IWJ代表の岩上安身です。
11月2日、米国のジャーナリストのタッカー・カールソン氏が、Xに「トランプ政権はあと数日(11月7日めど)でイランへの核攻撃に踏み切るかもしれない」とポストしました。
カールソン氏は次のようにポストしています。
「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の圧力を受け、トランプ政権はあと数日でイランへの核攻撃に踏み切るかもしれない。
標的となるのはイラン中部のピックアックス・マウンテンだ。
イスラエルの情報機関は、イラン政府がそこでウラン濃縮計画を再開したと主張している。
濃縮が行われているとされるトンネルを破壊するには、厚さ300フィートの堅い花崗岩を貫かなければならないが、米国が保有する通常兵器にそれができるものはない。
軍事的な選択肢は核攻撃しかない。ネタニヤフはその実行を強く迫ってきた。『ビビはこの件で毎日トランプに電話をかけている』と、事情に通じたある観測筋は語る。
ネタニヤフは追い詰められ、必死になっている。先週の選挙結果を受け、トランプがイスラエル政治に直接介入し、ネタニヤフがクネセト(国会)で61議席を確保できるよう他党との合意を仲介しない限り、ネタニヤフは組閣できない。
さもなければ、首相の座を失い、失墜と捜査が待ち受け、収監される可能性さえある。
ネタニヤフはトランプとの緊密な関係を保たなければならない。彼にはこの戦争が必要なのだ」。
さらに、カールソン氏は、こう続けます。
「(前略)事情をよく知る観測筋によれば、トランプは次の週末までに核兵器を使うかどうかを決める可能性が高い。
それは今から6日後の11月7日になる。評価すべきことに、トランプはためらっている。
今のところ、トランプはJD・ヴァンス副大統領と、特使で友人でもあるスティーブ・ウィトコフの意見に耳を傾けている。
両者とも、イランとの合意は可能だと主張している。
両者の言う通りだが、容易ではないだろう(後略)」。
- タッカー・カールソン氏の11月2日のXへのポスト
https://x.com/TuckerCarlson/status/2117071025955389828
米国のエルブリッジ・コルビー国防次官は、戦術核をガイドラインを変えず、運用レベルで使用できるようにし、大統領が選べる選択肢として提示することを、8月、シンポジウムで公言していることは、IWJではお伝えしてきました。
- 核戦争の可能性が高まっている! その懸念の震源地であるコルビー国防次官が公開の場で発言!! 8月5日の米戦略軍「抑止シンポジウム」で、米国のエルブリッジ・コルビー国防次官が核使用の閾値を下げた! 日本には防衛費増額をドイツ並みの4%から5%へ上げよと、露骨に要求! 一方では米国の「核の傘」に信憑性はないと明言! 新たな核態勢見直し(NPR)の核政策は変えないまま、機密性の高い実際の核運用指針を見直している! 新戦略兵器削減条約(新START)失効後について、コルビー次官は新たな法的条約を求めず、対話や暗黙の了解による危機管理へ! 本当にこれで管理できるのか!?(前編)
(IWJジャーナル、2026.9.11号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260911#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55741#idx-4
- 世界は戦術核戦争の時代へ! その懸念の震源地であるコルビー国防次官が公開の場で発言!! 8月5日の米戦略軍「抑止シンポジウム」で、米国のエルブリッジ・コルビー国防次官が核使用の閾値を下げた!「あなた(トランプ大統領)が、破っていない唯一のタブーは、核のタブーだけだ」!「太平洋で戦争が勃発した場合、米国は核に頼らざるを得なくなる」!(後編)(IWJジャーナル、2026.9.15号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260915#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55749#idx-4
