2023年10月20日(金)午後6時30分より、京都府京都市の京都大学吉田南キャンパス総合人間学部棟にて、「緊急学習会 ガザとはなにか」が開催された。登壇したのは、岡真理 早稲田大学文学学術院教授ほか。
岡教授は、次のように現在ガザ地区で起こっている惨状・惨劇について語り始めた。
(8:15~)「東エルサレムというのは、1967年の第3次中東戦争でイスラエルに軍事占領され、その直後に国連安保理決議で、イスラエルはグリーンライン=1949年の休戦ラインまで撤退せよという決議が出ている。
けれども今にいたるまで、それを履行していない。そして80年にはこの占領地である東エルサレムを併合する。これは国際法違反になる。首都化宣言を行っている。だからトランプの時代になるまで、アメリカはこれだけイスラエルを応援していても、大使館はエルサレムに移転させなかった。
しなかったのが、トランプの時になって、国際法違反で併合したエルサレムに大使館を移転した。どんどん入植地を拡大させてそのエルサレム市内、そして西岸におけるパレスチナ系住民のまさに民族浄化を行っている。
その一方で、数日前にアメリカの議会をアメリカのユダヤ人の人たち500人が占拠して、その外ではユダヤ系の人たちが、今まさに『自分はユダヤ人だからこそ、ユダヤ教の教えにのっとって、今イスラエルが行っていることを批判するんだ、ジェノサイドだと告発するんだ』ということを語っている。
まず言いたいのは、現在起きていることは、ジェノサイドである。
テレビの報道番組を見ていると、地上戦のことばっかり言ってる。地上戦がいつ起こるのか、地上戦が起きたらどうなるのか。
私もメディアから取材連絡を受けて、地上戦が起きたら何かコメントをしてくださいと言われたが、『地上戦が起きたら』じゃない!
地上戦が起きたらとんでもないことになるわけだが、既に今起きてることがとんでもない・起きてることがジェノサイドである。
もう1つ、日本の主流メディアは このジェノサイドに加担してしまっている。
この10月7日以降の出来事を報じるにあたって、あるいはそれ以前からガザでパレスチナで何が起きているのかということを報じないことによって、とりわけ10月7日以降の出来事をあたかも、『テロリスト、ハマスというテロリスト集団がテロ攻撃を仕掛けた』とイスラエルが流す。それをそのまま日本だけではなく、アメリカやヨーロッパの主流のメディアもそうだが、特に短期的・中期的・長期的な歴史的文脈を捨象(捨て去る)した報道をすることによって、今起きているこのジェノサイドにも加担している。
これは強く主張したいと思う。
その報道の結果、現在進行中の出来事に対して一般の市民の方がもし、『今起きていることはジェノサイドなので、我々はこれをなんとかして止めなくてはいけないんだ』ということを、問題の根本に立ち返って報道していたならば声を上げていたかもしれない人たちまでも、結局声を上げない・無関心でいる、なんかいつも憎しみあって・暴力ばかりやってて、もうどっちもどっちだみたいに距離を置くことによって、今起きている・私たちの目の前で起きている・この同じ地球上で起きている、この出来事=ジェノサイドに声を上げないことによって、共犯者にさせられてしまう。
『暴力の連鎖』だとか・『憎しみの連鎖』だとか、そういうことを言うコメンテーターとか番組は信用しないで欲しい。 憎しみの連鎖だとか暴力の連鎖じゃない、そういうことに落とし込むような報道自体が私は犯罪的だと思う。
もう1つ、ではこの歴史的文脈、そこで捨象されている歴史的文脈とは何かというと、イスラエルというのは入植型の植民国家であり・アパルトヘイト国家であるということ。
これまでの主流メディアのテレビの新聞の報道で、イスラエルというのは植民地主義国家なんだ・植民地主義的侵略によってできた国家なんだ・アパルトヘイト国家なんだという、植民地主義とかアパルトヘイトという言葉をお聞きになったことがおありだろうか?
積極的に隠蔽している。今日はこの点について詳しくお話ししたい」