┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~<号外を出しました!!>「バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた!『グレイゾーン』が、元ウクライナ政府高官の独占インタビュー!(その1)2016年米大統領選挙でトランプ陣営の『汚職』をでっちあげ!」
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┠■8月1日からIWJの新しい第14期がスタートしました! 第13期はたくさんの方から温かいご支援をいただきました! 心より感謝申し上げます! 第13期は、暫定の収支ではありますが、2200万円を超える赤字となった見込みです! 正確な収支は、後日集計後にご報告いたします。第14期も、IWJへの会員登録と、ご寄付・カンパでIWJをご支援ください! 今期こそは赤字転落となりませんようにと祈る気持ちでのリスタートです!!
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┠■【中継番組表】
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┠■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】
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┠■【第1弾! ウクライナ、ロシア軍が占領地域の北方のハリコフ地域に進軍しているとの報告を受け、同地域近郊の主要都市に避難命令!】ウクライナ当局は、ロシアのドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国に隣接するハリコフ州の一部で強制避難を発表! この命令は、モスクワの国防省が同地域で部隊が前進したと発表した後に出された(『RT』、2023年8月10日)。
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┠■【第2弾! 西側メディアが変調!?『ワシントン・ポスト』が「反攻が鈍化してウクライナは暗いムードに」「この国は疲弊している」と報じる】(『ワシントン・ポスト』、2023年8月10日)
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┠■<IWJ取材報告>小西洋之氏「今、あの違法な放送法の解釈は全面撤回されている。そういう意味では、テレビの報道の自由が守られているのは、私に文書を提供してくれた『本物の国家公務員』の方がいたから」~8.3映画『テレビ、沈黙。放送不可能。II』完成披露イベント
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┠■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その72)>第四部 自由という災厄「第十三章「文明の衝突」の虚実 ―― 一九九四年二月~四月――」(Part2)
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┠■<今週の新記事振り返り>
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┠■<今週の日刊IWJガイド振り返り>
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■はじめに~<号外を出しました!!>「バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた!『グレイゾーン』が、元ウクライナ政府高官の独占インタビュー!(その1)2016年米大統領選挙でトランプ陣営の『汚職』をでっちあげ!」
おはようございます。IWJ編集部です。
昨夜、「バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた!『グレイゾーン』が、元ウクライナ政府高官の独占インタビュー!(その1)2016年米大統領選挙でトランプ陣営の「汚職」をでっちあげ!」と題して、号外を出しました。
『グレイゾーン』が7月13日付で「バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた」と題して、元キエフ外交官であるアンドレイ・テリシェンコ氏のインタビューを公開しました。インタビューと記事は、ジャーナリストのアーロン・マテ氏によります。
記事の前文によれば、アンドレイ・テリシェンコ氏は、元ウクライナ政府高官、元ウクライナ外交官で、ウクライナ政界の内部事情に通じている人物です。
インタビューでは、テリシェンコ氏が「ジョー・バイデンを含む米国の有力者たちが、ウクライナをいかに個人的な汚職と、ロシアを血祭りに上げる地政学的目的のために利用してきたかについて」語っています。インタビューの様子は、YouTubeでも公開されています。
※Biden’s corruption led to Ukraine’s destruction: fmr. Kiev diplomat(バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた:元キエフ外交官)(AARON MATE、The Gray Zone、2023年7月13日)
https://thegrayzone.com/2023/07/13/bidens-corruption-led-to-ukraines-destruction-fmr-kiev-diplomat/
※Biden’s corruption led to Ukraine’s destruction: fmr. Kiev diplomat(バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた:元キエフ外交官)(AARON MATE、The Grayzone、2023年7月13日)
https://www.youtube.com/watch?v=pgj3p2jIVtI&t=1851s
記事によれば、テリシェンコ氏は、元ウクライナ政府高官で外交官、キエフのウクライナ検察庁に勤務した後、2015年に駐ウクライナ米大使館に移動しました。
テリシェンコ氏は、その後、バイデンの息子ハンターを優遇して、取締役に任命したウクライナのガス会社、「ブリズマ」の代理人である、民主党運営のロビー活動会社、「ブルー・スター・ストラテジーズ」で働いていました。
テリシェンコ氏は、「米国の選挙における外国からの影響に直接的または間接的に関与、後援、隠蔽、その他加担した」かどで、米国政府から制裁を受けています。