- ノーベル賞平和賞受賞の精神医学者、エイブラハム博士が「ドナルド・トランプが、腹立ちや激怒、混乱、あるいは衝動を抑制できない状態で核兵器を使用する危険は、かつてないほど高まっている」と指摘!「トランプ大統領は、前頭側頭型認知症と呼ぶものに近い」とも指摘! 自分(トランプ大統領)を史上最高の大統領として、エイブラハム・リンカーンやジョージ・ワシントンよりも上に位置づけ、常に「作話」しているトランプ! しかもコルビー国防次官は精神状態が疑われるトランプ大統領に対して、核兵器使用の選択肢を提示しようとしている!!(IWJジャーナル、2026.9.8号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260908#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55739#idx-4
「核は使われることのない兵器である」というのは、昔の固定観念であり、トランプ政権下の米国では、「使われる兵器」になってしまっていることは、まだ広く知られてはいません。
タッカー・カールソン氏のポストには、それなりに信憑性があるのです。
イランのカゼム・ガリババディ外務次官は、11月3日、米国政府は核兵器の使用を公式にほのめかして威嚇すればどういう結果を招くかを承知していると述べ、そのような威嚇は、各国に対し、あらゆる手段を用いて自国を守るよううながすことになると警告しました。
- イラン・インターナショナル・イングリッシュの11月4日のXへのポスト
https://x.com/IranIntl_En/status/2117692835629543828
他方、在英のペルシャ語メディア『イラン・インターナショナル』は、11月4日、「米国はピックアックス・マウンテンへの象徴的な攻撃では、イランとの戦争を終わらせることはできない」という、イラン国内の複数のコメンテーターの意見を報じています。
たとえば、国営テレビの番組『ベ・ヴァグテ・イラン(イラン時間)』の常連解説者、ヴァヒド・ハザブ氏は、米国がイランのフォルドウ核施設を攻撃し、イランがカタールのアル・ウデイド空軍基地に報復攻撃を行った後、トランプ大統領が戦闘の終結を宣言したこと(2025年6月13日から24日までの12日間戦争)を振り返り、「今回は、ピックアックス・マウンテンを攻撃しても、ホルムズ海峡の船舶航行をめぐる問題は未解決のまま残る」と述べています。
さらに、ハザブ氏は、イラン政府に対し攻撃が再開されれば、米国に長期にわたる経済的・政治的代償を負わせる報復を招くと、以下のように警告するよう求めています。
「トランプはこのことを理解しなければならない。公にでも、公式にでも、秘密裏にでも、どんな方法でもいいので、彼にこのメッセージを伝えることが非常に重要である。再び攻撃すれば、イランは、景気後退を含む経済問題を引き起こすなどして、今後2年間のあなた(トランプ)と米国の将来を深刻な危険にさらすような形で報復する、ということである(中略)そうすれば、選挙結果にかかわらず、彼は自らの政治的遺産を守るため、たとえ短期の戦争であっても、開戦のようなリスクを冒すことを控えるであろう」。
軍事専門家、ニマ・アクバルハニ氏は、「ハリウッド映画さながらの派手な大規模作戦」を行ったとしても、民主党が議会中間選挙で勝利すれば、トランプは政治的に難しい立場に置かれると論じました。
他方、米国情勢の専門家、メフディ・アッバシ氏は、民主党が勝利すれば、トランプは1月に新議会が発足するまでの約2ヶ月間に、イランを攻撃する可能性があるとの見方を示しました。
また、11月4日付『イラン・インターナショナル』は、「イランの複数の解説者達は、議会で民主党が勢力を伸ばしても、新たな軍事衝突を防げるとは限らないと指摘している」と報じています。
たとえば、国際情勢アナリストのアリ・ハサン・ヘイダリ氏は、「どちらの党が勝っても、米国の戦略的な方針が根本から変わると解釈すべきではない」と論じ、米国情勢の専門家アミルアリ・アボルファト氏も、議会の主導権が移ることで紛争が終わると期待することには慎重な見方を示しています。
- US can’t end Iran war with symbolic Pickaxe strike, state TV commentators say(イラン・インターナショナル、2026年11月4日)
https://www.iranintl.com/en/202611031361
他方、米国は11月2日、イランのゲシュム島を通常兵器で爆撃しました。
この攻撃は、トランプ米大統領が、8ヶ月に及ぶ紛争の終結に向けたイランとの交渉に進展があることを示唆する中で行われました。一方で和平交渉をしながら、他方で爆撃を行なうという、外交的に信用ならない支離滅裂な行動を取っているのです。
