2013年12月18日10時30分から、第36回原子力規制委員会が開催された。非常にリスクの高いまま長期間、大量の放射性廃液を保管していたJAEAの理事長を召喚し、処理計画を確認した。
2013年12月18日10時30分から、第36回原子力規制委員会が開催された。非常にリスクの高いまま長期間、大量の放射性廃液を保管していたJAEAの理事長を召喚し、処理計画を確認した。
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独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の東海再処理施設に多量に保管されているプルトニウム溶液、高濃度放射能溶液のリスクを低減するため、粉末やガラス固化体にすることが、先週の委員会で報告されていた。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、長年に渡りリスクの高いまま保管されていたことは「経営責任である」との考えを示し、JAEAの松浦祥次郎(まつうら しょうじろう)理事長を召喚して考えを聞いた。
JAEA松浦理事長は「(先週の報告の通りに)計画案が規制委員会によって承認されれば、すみやかに行いたい」「プルトニウム溶液は安全に注意するのはもちろん、生成されたMOX粉末は、セキュリティにも最大限に注意を払って行いたい」と述べた。
更田豊志委員は「研究開発ではなく、保安活動だ」、大島賢三委員は「プルトニウムは国際的に問題になりかねない。注目を集める」と意見した。
これに対して田中委員長は「(リスクの高いまま保管することは)長い間の懸案事項だったと認識している。理事長の指導力で処理が進むようお願いする」と返答すると共に、完了まで長期間に渡るため(規制委が)フォローアップする」と述べた。
尚、JAEAの東海処理施設にはプルトニウム溶液が3.5m3あり、2年かけてMOX粉末にする。一方高濃度放射性廃液は406m3あり、全量をガラス固化するには約21年かかると予測されている。しかも、ガラス固化体の保管施設の容量が足りず、今後増設しなければならないことが懸念材料となっている。
日本原子力発電所敦賀発電所2号機の直下にある活断層について、事業者からの報告書に対する、規制庁の現地確認が行われた。その結果を踏まえ、有識者会合を開き、再検討することが決まった。
耐地震を鑑み、免震構造の有効性が確認された。今後、原発施設に免震構造が取り入れられることが予想されるが、現状では審査のガイドラインがない。そこで、今後の審査に影響が出ないように、免震構造の審査手引きをJNESのノウハウを生かして取りまとめたものが、規制委に提案された。
海外でも使ってもらえるよう、日本語版-英語版をペアで作成しており、IAEA、NRCをリードするようなものになっているという。
更田委員から、ガイドラインにもきちんと著者名を書くよう、強い要望があった。著者名を書かないレポートを出す組織は、外部から買ってきたレポートを自分がつくったように出すだけという文化が育ちやすいという厳しい意見。
さらに、「あくまで地震により地盤が変形しないことが前提であり、大きな変形構造があるところでも免震構造物は建てられるという誤解を招いてはいけない」と重要な指摘もあった。事務方としては、まだ申請案として審査中なので、ガイドラインとして落とし込めるよう今後も議論する方針。
新規制基準適合性審査について、今後テロ対策等も審査されることになる。その場合の審査会合をどう取り扱うかについて議論された。
テロ対策等に関する審査会合は、体制や手順書体系等についは透明性確保の観点から公開される。しかし、具体的に詳細な体制や手順、機器配置等はセキュリティ面からみて非公開になることが決まった。
放射線審議会と、原子炉安全審査会(原安審)、核燃料安全専門審査会(燃安審)の設置について議論された。
放射線審議会と原安審、燃安審は性格が異なっている。審議会は審議内容が決められており、早急に設置しなければならない。一方、審査会は従前のものとは同じ名前だが、審査内容をどうするかは決まっていない。どういう役割を持たせるか、今後も継続して議論するという。