「ブルー・スター・ストラテジーズ」とは、米国のコンサルタント会社です。同社のホームページには「ワシントンとパリに本社を置き、米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカの政治分野を越えて世界中のクライアントにサービスを提供する、学際的な政府関係および広報に関する専門的なコンサルタント会社」とあります。
『スプートニク』(7月20日)によると、米国内国歳入庁(IRS)犯罪捜査部門の捜査官、ジョゼフ・ジーグラー氏は、7月19日、米下院監視委員会の公聴会で、「ブリズマ社は、贈収賄スキームの参加者全員に650万ドル(9億0900万円)を支払い、さらに数十万ドルがブリズマ社と取引関係にあったコンサルタント会社ブルー・スター・ストラテジーズに払い込まれた」と報告しています。
※BlueStar Strategies
https://bluestarstrategies.com/
※バイデン氏の息子とそのパートナーは、ウクライナを含む外国企業から1700万ドルを受け取っていた(スプートニク、2023年7月20日)
https://sputniknews.jp/20230720/1700-16593686.html
テリシェンコ氏の経歴を見ると、2014年のユーロマイダン・クーデターの際にはウクライナ検察庁に所属しており、2015年には、クーデターに深く関わった米国の駐ウクライナ大使館、ハンター・バイデン氏の贈賄疑惑の渦中にある「ブルー・スター・ストラテジーズ」と、ウクライナ側から米国の関与が見える場所を渡り歩いてきたことがうかがえます。
テリシェンコ氏は、米国のウクライナへの関与を知り得る立場にあり、トランプ大統領の弁護士であったルディ・ジュリアーニ氏に協力したために、「米財務省から制裁を受けている」ともあります。
『グレイゾーン』によると、インタビュアーのアーロン・マテ氏は、ジャーナリスト・プロデューサーで、『グレイゾーン』サイト上でインタビュー番組「アーロン・マテと抵抗」の司会をしています。
「アーロン・マテと抵抗」の最新番組は、7月30日に公開されたジョン・ミアシャイマー教授へのインタビューです。
その前が7月13日公開の元キエフ外交官であるアンドレイ・テリシェンコ氏へのインタビュー。
その前は3月2日公開のシーモア・ハーシュ氏へのインタビュー。
その前が昨年11月16日のダグラス・マクレガー大佐へのインタビューとなっています。錚々たる面々です。
※John Mearsheimer: Ukraine war is a long-term danger(The Grayzone、2023年7月30日)
https://thegrayzone.com/2023/07/30/john-mearsheimer-ukraine-war-is-a-long-term-danger/
※Seymour Hersh: US bombed Nord Stream to prolong the Ukraine proxy war(The Grayzone、2023年3月2日)
https://thegrayzone.com/2023/03/02/seymour-hersh-us-bombed-nord-stream-to-prolong-the-ukraine-proxy-war/
※Poland WWIII scare shows why top US general wants peace(w/ Doug Macgregor)(The Grayzone、2022年11月16日)
https://thegrayzone.com/2022/11/16/poland-wwiii-scare-shows-why-top-us-general-wants-peace-w-doug-macgregor/
2019年、マテ氏は『ネイション』誌のロシアゲート報道で、独立系メディアにおける優れた業績に贈られるイジー賞(I.F.ストーンにちなんで命名)を受賞しています。それ以前は、『リアル・ニュース』と『デモクラシー・ナウ!』の司会者とプロデューサーを務めていました。
粗訳で3万字を超える大部のインタビューとなっていますので、3、4回に分けてご紹介したいと思います。
「バイデンの汚職がウクライナの破滅を招いた」(その1)では、冒頭部と、2016年の米大統領選挙において、ウクライナ系米国人やウクライナ大使館が、ジョー・バイデン副大統領(当時)やヒラリー・クリントン候補陣営と共謀して、トランプ陣営主要スタッフの「汚職疑惑」を作り上げていった経緯が語られています。どうぞお読みいただき、多くの人々に広めてください!!
■8月1日からIWJの新しい第14期がスタートしました! 第13期はたくさんの方から温かいご支援をいただきました! 心より感謝申し上げます! 第13期は、暫定の収支ではありますが、2200万円を超える赤字となった見込みです! 正確な収支は、後日集計後にご報告いたします。第14期も、IWJへの会員登録と、ご寄付・カンパでIWJをご支援ください! 今期こそは赤字転落となりませんようにと祈る気持ちでのリスタートです!!
IWJは8月1日より、新たな第14期のスタートを切りました。
第13期は、たくさんの方から温かいご支援をいただきました。
第13期、最後の7月に頂戴したご寄付の確定値が出ました。31日間で、182件、232万5000円です。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約60%にとどまります。
これにより、第13期の収支につきましては、7月31日時点で、暫定ですが、残念ながら2204万8900円のマイナスとなりました。
厳しい経済状況の中、第13期最後の7月31日まで、ご寄付・カンパの呼びかけにこたえてくださった皆さまに、私、岩上安身とIWJスタッフ一同、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
また、第13期の最終的な収支につきましては、9月末までに経理が、税理士の御指導のもと、決算報告書をまとめ、監査を受けてから税務署に提出します。その結果は、この日刊IWJガイドやIWJのサイト上でご報告いたします。
新しく始まった第14期も、代表をつとめる私自身がいきなり、初めて、新型コロナ、それもオミクロン株に感染してしまい、ダウンするなど、波乱の幕開けとなっています。
感染して5日以上過ぎてからのPCRの再検査でも「陽性」が出て、実際、自覚症状がおさまらない状態であり、腰をすえて、隔離と治療・安静にあたっています。
正直、新型コロナが、これほどしんどいものとは思いませんでした。人により、症状のあらわれは違うのでしょうが、私にとっては、過去の風邪やインフルエンザよりも、ヘビーな体験であり、しかも、症状の期間が長く、今も、自宅で横になり、一日中、眠っています。
大変、皆さまにはご迷惑をおかけしていますが、どうぞ、ご理解とご支援のほど、よろしくお願いします!