しかも、今回の攻撃は、米国がここ数週間、イランに対して秘密裏に実施してきた一連の限定的な攻撃のうち、直近のものだといいます。秘密裏に攻撃してきた、ということは、イランに対して武力で挑発を行ってきた、ということです。イランが武力で反撃すれば、「イランが和平交渉のさなかに先制攻撃してきた!反撃しなければならない!」と、米軍とイスラエル軍の攻撃を正当化できる、というわけです。
- 米軍がイランの島攻撃、トランプ氏は交渉進展示唆 米紙報道(AFPBB NEWS、2026年11月3日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3660580
他方で、トランプ大統領は、11月2日、イランは米国との合意を望んでおり、「合意は実現する可能性がある」と、悪びれることもなく、いけしゃあしゃあと述べているのです。
- トランプ氏、イランとの「合意実現あり得る」 攻撃再開に慎重姿勢(ロイター、2026年11月2日)
https://www.reuters.com/jp/world/security/T7VP7WXVANIB5CNRL2GR7LNXT4-2026-11-02/
さらに、10月下旬から11月にかけて、いっせいに、世界各国の政府が国民に備蓄を呼びかけています。
日本の防災庁は、11月2日、「事前防災徹底のための緊急要請」を発出しました。
- 事前防災徹底のための緊急要請(防災庁、2026年11月2日)
https://www.bousai.go.jp/juyou/emergency_request.html
国難級の災害では、行政のリソースが逼迫するため、国民一人一人が「自らの命は自らが守る」という意識を持って、事前防災を徹底することが必要として、以下の具体的な取組を呼びかけています。
・耐震診断、耐震化、家具の固定
・水・食料、携帯用トイレ等の備蓄
・ハザードマップ、避難場所、避難経路の確認
・非常持ち出し品の準備
・防災訓練への参加 等
欧州委員会は11月3日、「増大する危機のリスクに欧州市民が備えるための新たな措置を実施」し、毎年10月に「欧州危機への備えの日」を設けました。
欧州委員会のニュースリリースでは、こう発表されました。
「欧州がますます頻繁で複雑な危機に直面するなか、欧州委員会はEU全域で備えを強化する取り組みを加速している。
緊急時に市民が自らを守れるよう支援することから、災害発生時にも各国の市民保護体制が機能し続けられるようにすることまで、EUは欧州の危機への対応力と回復力を高めるため、具体的な措置を実施している。
本日(11月3日)、欧州市民保護フォーラムで、平等・危機への備え・危機管理担当欧州委員のハジャ・ラビブは、危機発生後の最初の72時間を含め、人々や地域社会が緊急事態に備えられるようにする新たな指針を発表した。
また、毎年「EU危機への備えの日」を設け、初回を2027年10月に開催する計画も発表した」。
- Commission takes new steps to prepare Europeans for growing crisis risks(欧州委員会、2026年11月3日)
https://civil-protection-humanitarian-aid.ec.europa.eu/news-stories/news/commission-takes-new-steps-prepare-europeans-growing-crisis-risks-2026-11-03_en?prefLang=cs
英国は、10月22日時点で、悪天候など、電気、水道、インターネットといったサービスに時として影響を及ぼす事態に、人々がより安心して備えられるようにするため、各家庭に、緊急時に備えるための簡単で身近な対策を呼びかけています。
- Households encouraged to take small, simple steps to stay prepared in an emergency(英国政府、2026年10月22日)
https://www.gov.uk/government/news/households-encouraged-to-take-small-simple-steps-to-stay-prepared-in-an-emergency
