「経済安保版の秘密保護法」とされる、「重要経済安保情報保護法案」が、参議院で審議中である。その廃案を求める院内集会が、2024年5月7日、参議院議員会館で行われ、前日弁連副会長の齋藤裕(ゆたか)弁護士が、「秘密とされる重要経済情報とは?」と題して講演した。主催は、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会。
この集会直前には、参議院議員会館前で、同法案の廃案を訴える国会前行動が行われた。
当日、参議院の参考人質疑に出席した直後に、集会に駆け付けたという齋藤弁護士は、「重要経済安保情報保護法案が国会提出された際の大きな3つの問題」として、以下をあげ、詳しく説明した。
「秘密指定が恣意的になる可能性がある。
適性評価によって個人のプライバシー等が侵害される危険性がある。
中小企業等民間にとっての負担感がある」。
齋藤氏は、同法案が衆議院を通過した際に、これらの問題点について一定の修正、改善がなされたが、実際には問題が残る、と指摘した。
例えば、「秘密指定の適正化」に関して、先行する秘密保護法と同様の規定を設けるなどの修正が行われたが、実はその秘密保護法においても、「秘密指定の適正化」は図られていないという。
米国では、2015年に強制秘密解除制度によって秘密指定解除された文書は、24万ページ以上、一部解除は11万ページ近くに上る。あわせて約35万ページである。ところが日本では、独立公文書管理監や情報監視審査会が「秘密指定要件を満たしていない」と指摘して、秘密解除された事例はないとされる。
したがって、「重要経済安保情報保護法案」において、もし「重要経済安保情報を情報監視審査会がチェックすることになったからといって、秘密指定の適正が担保されるわけではない」というのである。
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