自民党の憲法改正案についての鼎談 第1弾 2012.12.28

記事公開日:2012.12.28取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

特集 憲法改正|特集 前夜

 2012年12月28日(金)14時30分から、東京都内で、澤藤統一郎弁護士と梓澤和幸弁護士を迎え、「自民党の憲法改正案についての鼎談 第1弾」を行った。現行の日本国憲法と自民党憲法改正草案を対比しつつ、前文から第20条まで、各条文をひとつずつ検証していった。

■ハイライト

  • 出演 澤藤統一郎氏(弁護士)、梓澤和幸氏(弁護士)、岩上安身

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 はじめに、現行憲法と自民党改憲案の前文を読み上げた岩上は、国民主権を第一に、平和主義を謳った現行憲法と異なる自民党案について、解説を加えた。それに対して、澤藤氏は「人類の叡智が到達した共通のものとして、現行憲法で強調されている人類普遍の権利が、自民党案では見事に落とされている。これは『普遍的なものを顧みない』と宣言している印象を受けざるを得ない」と指摘した。また、『日本国は天皇を戴く国家であって』という文言に注目し、「国家主義の、天皇を中心とした昔の国体思想とほとんど変わらず、現在の憲法に相応しくない印象を与えている」と疑問視した。梓澤氏は、自民党案に対して、「世界的な流れの中のひとつとして、理想を高く謳った日本国憲法の、腰骨を折るという印象を持った」と述べた。

 第9条について、澤藤氏は「ひとり一人の国民が、平和的生存権を侵害された時、しかるべき訴訟を提起、異議申し立てすることができなければならない」とし、その国民の権利根拠規定が、自民党案では、まったくなくなっている点を問題視した。続いて、天皇を日本国の元首とする第1条については、天皇の政治利用を断固として拒否するべき姿勢が、自民党にはまったくない、と指摘した。また、第3条を解説する中で、国旗、国家、元号が天皇制強化のための道具であることを解説し、自民党による国家主義の方向性が、ファシズム社会の到来を近づける可能性を危惧した。

 国防軍の規定については、現在の自衛隊についても憲法違反と言える、とする自身の立場を表明し「アーミテージ・レポートでも、露骨に、アメリカの意図として、自衛隊という制約を取り払って、ちゃんと戦える体制を整えておけよ、と言っている。今までの自衛隊を国防軍に変えるということは、専守防衛の組織から、普通の軍隊へ変わることを意味する」とし、「アメリカの好戦性は、ますます際立ってきている。日本で、9条を守れという運動が起きてしかるべきである」と語った。

 梓澤氏は、自民党案9条の5項、『国防軍に裁判所を置く』という文言を取り上げ、国防軍裁判所が、軍人だけでなく、市民に対しても日常的に監視の目を向け、審判が市民に及ぶ危険性を説明した。

 また、第13条の幸福追求権の文言の『公共の福祉』が『公益及び公の秩序』に変わっている点について、梓澤氏は「公共の福祉というのは、人権同士の調整をする原理であるということを、宮沢俊義先生が言い換えた言葉だが、自民党案からは、それがすっぽりと抜け落ちてしまっている。これは、自民党が人権に敵対をしていることを意味している」と述べ、この文言が言論規制、インターネット規制につながる可能性について言及した。続いて、第15条の自民党案(公務員の選定及び罷免に関する権利等)においては、これが在日外国人に対する制約を正当化するための案である点を解説した。

 第18条の中で、現行憲法の『何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない』という文言が、自民党案では『その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない』に変化している点について、澤藤氏は「徴兵制は違憲であるという根拠であった第18条を、なくそうとしている自民党の意志が透けて見える」とした。続いて、信教の自由を謳った第20条を比較する中で、主語の倒置が行われている点に触れながら、国家神道復活の兆しが見られる点を問題視した。

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