IWJにとってはまだまだ険しい試練の道のりが続くと思われますが、試練は乗り越えなくてはなりません! ぜひ、IWJへの会員登録と、ご寄付・カンパで、ご支援をよろしくお願いいたします!!
8月のカンパ実績をお知らせします。8月1日から9日までの2日間で、27件、65万4000円のご寄付をいただきました。誠にありがとうございます。
現状の会員数を、お知らせします。
7月末時点での会員総数は2605人(前年同日比:1040人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会員数も会費も減少しています!
経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続いています。どうぞ、会員登録、あるいは元会員の方は、再開をよろしくお願いします!
IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、第14期に入ってから、IWJに400万円のつなぎ融資をいたしました。
私がこれまでにIWJに貸し付けて、未返済の残高は約1600万円にのぼります。経理からキャッシュフローが不足している、ということで、あと400万円、つなぎ融資することになり、融資残高は合計2000万円になります! 本当にもう貯金が底を尽きます!
私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます! 支出は徹底的にしぼっており、これ以上はしぼりようがありません!
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、会費も減少し、ご寄付までもが急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。
ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、また、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」にとって代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます!
その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います!
日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない、孤立した「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な平和外交の姿勢を示すべきではないでしょうか!?
皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます!
下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします!
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ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!
また、無料で日刊IWJガイド非会員版を読み、ハイライト動画を御覧になっている無料サポーターの皆さまにおかれましては、有料の一般会員登録をぜひともお願いいたします!
また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!
※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!
みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル
城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ
IWJホームページからも、お振り込みいただけます。
※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html
どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!
どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、米国に忖度し、隷従を深める日本政府、大手主要メディアの、連日の「情報操作」の積み重ねの恐ろしさと、権力に忖度しないで真実をお伝えする独立メディアの意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!
岩上安身
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◆中継番組表◆
**2023.8.13 Sun.**
調整中
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◆中継番組表◆
**2023.8.14 Mon.**
調整中
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■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】
■【第1弾! ウクライナ、ロシア軍が占領地域の北方のハリコフ地域に進軍しているとの報告を受け、同地域近郊の主要都市に避難命令!】ウクライナ当局は、ロシアのドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国に隣接するハリコフ州の一部で強制避難を発表! この命令は、モスクワの国防省が同地域で部隊が前進したと発表した後に出された(『RT』、2023年8月10日)。
8月10日、ウクライナ軍のクピャンスク軍政の責任者代理であるアンドレイ・カナシェビッチ氏は、地元住民が避難すべき戦闘地域付近の37集落のリストを文書で発表しました。
カナシェビッチ氏は「絶え間ない(ロシアの)砲撃と治安状況」をこの決定の理由に挙げ、この命令は、ハリコフ州の重要都市クピャンスク市自体にも適用されると付け加えました。
