2023年12月8日(金)午後6時15分より、京都府京都市の京都弁護士会館 地階大ホールにおいて、「平和を守る全国弁護士会アクションの日 あなたの番です! ~重たい守秘義務・適性評価があなたを襲う~ 軍需産業支援法・経済安保法の恐怖」が開催された。講演・ディスカッションに登壇したのは、海渡雄一弁護士、ジャーナリストの青木理氏ら。
海渡弁護士は講演で、満州事変が関東軍による自作自演/謀略であったことを例に挙げ、重要土地規制法と経済安保法も、防衛3文書とともに中国敵視の戦時体制に移行していくための布石であったと解説し、今現在も経済・外交すべてが軍事シフト化しつつあることに警鐘を鳴らした。
(4:53~)
「防衛3文書にある南西諸島に米軍と自衛隊が展開するというのは、2021年頃からもうはっきり分かっていたこと、ハイマースにロケットを積んで・ミサイルを積んで、転戦していく。
こういった戦争準備が進んでいるが、これは沖縄の人々を守るのではなくて、沖縄の人々を盾にして戦争をやろうとしてるということ。
実はこの防衛3文書ができる前に、重要土地規制法と経済安保法という極めて重要な法律ができていたが、この2つの法律はどんな法律なのか、ちっとも分からない状態で国会で成立していたということが言える。
しかし、この防衛3文書によって中国を敵視=敵国とみなすという風に規定したので、これらの2つの法律制度の目的が非常にはっきりしたと言えると思う」
「次に経済安保法。特定重要物資の安定的な供給とか、外部からの攻撃に備えた基幹インフラとか言われても皆さんよくわからないかもしれないが、東北大学名誉教授の井原聡氏に作っていただいた非常に分かりやすい一覧がある(6:32~)。
これから日本政府はアメリカの指示を受けて、日本の基幹企業から中国製のITを一掃しようとしている。それを始めれば当然、中国は報復のために重要物資を日本に供給しなくなる。禁輸してくる。
その時に重要物資を中国以外のところから手に入れる、そのためにサプライチェーンを強化する、サプライチェーンの強化・多元化と言うが、つまりは中国以外のところから重要物資を買ってくるということ。どういうものが特定物資になっているかと言うと半導体,蓄電池,医療品,パラジウム,クラウド,肥料(中略)。
他方で、基幹インフラの整備と謳っているが、特定社会基盤事業、電気,ガス.石油,水道,鉄道,貨物自動車,外交貨物,航空/空港,電気,通信,放送,郵便,金融,クレジットカードなど、本当に日本の完全な重要産業と言っていいと思うが、ここからすべて中国製のITを一掃する、そしてこの関連企業からも一掃する、そういうことが組まれている。
この2つがセットで、もう1つがこの技術基盤、特定重要技術について官民で協力する。特定重要技術っていうのは簡単に言うと、軍用にも民間用にも使えるような技術ということで、一番分かりやすいのがAIとかドローンとか、最近流行りのものは全部含まれる」
「経済安保法は、実は2021年の4月に菅・バイデン日米共同声明で決めていたこと、そのものだったと国会参考人質疑で、名古屋経済大名誉教授の坂本雅子さんが言われている。
次に、今年の国会で防衛財源確保法と軍事産業強化法というものが通った。
これも簡単に言うと、防衛財源でとんでもない金額の防衛費を使うということが決まっている、新規の国債発行まで予定されてるということだが、軍事関係の製品を作ってる企業が、どこから材料を供給してるか、全部防衛省が直接把握する・基盤を強化する・装備等の移転を円滑化するための資金を貸し付ける、それでもダメなら(経営が立ち行かないなら)製造施設を国による保有に変える=国有化すると言っている。
日本は公営企業をもうみんな民営化してきたが、防衛産業をこれから、斜陽化してるということがあるのだろうが、国有化してまで維持させようとしてるという、恐ろしい内容の法律。つまり、日本が『死の商人国家』へと急速に堕落しつつあるということ」
- 「アカデミアに忍び寄る誘惑のシステム-軍事技術開発研究と経済安全保障推進法の実施をめぐって」井原 聡 氏(東北大学名誉教授)(2022.11.18、軍学共同反対連絡会シンポジウム「 政治に翻弄される学術 一 大軍拡と軍学共同の深化」)(Youtube)