2020年1月6日、東京港区の原子力規制委員会で、更田豊志(ふけたとよし)原子力規制委員長による、今年最初の定例会見が行われた。
東京電力福島第一原発事故後、菅直人首相(当時)の要請で運転を停止してから今年で10年目となる浜岡原発。中部電力は3~5号機の再稼働を目指しているが、先行して原子力規制委員会に申請した4号機の審査も今年で7年目に入る。
会見で、審査状況を問われた更田豊志委員長は、委員会での議論を引用して「地震・津波など自然ハザード関連の議論はなかなか見通しを持ちにくいものではあるもの」と前置きして「まだ、地震・津波について内容の細部に渡って説明を受ける段階にはない」し「プラントの審査には入る段階にない」と述べた。審査にはまだ相当の時間がかかる見通しだ。
中部電力経営層は、かつて電気料金を値上げした際、原発の停止をその理由に上げた。停止中の原発でも維持費に年間1000億円かかるとされている中、老朽かつ、長期間の停止による技術的な問題も抱えて、原発を稼働する経済的メリットも見通せず、再稼働の大義はすでに失われている。