10日付『RT』によると、「この指令は、ロシア国防省が、攻撃部隊の『攻撃行動中の前方位置が改善された』と発表する中で出されました。ロシアのテレグラム・チャンネル『ボイエナヤ・クロニカ』は、ロシア軍がクピャンスクから7キロしか離れておらず、街自体が砲撃圏内に入っていると報じた」と伝えています。
クピャンスクは、2022年2月のウクライナ紛争開始直後にロシア軍に占領されましたが、昨秋、モスクワがドンバス解放に集中するために、同地域での軍の再編成を発表し、キエフが奪還した都市です。
ハリコフから約116km離れたオスコル川で二分されるこの街(クピャンスク)には、街の南側に展開する部隊への補給に欠かせない主要鉄道駅があります。
10日付『RT』は、ロシアの軍事専門家の話として「モスクワがクピャンスクを掌握すれば、ルガンスク人民共和国へのウクライナの攻撃を阻止するのに役立つだろう」と伝えています。
10日付『RT』は、「避難命令とロシアの進撃の報告が伝えられる中、ウクライナの大々的に宣伝された反攻は長引いています。キエフの攻撃は、モスクワによれば、これまでに何の進展も見せていないとされています。先週、ロシアのショイグ国防相は、6月上旬の反攻開始以来、ウクライナ側が失った兵力は4万3000人以上、軍事装備は5000個近くに上ると推定しました」と報じています。
※Ukraine orders evacuation of key city near Kharkov(RT、2023年8月10日)
https://www.rt.com/russia/581098-ukraine-orders-evacuation-key-town/
★クピャンスクをロシア軍が制圧すれば、この街の南に展開するウクライナ軍の補給線を断つことでき、ルガンスクに対するウクライナ軍の攻撃を阻止することになるため、ロシア軍は確実に制圧するでしょう。
『ニューヨーク・タイムズ』でさえ、このクピャンスク市民の感情がロシアとウクライナの間で複雑に分裂している事実を報じないわけにはいかず、単純に、クピャンスクにはウクライナに親近感を持つウクライナ人だけが住んでおり、ロシアはそこを強引に占領して、昨年秋に、ウクライナ軍が侵略者の手から奪い返し、今、再び、侵略者のロシアが戻ってくる、というストーリーが破綻していることがわかります。
11日付『ニューヨーク・タイムズ』は、この点を次のように報じています。
「シャポヴァル夫妻は、生活の正常な感覚を取り戻そうとしていると語りましたが、クピャンスク市の分断された忠誠心を強く意識しているため、人々を信頼するのは難しいと述べています。地元の情報機関の担当者は、少なくとも3人の近隣住人が彼らをロシア当局に告発したと伝えました。
『私たちは近くに住んでお互いに助け合っていたのに、実際には彼らはロシアで生活したいと思っていたようです』とシャポヴァル夫人は語りました。彼女は62歳で、クピャンスクに住む多くの人々と同様に、ロシアに親戚を持つ一方で、熱心なプロウクライナ派です。『それは、ライオンから逃れるために直接ライオンの口に入ってしまうようなものです』
彼女は、クレムリンの最も公然とした応援者のほとんどが既に去ったと信じている一方で、『ロシアが帰ってくるのを待っている人々がたくさんいます』と述べました。
最近の朝、市のスポーツスタジアム近くに仮設の市場が設けられました。極端な暑さにもかかわらず、肉屋は車のフードに生肉を並べ、枝やプラスチック袋で作った蚊取り器でハエを叩き払っていました。
市の公共市場は砲撃によって壊されていたため、肉や乳製品用の冷蔵庫はありませんでした。また、そこで商品を販売していた多くの人々も既にロシアに出て行ったと、シャポヴァル夫人は述べました。
『戦争ができるだけ早く終わることを願っていますが、そんなに速くは終わらないと思います』と、娘と一緒に手作りのサワークリームやホエイを販売していたオレーナ・ボハチョワさん(69歳)は語りました」。
※They Endured One Russian Occupation. Now, They Fear a Second(ニューヨーク・タイムズ、2023年8月11日)
https://www.nytimes.com/2023/08/11/world/europe/kupiansk-ukraine-russia-occupation.html
『ニューヨーク・タイムズ』は、決して、ロシア軍とともにロシアへ逃げたクピャンスク市民にインタビューしません。ですから、その報道は、ウクライナに感情移入したものとなり偏っています。それでも、クピャンスク市民の感情が単純ではないことを、はっきりとその記事は示しています。(IWJ)
■【第2弾! 西側メディアが変調!?『ワシントン・ポスト』が「反攻が鈍化してウクライナは暗いムードに」「この国は疲弊している」と報じる】(『ワシントン・ポスト』、2023年8月10日)
『ワシントン・ポスト』が10日付で「反攻が鈍化してウクライナは暗いムードに」と題する記事を出しました。冒頭部分を引用します。
「この国は疲弊している。
ウクライナは1年半近く、ロシアの侵略に立ち向かってきた。昨年はキエフ、ハリコフ、へルソン地方の戦場での勝利を喜び、自軍への支持を集めてきた。
これらの勝利によって、民間インフラに対する『空爆の冬』と、5月にロシア軍によって陥落させられた、東部の都市、バフムートをめぐる残酷かつ象徴的な戦いを、包囲され、攻撃にさられているウクライナ人は、なんとか乗り切ることができた。
ウクライナ政府高官とその西側パートナーは、来たるべき反撃を誇大宣伝し、大量の新兵器と訓練の大波で後押しし、戦争の流れを変えることを期待していた。
しかし、ウクライナが攻撃を開始してから2カ月が経過し、前線では目に見える進展はほとんどなく、ウクライナ中が容赦なく『血なまぐさい夏』に覆われ、『団結と終わりのない忍耐』の物語にほころびが生じてきている。
死者の数――語られることのない数千人――は、毎日増え続けている。数百万人が避難を余儀なくされ、帰還の見込みは立っていない。オデッサの歴史的な大聖堂、クリヴィ・ライの住宅建築、ハリコフ地方の輸血センターなどへの攻撃を含め、最近の、相次ぐロシアの攻撃のために、国の隅々まで、市民は疲弊している」。
『ワシントン・ポスト』は、疲れ切ったウクライナの人々の声を紹介しています。
