「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その1)「断言しますけれども、事件性は『あり』ですからね、これはね」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10

記事公開日:2023.8.10取材地: テキスト動画
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(取材・浜本信貴 記事構成・IWJ編集部)

 「木原事件」こと、木原誠二官房副長官の妻X子さんの元夫・安田種雄さん不審死事件と、その再捜査の不自然な打ち切りに木原官房副長官関与していたのではないかという疑惑が、『週刊文春』のキャンペーン報道により、大きな注目を集める事態になっている。

 2023年7月28日、午後1時より、東京都千代田区の株式会社文藝春秋西館文春ギャラリーにて、「安田種雄さん不審死事件」について、2018年の再捜査でX子さんの事情聴取を担当した、元警視庁捜査一課刑事・佐藤誠氏による記者会見が開催された。

 佐藤氏の記者会見については、SNSなどでは、「佐藤氏の感覚にすぎない」、「個人的な見解を報道するのはいかがなものか」といったバッシングや慎重論も出ている。

 もちろん、佐藤氏の話をそのまま事実として報道することはできない。しかし、再捜査の要にいて、実際にX子さんに事情聴取をした佐藤氏の「個人的な感触」は、他に代え難い情報のひとつであることには間違いない。

 佐藤氏の会見を報じるべきかどうかを議論する前に、佐藤氏が何を語ったのかを正確に把握することが第一義である。複数の証言や事実などの情報を突き合わせていかなければ、真偽の判定はできない。

 佐藤氏は、会見の冒頭10分弱、事件の経緯などについて語り、安田種夫さん氏は自殺とした露木康浩警察庁長官の発言を否定し、不審死事件には事件性があると主張した。

 「断言しますけれども、事件性は『あり』ですからね、これはね。誰が見ても、あれを見て『事件性がない』という警察官は多分いないと思うんです、刑事はね」。

■全編動画

  • 日時 2023年7月28日(金)13:00~14:00
  • 場所 文藝春秋西館1階 文春ギャラリー(東京都千代田区)
  • 主催 週刊文春 編集部(詳細

(文字起こし 冒頭から8分頃まで)

 週刊文春編集部「本日は、報道関係者の皆様には大変お暑い中、ご足労いただきまして、誠にありがとうございます。

 今回、佐藤誠さんの記者会見ということで、進行役を務めさせていただきます。『週刊文春』の高橋と申します。本日は、どうぞよろしくお願いします。

 会見に先立ちまして、本日の注意事項をご説明します。

 会見時間は13時から14時を予定しております。事前に配布したリリースにもございますとおり、佐藤さんの撮影は首から下でお願いいたします。

 まず簡単に、佐藤さんのプロフィールをご紹介します。佐藤さんは1959年5月10日生まれ、1983年に警視庁に入庁しまして、そこから2004年に捜査1課に配属されました。2022年に警視庁を退職されています。

 木原誠二官房副長官の妻の元夫怪死事件におきましては、木原副長官の妻であるX子さんの取り調べを担当されています。では、はじめに佐藤さんの方からコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いします」。

佐藤氏「はじめに、この場にいる経緯をちょっと話させていただきます。

 要は、初めてこの事件の記事のアレを知ったのは、『文春』じゃないんですよ。YouTubeを見ていて、確か、佐藤章さんの配信(※1)をよく見ているんですが、佐藤章さんがこう言ってるのをみて、『え』って思ったんですよ」。

(※1)文春砲炸裂!木原官房副長官をめぐる驚愕の事件!岸田内閣を追い詰める黒幕の正体とは何か?自民党内の暗闘加速!元朝日新聞・記者佐藤章さんと(一月万冊、2023年7月6日)

佐藤氏「その時に佐藤章さんが、いろいろ解説していたんですけれども、要はこの記事はね、何か『警察の資料がないと書けない』ということを言っていて、俺もその通りだと思ったんですよ。さすが、元新聞記者だなと思ってですね、色々興味深くずっと見ていて、それで『ああ、そうだよな』と。

