「最大限に注意を払って行いたい」21年かかる廃液処理~第36回原子力規制委員会 2013.12.18

記事公開日:2013.12.18取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2013年12月18日10時30分から、第36回原子力規制委員会が開催された。非常にリスクの高いまま長期間、大量の放射性廃液を保管していたJAEAの理事長を召喚し、処理計画を確認した。

■全編動画

  • 議題
  • 日本原子力研究開発機構(JAEA)再処理施設における潜在的ハザードの固化・安定化計画と対応姿勢に関する確認について
    説明者 松浦祥次郎氏(日本原子力研究開発機構 [JAEA] 理事長)/大谷吉邦氏(JAEA東海研究開発センター 核燃料サイクル工学研究所再処理技術開発センター長)
  • 日本原子力発電敦賀発電所の敷地内破砕帯に関する論点整理について
    説明者 小林勝氏(安全規制管理官(地震・津波安全対策担当))/櫻田道夫氏(審議官)
  • 免震構造の審査手引きの提案について
    説明者 高松直丘氏(原子力安全基盤機構 [JNES] 耐震安全部長)/川内英史氏(JNES機器・システムグループ長)/櫻田道夫氏(審議官)/小林勝氏(安全規制管理官(地震・津波安全対策担当))
  • 故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対処等に関する審査の取扱いについて
    説明者 市村知也氏(安全規制管理官(PWR・新型炉担当))/山形浩史氏(安全規制管理官(BWR担当))
  • 放射線審議会の設置について
    説明者 黒木慶英氏(原子力地域安全総括官)/角田英之氏(放射線対策・保障措置課長)/石川直子氏(放射線対策保障措置課企画官)
  • 原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会の設置について
    説明者 森本英香氏(次長)/山田知穂氏(技術基盤課長)
  • 平成25年度補正予算案及び平成25年度補正機構・定員案について
    説明者 森本英香氏(次長)/金指壽氏(総務課企画調査官(総括・人事担当))/川口司氏(総務課課長補佐(調整担当))
  • 開催案内 第36回原子力規制委員会 開催のお知らせ
  • 配布資料 第36回 原子力規制委員会
  • 日時 2013年12月18日 10:30~
  • 場所 原子力規制委員会庁舎(東京都港区)

JAEA東海再処理施設のプルトニウム、高濃度放射性廃液を放置していたのは経営責任

 独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の東海再処理施設に多量に保管されているプルトニウム溶液、高濃度放射能溶液のリスクを低減するため、粉末やガラス固化体にすることが、先週の委員会で報告されていた。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、長年に渡りリスクの高いまま保管されていたことは「経営責任である」との考えを示し、JAEAの松浦祥次郎(まつうら しょうじろう)理事長を召喚して考えを聞いた。

 JAEA松浦理事長は「(先週の報告の通りに)計画案が規制委員会によって承認されれば、すみやかに行いたい」「プルトニウム溶液は安全に注意するのはもちろん、生成されたMOX粉末は、セキュリティにも最大限に注意を払って行いたい」と述べた。

 更田豊志委員は「研究開発ではなく、保安活動だ」、大島賢三委員は「プルトニウムは国際的に問題になりかねない。注目を集める」と意見した。

 これに対して田中委員長は「(リスクの高いまま保管することは)長い間の懸案事項だったと認識している。理事長の指導力で処理が進むようお願いする」と返答すると共に、完了まで長期間に渡るため(規制委が)フォローアップする」と述べた。

 尚、JAEAの東海処理施設にはプルトニウム溶液が3.5m3あり、2年かけてMOX粉末にする。一方高濃度放射性廃液は406m3あり、全量をガラス固化するには約21年かかると予測されている。しかも、ガラス固化体の保管施設の容量が足りず、今後増設しなければならないことが懸念材料となっている。

敦賀原発2号機敷地内破砕帯について有識者会合を開く

 日本原子力発電所敦賀発電所2号機の直下にある活断層について、事業者からの報告書に対する、規制庁の現地確認が行われた。その結果を踏まえ、有識者会合を開き、再検討することが決まった。

免震構造の審査手引きを発表

 耐地震を鑑み、免震構造の有効性が確認された。今後、原発施設に免震構造が取り入れられることが予想されるが、現状では審査のガイドラインがない。そこで、今後の審査に影響が出ないように、免震構造の審査手引きをJNESのノウハウを生かして取りまとめたものが、規制委に提案された。

 海外でも使ってもらえるよう、日本語版-英語版をペアで作成しており、IAEA、NRCをリードするようなものになっているという。

 更田委員から、ガイドラインにもきちんと著者名を書くよう、強い要望があった。著者名を書かないレポートを出す組織は、外部から買ってきたレポートを自分がつくったように出すだけという文化が育ちやすいという厳しい意見。

 さらに、「あくまで地震により地盤が変形しないことが前提であり、大きな変形構造があるところでも免震構造物は建てられるという誤解を招いてはいけない」と重要な指摘もあった。事務方としては、まだ申請案として審査中なので、ガイドラインとして落とし込めるよう今後も議論する方針。

テロに対する審査は一部非公開

 新規制基準適合性審査について、今後テロ対策等も審査されることになる。その場合の審査会合をどう取り扱うかについて議論された。

 テロ対策等に関する審査会合は、体制や手順書体系等についは透明性確保の観点から公開される。しかし、具体的に詳細な体制や手順、機器配置等はセキュリティ面からみて非公開になることが決まった。

審議会の設置

 放射線審議会と、原子炉安全審査会(原安審)、核燃料安全専門審査会(燃安審)の設置について議論された。

 放射線審議会と原安審、燃安審は性格が異なっている。審議会は審議内容が決められており、早急に設置しなければならない。一方、審査会は従前のものとは同じ名前だが、審査内容をどうするかは決まっていない。どういう役割を持たせるか、今後も継続して議論するという。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です