ウクライナ軍の負傷兵が病院に移送される前に治療を受ける安定化地点で働いているエストニア系ウクライナ人は「死臭が漂う間に合わせの死体安置所」で無惨な死体を目にし、「自由の代償として、こんなに過酷なことはない」と述べています。
戦場から傷ついて帰還した元レストランのウェイターは「憂鬱すぎる」と述べ、東部での戦闘中に地雷を踏んで足を失った52歳の男性は「(ウクライナ軍は)適切な準備もなしに、みんなを前線に送り込もうとしている」と述べています。
最近ロシアの攻撃を受けたクリヴィ・ライに住む建設労働者の46歳の男性は、攻撃を受けて廃墟と化した建物の前を通るたびに「こんなにも苦しまなければならない私たちウクライナの市民を悲しく思う」と述べています。
※Slow counteroffensive darkens mood in Ukraine(反攻が鈍化してウクライナは暗いムードに)(The Washington Post、2023年8月10日)
https://www.washingtonpost.com/world/2023/08/10/ukraine-national-mood-counteroffensive-gloom/
★これまでは、ウクライナ軍の反転攻勢について、「ロシアの第1防衛線を破ったようだ」、「300m前進した」、「どこそこの村を解放した」などと、その「成果」を過大に報じてきた西側メディアの姿勢に変化が見られます。
『ワシントン・ポスト』が紹介した、ウクライナの人々の声はあまりにも悲痛です。
テレビドラマで、ウクライナの腐敗した政治改革に取り組む教師役を演じるゼレンスキー氏に期待して、大統領に押上げたウクライナ国民は、どれだけ、ウクライナを利用してロシアの弱体化をもくろむ米国政府の思惑を知っていたのでしょうか。ウクライナ国民の苦しみと憂鬱は、いつの日にか、「自由」となって結実するのでしょうか?
『ワシントン・ポスト』は、「キエフの病院で回復を待つ兵士の1人は、戦争で利益を得ている人々は『最前線に送られるべきだ』と述べた」という声も報じています。
戦争を煽るメディア、「ウクライナは世界の自由と民主主義のために戦っている」と主張し、西側諸国の支援をあてにして「クリミアを取り戻すまで戦い続ける」「ロシアを追い出すまで戦い続ける」と嘯き続けるゼレンスキー政権、莫大な利益をあげている軍事企業…。
しかし、戦争となれば、いつでも苦しみ、命を失うのは戦争のイデオロギーや思惑、利権とはまったく関係のない「普通の人々」です。
もうすぐ8月15日、ポツダム宣言受諾の玉音放送の日がきます。「台湾有事は日本有事」などと叫びたてる政治家や有識者の言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、戦争で得をするのは誰か、誰が何のために戦争をしたがっているのか、真剣に考えるべき日がきます。(IWJ)
■<IWJ取材報告>小西洋之氏「今、あの違法な放送法の解釈は全面撤回されている。そういう意味では、テレビの報道の自由が守られているのは、私に文書を提供してくれた『本物の国家公務員』の方がいたから」~8.3映画『テレビ、沈黙。放送不可能。II』完成披露イベント
2023年8月3日、午後6時30分より、東京都千代田区のアキバシアターにて、映画『テレビ、沈黙。放送不可能。II』の完成披露試写、および、試写後のトークイベントが行なわれました。
トークイベントには、出演者の田原総一朗氏(ジャーナリスト)と小西洋之(立憲民主党 参院議員)、そして、金平茂紀氏(ジャーナリスト)、望月衣塑子氏(東京新聞記者)が登壇しました。
この映画は、2015~16年、当時の安倍政権が高市早苗総務大臣の国会答弁を通じて行った放送法の解釈変更と政権批判潰しの言論弾圧、そして、2023年3月2月、小西洋之参議院議員(立憲民主党)が、記者会見において、当時の安倍政権の陰謀を記録した総務省の内部文書を公表(※)するまでの出来事、そして、その裏側で、実際、何が起こっていたのかについて、非常にわかりやすく再構成したドキュメンタリーです。
※日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか? 総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参議院議員 記者会見 2023.3.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514480
トークイベントでは、登壇者それぞれが、問題の当事者として、この放送法にまつわる騒動について、意見を交わし合いました。
以下、登壇者の印象的な発言を紹介します。
望月氏「映画のワンシーンでも、『私たちは怒っています!』というあの会見(※)の場に、そういえば、当時、私も駆けつけて、小西さんはあの場にはいなかったんですけど、田原さんや金平さんや、亡くなった岸井(成格)さんたちが本当に声を上げてたのを覚えていて…。
※「これは政治権力とメディアの戦争だ!」田原総一朗氏、鳥越俊太郎氏、金平茂紀氏、岸井成格氏、青木理氏、大谷昭宏氏らテレビ関係者が高市総務相「停波」発言に怒りの抗議会見! 2016.2.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/289637
あの時に、やっぱり私も、いくつになっても、この目の前にいる人たちのように声をあげなきゃなっていう覚悟はあったんですけど、あの時、今日のドキュメンタリーで出てた岸井さんとか皆さんが、本当にその同調圧力と忖度の中でメディアが萎縮してるっていうこと。
あの時にあれだけ言っていて、その後、安倍さん、菅さん、今は、岸田さんになりましたけれど、その後どうなったかってことを考えると、あの時よりもより広くメディアが萎縮してしまってるなというのが、私の思いです。
岸井さんがその後すぐ辞められて、国谷(裕子)さん、それから古舘(伊知郎)さん、3人が続々と辞められましたよね。いや、降板させられたと言っていいのかな。だから、今日はあの歴史を振り返って、小西さんに、あの時何があったかっていうのを紐解いていただいたんで、改めて私たちが向き合わなきゃいけないメディアの歴史を、こう、田原さんのツッコミとともに教えてもらえたな、というドキュメンタリーでした」。
金平氏「これ、ドキュメンタリーっていう形になってんですけど、『テレビ、沈黙。放送不可能』っていう話なんで、要するに、お前たちが悪いんだっていう風に、こう、名指しされてる映画みたいな形で見たんですけどね。
