2026年9月8日午後2時50分より、東京都千代田区の外務省にて、茂木敏充外務大臣の定例会見が行われた。
会見冒頭、茂木大臣から、ネパールにおける洪水・土石流被害に対して新たに300万米ドル(約4億6000万円)の緊急無償資金協力を行なうこと、そして、茂木大臣がネパールの外務大臣に電話をし、「長年の友人であるネパールの支援のために、日本としてやれることは、すべてやる」と約束をしたことなどについての報告があった。
- ネパールにおける洪水・土石流被害に対する緊急無償資金協力(外務省、2026年9月8日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_04148.html
続いて、茂木大臣と各社記者との質疑応答となり、「中国による経済的威圧」「核兵器使用・核実験被害者支援・環境修復関連会合等」「米国による赤根・国際刑事裁判所(ICC)所長に対する制裁」などについての質問があった。
IWJ記者は、「日本政府によるウクライナ支援」について、次のように質問した。
IWJ記者「9月2日、米財務省のスコット・ベッセント長官は、『ウクライナによるロシアのエネルギーインフラへの攻撃が、世界的なエネルギー・ショックを引き起こし、価格を押し上げている』と、ウクライナのロシアへの攻撃を批判しました。
世界市場における石油危機を、さらに逼迫させているウクライナに対し、日本政府は、これまでに総額で3兆円を超える国民の血税を拠出していますが、石油危機が悪化して苦しむのは原油輸入国である日本自身です。
日本は、自分で自分の首を絞めているのではないでしょうか?
ベッセント長官の発言について、茂木大臣の考えをお聞かせください」
これに対し、茂木外務大臣は、次のように答弁した。
茂木大臣「ベッセント長官の発言、その趣旨、大半の部分というのは、米国の中低所得者向けの支援策、これを今行っている、これについて続けていくと、こういう趣旨で発言をされて、その前段として、様々な国際環境に触れているものでありまして、御質問の趣旨とはかなり違った内容だと、こんなふうに考えております。
ロシアのウクライナ侵略、これにつきましては、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、このような力による一方的な現状変更の試み、決して許すことはできない。こうした我が国の考え方に、変わりはありません。
日本は、一刻も早いウクライナにおける公正かつ永続的な和平を実現すべく、対露制裁とウクライナ支援にこれまでも取り組んできておりまして、引き続き、G7を始めとする関係国と連携しながら、こうした取組を進めていきたいと考えております」
茂木大臣の見解には、かなり無理がある。
ベッセント米財務長官の発言が、「米国の中低所得者向けの生活支援策」を念頭に置いたものであったとしても、それにより「ウクライナによるロシアのエネルギーインフラへの攻撃が世界的なエネルギー・ショックを引き起こし、価格を押し上げている」こと、そして、そのウクライナに対し、「日本が3兆円を超える巨額の支援金を拠出してきた」という事実に変わりはない。
9月3日付『RT』は、ウクライナによるロシア深部へのドローン攻撃の具体的な影響を、次のように報じている。
「エネルギー分析会社ケプラーによると、この(ウクライナによる)攻撃によって、ロシアの石油精製は大幅に混乱している。
同社は先週、7月の製油所の原油処理量が日量約380万バレルにまで落ち込み、20年以上で最低の水準となったと述べた。
石油精製品の輸出量は、日量約120万バレルに減少し、前年の230万バレルからほぼ半減した」。
- Ukrainian attacks fueling global ‘energy shock’ – US Treasury secretary(RT、2026年9月3日)
https://www.rt.com/business/645053-bessent-ukraine-russia-refineries-attacks/
ウクライナによるロシア深部へのドローン攻撃は、ロシアの石油輸出に確実にダメージを与えており、国際市場である石油市場は、ロシア産であれ、イラン産であれ、市場への供給が少なくなれば、確実に価格上昇圧力となる。ウクライナによるロシアへのドローン攻撃は、日本の石油危機にも影響を与えている。
また、日本からウクライナへの支援金については、憲法上の制約から、兵器などの殺傷能力のある武器・軍事支援は行うことはできず、日本は「財政支援」「人道支援」「復旧・復興支援」に特化した、独自の非軍事的な国際貢献が進められている。
しかし、日本からウクライナへの支援金が、実際のところ、日本が意図した名目通りの分野で活用されているかどうかについて、日本政府および外務省は、きちんと追跡調査していない。
ウクライナの国営通信社である『ウクルインフォルム通信』は、2026年8月4日付けで、ウクライナの元外務事務次官のオレクサンドル・バンコウ氏が、日本からの寄付金を含む国際支援金を着服した容疑で拘留されたことを報じた。
- 日本からの寄付金等の横領容疑で起訴されたバンコウ・ウクライナ元外務事務次官の勾留決定(ウクルインフォルム、2026年8月4日)
https://www.ukrinform.jp/rubric-crime/4150900-ri-benkarano-ji-fu-jin-dengno-heng-ling-rong-yide-qi-susaretabankouukuraina-wai-wu-sheng-yuan-shi-wu-ci-guanno-gou-liu-jue-ding.html
オレクサンドル・バンコウ元外務事務次官は、在日ウクライナ大使館経由の日本からの1720万フリヴニャ(約5848万円)超の寄付金を、自身が管理する非政府組織(NGO)に送金するように指示し、NGOは一部を受領し、現金化していたとされている。
私達は、ウクライナへの支援金・寄付金は、自動的にウクライナの「国庫へ入る」とイメージしているが、日本からの支援金・寄付金がウクライナ側で具体的にどのようなプロセスを経て処理されているのかについて、きちんと確認をする必要がある。
ウクライナによるロシア深部のエネルギーインフラへのドローン攻撃に、日本からの支援金が使用されている可能性も、大いにある。
会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。


































