが、当時、日弁連内部で意見をまとめられなかった。今は、TPPに反対する弁護士ネットワークの共同代表を務めている」と語ったうえで、「ISD条項は日本の司法秩序を破壊するもの。あってはならない。都知事選も終わったので、ノーサイド。これからは皆さんと力を合わせて、脱原発、反TPPで闘っていきたい」と、今後も精力的に脱原発・反TPPを訴えていく決意を滲ませた。