僕、正直に言いますよ。あれは放送できると思いますよ。これ、何一体びびってんですか? できますよ。できるんで、それがなぜできないかっていう。『やらない人間』がいるわけでしょ。放送をしようとしてる、つまり、放送局の人間とか放送の内容を決める人間が今日の内容を放送して何が悪いわけですか?
何も、だって、事実にもとづいたことを放送、やってるわけでね。あれ別に放送して何が悪いの?」
田原氏「あの時に高市早苗が、『悪の象徴』と言ったのはTBSの『サンデーモーニング』。こんなん作ってる局は潰せって言ったんだよね」。
金平氏「だから、これはつまり、なぜこういうふうなことで、『自分たちが放送できないのか』みたいなことを、僕らの間である種共有しちゃってるっていうところが問題なんで。出しちゃえばいいんですよ。こんなものは。出せるんです。出せる内容だし、これだって事実にもとづいたこと言って、国会での答弁だって、出せばいいんだけど、出さないってことになってる」。
小西氏「あの、内部文書に当時の事実関係がですね。半年間にわたる解釈の改変のプロセスが克明に記録されてるんですけど、言い出しっぺと主導権を担ってたのは礒崎(陽輔)さん。(中略)
まあ、事実上、意向を受ける形で最後はやってるんですが、まあ、礒崎さんが考えて、で、高市さんの同意を取って、官邸側からゴーサインが出れば私はやりますと、そういうふうに官邸に伝えてください、と。(中略)
高市さんが、ああいう解釈の改変、絶対やっちゃいけないことですけどね。それに対しても慎重だったのかどうか、ちょっと、私の見立てとしては、やはり、あの、総務大臣ですから、実際、答弁をする当事者で、答弁した以上は、現にそうなりましたけど、あの田原さんや金平さん、皆さんから批判を受けるし、あるいは野党で国会で質問も受けるわけですから、その当事者・責任者としての『これって大丈夫なのか』というレベル…。(中略)
だから本来は、『何をあなた方をやろうとしてるんだ』と、官僚に対してですね。そして、礒崎さんに電話して、本来は、『うちの官僚を勝手に使うよう官邸に呼びつけて。あなたは放送担当でも何でもないでしょ?』と『何をやってるんだ』と怒るのが普通だと思うんですけども。
『安倍総理がやるんだったらやります』と言って、ものの見事に、渡された原稿、答弁を読み上げただけだと。(中略)
今日、この日があるのもですね、今、あの違法な放送法の解釈は撤回、全面撤回されてますから、そういう意味ではテレビの報道の自由が守られてるのは、私に文書を提供してくださった『本物の国家公務員』の方がいたからですね。
普通だと、絶対に出ない文書。私、まさにあの文書が作られる放送政策課で課長補佐をやってましたから、どういう環境のもとであの文書が作られて、どういうふうに極秘に保管されてるかっていうのも知る立場なので、そうしたものを提供してくださった官僚の方がやっぱり『本物の国家公務員』であり、『君たちはどう生きるか』という今、大ヒットしてる映画(※)がありますけれども、この映画のテレビマンユニオンさんが、当事者の私から見ても、本当わかりやすかったですよね」。
(※)この映画は、2023年8月19日(土)の新宿 K’sシネマ、横浜シネマ ジャックアンドベティを皮切りに、その後、全国で順次公開予定です。また、K’sシネマでは、8月19日~25日の一週間、日替わりでゲストを招いて、「公開記念トークフェス」が開催される予定です。ぜひ、足を運んでみてください。
トークイベントの詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。
■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その72)>第四部 自由という災厄「第十三章「文明の衝突」の虚実 ―― 一九九四年二月~四月――」(Part2)
岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。
現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。
ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。
下記URLから、初回の復刻連載(その1)をお読みいただけます。
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20221120#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4
直近の復刻連載は、下記URLからお読みいただけます。
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その70)>第四部 自由という災厄「第十二章『ジリノフスキー現象』を読み解く ―― 一九九三年十二月 ――」(Part9)(日刊IWJガイド、2023年7月30日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230730#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52582#idx-1
※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その71)>第四部 自由という災厄「第十三章「文明の衝突」の虚実 ―― 一九九四年二月~四月――」(Part1)(日刊IWJガイド、2023年8月6日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230806#idx-3
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52610#idx-3
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◆誰も愛さず、誰にも愛されなかった
ジリノフスキーもまた、ソ連という帝国の辺境に生まれた。
「私は一九四六年四月二十五日、アルマ・アタ(カザフスタン共和国の首都。現アルマトゥ)で生まれた。木曜日の夜十一時のことであった。雨が降っていた。第二次大戦が終わってはじめての春であった」
