2022年5月19日木曜日、「経済安保法の危険な本質を暴く」と題したシンポジウムが参議院議員会館で行われた。
経済安全保障推進法とは、岸田政権の目玉政策の一つで、サプライチェーンの強化や、基幹インフラの保護、官民による軍事技術開発の協力、軍事技術の流出阻止などを目的とした法律である。
しかし、この法律は、中国との経済関係を断ち、対中経済戦争に突入していく危険性や、法律に記されるところの何が「審査対象」で、何をすれば「罰則」にあたるのか、明確な線引きがされていないなど、審議段階から多くの問題が指摘されていたが、あまり報じられることなく5月11日に可決・成立した。
シンポジウムには、この法律に警鐘をならし、「町工場対公安警察」というルポルタージュを『世界』(岩波書店)の3月号に寄稿したジャーナリストの青木理氏、法案段階から問題提起をしてきた海渡雄一弁護士、法案審議の過程で、国会の参考人として軍事研究を促進しかねないと批判的な意見を述べた井原聡氏が登壇した。
青木氏は、自身が『世界』に寄稿し、この法律の立法事実を背景にして起きた大川原化工機事件について語った。
大川原化工機株式会社は、神奈川県に本社を置く、従業員90人程度の会社だ。大川原化工機が手掛ける噴霧乾燥機は、国内シェア7割を占めており、業界では名の通った企業である。事件が起きる前は約30億円規模の売り上げだったが、事件が起きコロナの影響も相まって、約20億円まで減少したという。