スイスは、昨年2025年10月時点で、「私達からの助言──非常用備蓄」と題して、非常用備蓄についてのパンフレットをダウンロードできるようにしています。
- We advise – emergency supplies(スイス政府、2025年10月13日)
https://www.bwl.admin.ch/en/we-advise-emergency-supplies
これらは、世界大戦だけを想定しているものではありませんが、米国の中間選挙のタイミングで、各国政府が、今後、世界大戦を含む、大きな危機が起きることを想定し、その危機に備えるという趣旨なのです。
また、イランのナタンズのウラン濃縮施設あるイスファハン州の救急当局が、核爆発時の防護・避難について、注意喚起する約8分の動画を作成し、10月29日、イラン国営通信『IRNA』が公開しました。
この動画の内容を、11月3日付の独立系オンラインメディア『サラハ・レポーターズ』は、以下のように報じています。
「ガイドラインは、頑丈な地下室に避難すること、窓から離れること、外気を取り込む換気・空調設備を止めること、少なくとも24時間は屋内にとどまることを市民に勧めている。
屋外で爆発に遭遇した人に対しては、最初の閃光を見ないよう警告し、うつ伏せに伏せてから直ちに避難場所へ向かうよう助言している。
この手順はまた、被害を受けた可能性のある人に対し、汚染された外衣を脱ぎ捨て、ぬるま湯と通常の石けんで洗うよう指示している。
放射性粒子を付着させないため、ヘアコンディショナーの使用は明確に避けるよう求めている。飲食は包装された食品と瓶入りの水に限るとしている。
救急当局者はさらに、医師の明確な指示なしにヨウ素剤やプルシアンブルーを自己判断で服用しないよう警告した。
電磁パルス(EMP)による停電が予想されるため、電池式ラジオに頼るようにも助言している」。
- Iran Issues Rare Nuclear Attack Advisory To Citizens Amid Mounting US-Israeli Escalation(サハラ・レポーターズ、2026年11月3日)
https://saharareporters.com/2026/11/03/iran-issues-rare-nuclear-attack-advisory-citizens-amid-mounting-us-israeli-escalation
米軍のイランへの核攻撃の可能性が取りざたされているのも、実際に、通常兵器でゲシュム島を爆撃して、イランをしきりに挑発しているのも、中間選挙の結果を有利にすることが目的です。
その中間選挙は、すでに大勢が決まってきました。
11月4日の午後2時時点(日本時間)で、上院では、民主党が過半数の51議席を超える52議席(選挙前47議席)を獲得し、共和党は41議席(選挙前53議席)に留まっています。
民主党の上院での多数派獲得は確実となりました。残りは7議席です。
下院では、民主党が184議席(選挙前214議席)、共和党が113議席(選挙前219議席)となっています。下院の過半数は218議席です。残り137議席となっています。
- 民主党が上院でも多数派奪還を確実に、下院に続き 中間選挙で米報道(朝日新聞、2026年11月4日)
https://www.asahi.com/articles/ASVC32576VC3UHBI01RM.html
米国の選挙データの収集・分析・配信を専門とするディシジョン・デスクHQの11月4日、1時45分時点での、下院における勝利予測は、民主党勝利が84%、共和党勝利が16%です。
下院の議席獲得予測は、民主党が、241議席で、共和党が194議席となり、民主党が圧勝の予測となっています。
上院では、民主党勝利が64%、共和党が36%で、上院の獲得議席予測は、民主党52議席、共和党48議席です。
※ディシジョン・デスクHQ(2026年11月4日閲覧)
https://votes.decisiondeskhq.com/forecast/2026
ディシジョン・デスクHQの予測では、上下両院とも民主党が多数派となり、下院では、過半数の218議席を23議席も上回る241議席の圧勝となっています。
ただし、新議会である第120議会の招集予定日時は、2027年1月3日(日)正午(米東部時間)です。
それまでのトランプ政権のイラン戦争・ウクライナ戦争に関する行動と、その後の議会とトランプ政権の駆け引きが注目されます。





