両親の結婚は前年の一九四五年、そして彼が生まれたその年に、法律顧問としてトルキスタン=シベリア鉄道で働いていた父親が自動車事故で急逝してしまう。これは彼の人生にとって最初の、そしてたぶん最も重い意味をもつ悲劇だった。前夫との間にできた五人の子供と、生まれたばかりのウラジーミルを抱えて、夫を失ってしまった母親のアレクサンドラは、なんとか食堂での働き口をみつける。この時代、子供たちの食事はすべて、母親が職場から人目を盗んでこっそりくすねてくる余り物でまかなわれた。
「忌まわしい食物で、当然のことながら消化不良になり、胃腸カタルや胆のう炎を引き起こした。(中略)だが、ときには、そんな食べ物すらもらえないこともあった。母が仕事に出かけなかったり、何らかの事情があったときである。私は空腹だった。私の幼少期の思い出は、常に空腹だったことと結びついている。幼年期から、すでに私の生活は不快なものであった。基本的な家庭の安らぎ、人間的な温かみは欠落していた」
風呂もない、お湯も出ない、狭い共同アパートでの貧しい生活。幼いウラジーミルは、二歳頃には、二十四時間保育の託児所に、週六日間預けられた。孤児とさして変わることのない日々。
「いつも私にはいまいましさ、悲しみ、不満の気持ちがつきまとった。というのも、喜びの気持ちを味わったことがまったくなかったからだ。誰も私の誕生日を祝ってくれなかった。誰も私を抱擁してくれなかった。『ウラジーミル、おまえ学校へ行っているのか』とか、『ウラジーミル、おまえもう七歳か』などと声をかけてくれる人間はどこにもいなかった。母はいつも忙殺されていた。六人の子供を養うために朝八時には家を出なければならなかったし、夕方に疲れて帰ってきてからは、夕食の支度、後片づけ、縫い物、洗濯をしなければならなかった」
休まずに働き続ける母親のアレクサンドラも、しかし、一面ではやはりひとりの生身の女性だった。それが哀れなウラジーミルの人生にまた、暗い影を落とす。
「一九五〇年、母はひとりの生活に耐えられなかった。まだ三十八歳だった、若かった。男が必要だった。二十三歳の技術学校の学生を母は家に連れ込んだ。馬鹿な青年だった。しかし、この男にとっては都合がよかった。ベッド、食事、洗濯、服の繕いの心配がなくなったのだから。(中略)母は食堂から、この男にも食べ物をもってこなければならなかった。いつもうまくいったわけではない。わずかな食べ物を彼と私とどちらにあげるか迷ったときには、母は彼を選んだ。彼は母の情夫だったからだ」
何もせずにただ酔っ払っているだけのこの不愉快な「母親の情夫」と、ウラジーミルは、十二年間、同じ部屋で過ごさなくてはならなかった。幼少年時代も、青年時代も、ずっと彼は孤独だった。
「私は子供の頃から屈辱感と社会に対する敵意、親族に対する敵意を燃やし続けていた。私は愛情を知らずに育った。親戚からも、友人からも、教師からも愛情を注がれたことはなかった。私はいつも余計者扱いされ、非難の対象になった。ほとんど褒められたことはなく、他人からはしょっちゅう否定的な態度をとられた」
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■<今週の新記事振り返り>
【IWJ号外】「衝撃! 驚愕の事実! ウクライナの臓器売買の闇!(第2回)死傷したウクライナ兵士から無断で臓器を摘出し、欧州などへ売却!! 米グローバル企業、欧州安全保障協力機構も暗躍!?」2023.8.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517870
「業界の『契約概念の欠如』が性加害を含むあらゆる問題を助長しているのでは?」IWJ記者の質問に「ギャラが出ない仕事もたくさんあった」と石丸志門・副代表!!~8.4 日本記者クラブ主催「ジャニーズ性加害問題当事者の会」会見 2023.8.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517855
アフリカ訪問で「ロシアの『黒海穀物イニシアティブ』終了がアフリカを含む世界の食料安全保障に与える影響について懸念を共有し、再開に向け国際社会が協力する必要を確認した」と林大臣~8.8 林芳正 外務大臣 定例会見 2023.8.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517911
ジャニーズ性加害問題を国連WG糾弾!「日本のメディアは数十年も、もみ消しに加担!」「政府の義務で、実行犯を捜査し、謝罪・金銭補償など被害者救済を確保すべし!」~8.4 日本記者クラブ主催 国連「ビジネスと人権」ワーキンググループ 会見 2023.8.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517852
原告・横河健氏「水面下でうまく事を作っておいて、発表するときには『もう議論は尽くしました』というのは、民主主義の国としておかしい!!」~8.9 神宮外苑再開発認可取消裁判、追加提訴に関する記者会見 2023.8.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517927
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その1)「断言しますけれども、事件性は『あり』ですからね、これはね」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517938
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その2)「X子さんはちょっと違うんじゃないかと」「(捜査の)終わり方が異常だったんですよ」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517941
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その3)「殺人事件で一番大事なのは遺族への対応」、それがなかったのは「異常な終わり方」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517943
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その4)読売新聞記者「『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上か?」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517946
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その5)かつての同僚からは「電話が1個も来ない」「『余計なことをあいつに言うな』っていう話じゃないですか」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517948
「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その6)遺族への思いやりに欠ける露木長官の発言に「頭きますよね」「ちゃんと働け」~7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517950
呉江浩・中国駐日本国特命全権大使「世界が変わり、時代も変わり、なぜ友好という言葉を堅持するのか。それは友好こそ両国の根本的利益に合致するものであり、歴史と現実が繰り返し示してきた唯一の正しい選択であるからだ」~8.10日中平和友好条約締結45周年記念大集会 2023.8.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517930
10年で8627件にも上るビッグモーターに関する消費生活相談の内容を、関係省庁は把握していなかった!?「消費者庁に反省はないのか!?」と問題視!~8.7 立憲民主党「株式会社ビッグモーターの不正請求問題について」関係省庁よりヒアリング 2023.8.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517881
小西洋之氏「今、あの違法な放送法の解釈は全面撤回されている。そういう意味では、テレビの報道の自由が守られているのは、私に文書を提供してくれた『本物の国家公務員』の方がいたから」~8.3 映画『テレビ、沈黙。放送不可能。II』完成披露イベント 2023.8.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517848
■<今週の日刊IWJガイド振り返り>
日刊IWJガイド「8月1日からIWJの新しい第14期がスタートしました! 第14期も、IWJへの会員登録と、ご寄付・カンパでIWJをご支援ください!」2023.8.6号~No.3979号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230806
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52610
日刊IWJガイド「トランプ米大統領、3件目の起訴! 容疑は1870年施行の『KKK法』違反!? トランプ氏側は『次期大統領選挙への介入』だと反発!!」2023.8.7号~No.3980号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230807
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52613
日刊IWJガイド「2016年当時、バイデン(副)大統領がウクライナ政府を脅迫!! 汚職を捜査していた検事総長を辞めさせなければ10億ドルの支援を撤回!?」2023.8.8号~No.3981号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230808
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52594
日刊IWJガイド「新型コロナに感染した岩上安身の回復が遅れ、本日収録予定の岩上安身による桃山学院大学・松村昌廣教授インタビューは延期となりました」2023.8.9号~No.3982号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230809
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52616
日刊IWJガイド「ハンター・バイデン氏のビジネスモデルの原型はデヴォン・アーチャー氏が作った! 両氏の関与した3つの投資ファンドの外部資金調達の流れ」2023.8.10号~No.3983号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230810
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52623
日刊IWJガイド「ウクライナの『反転攻勢』が手詰まりになり、ポーランドが『ウクライナ西部占領の下心』を表にあらわす!?」2023.8.11号~No.3984号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230811
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52625
日刊IWJガイド「バイデン・ファミリーの蓄財はユーロマイダン・クーデターが原点! 第3回銀行記録覚書はバイデン大統領の収賄罪の可能性を明記!!」2023.8.12号~No.3985号
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230812
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52628
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それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230813
IWJ編集部(岩上安身、浜本信貴、尾内達也、六反田千恵、前田啓)
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