 それで俺がびっくりしたというか、驚愕したのは、あまりにも『めくれすぎ』ということなんですよね。『めくりすぎ』ていると、これは。まして、そこでもっとびっくりしたのが、『本当に現職警察官がそんなこと言ったのか』と。ということで、ちょっとびっくりしたんですよね。

 それからいろいろYouTubeでいろいろな方がやり始めたので、誰かな。百田さん(※2)だとか、横田さん(※3)ですかね。横田まゆみさんの、あ、由美子さんですかね。というような。ユーチューブが好きなので、見ていたんですよ」。

(※2)百田尚樹チャンネル https://www.youtube.com/@user-jp6qc1oy4h
(※3)横田由美子チャンネル https://www.youtube.com/@yokotayumiko

佐藤氏「『すごいよく知ってんな』と思って。それも驚愕ですよね。何か、X子さんのことをよくしゃべってるし、こっちの方が『本当にそんなことあったの?』みたいな感じで、だんだん知るようになってて。

 それで経緯としては、それを見ていたときに、『いや、そんなの関わったら大変だな』と思ってたんですよ。

 そしたら、当時住んでいた隣の家の人から電話があって、『あんた、何かしたの!?』みたいな。『週刊誌の人が来ているよ』みたいなことを言われて。『いや、これはまた文春かな』と思って一応名刺を置いていったというんで、それで電話して。それがきっかけなんですよね。

 そのきっかけで電話したら、『取材させてください』ということを言ってきたので。こっちもね、ちょっと会って話しをしたいなと思ったんです。探りを入れるというか、どこからこの記事が流れたのかというのを知りたかったんですよ。

 それで、『本当に警察官がこんなことをしゃべったの?』ということをちょっと聞きたくてですね。初めは『教えられません』という話だったから、それで2回、3回と電話が来て。『ちょっと勘弁してくれよ』というようなやりとりがずっと続いたんですね。

 (そう)したところ、ちょうどその、何日ぐらいかな。その後、要は、警察庁長官のちょっと、会見がありまして、何かこの事件を『事件性がない』とか『自殺』とか言っている(※4)ので、それでカチンときたんですよ」。

(※4)露木康浩警察庁長官7月13日定例記者会見・警察庁長官「捜査は公正」=木原氏妻の報道受け(時事通信、2023年7月13日)

佐藤氏「『カチンとくる』とは、別に頭にきたわけじゃないですけれども、何か被害者に対して、何か『火に油を注ぐようなことを言っているな』と。という感じで思えてきたんですよ。

 現場の警察官はどうでもいいんですけれども、被害者がこれはやはり、『ちょっとかわいそうだな』と思って、『じゃ、いいよ』と。取材も『やっちゃっていいよ』と。ということで、(『週刊文春』に)載っているとおり、あの経緯ですよね(※5)」。

(※5)『週刊文春』8月3日号(2023年07月27日発売)・木原事件 妻の取調官〈捜査一課刑事〉実名告発18時間 木原は「俺が手を回したから」と妻に…(文春オンライン、2023年7月27日)

佐藤氏「それで別に、正義感とか、そういう話じゃないんですよ、これは。そのとき、そう思っちゃったんですよ。『もういいよ』と。ちょっと頭きちゃって、ですね。それが何て言うんでしょうね。別にこれは、そんなこと言って『(警察庁長官が)うそを言っている』という話で、カチンときちゃっただけなんですよ。

 それがきっかけで、こんなことになっちゃっているから。最終的には、もうどうせやるからには『全部話すしか、手がないんだろうな』というふうに思っちゃったんですよ。だから、それが、ここにいるという理由ですよね。

 それと、あと何ですか。その『事件性がない』というのは、どういうことで俺が言っているのかというと、要は、私、調べ官だったので。要は、証拠品であるとか、各供述だとか、全部(自分のもとに)集中するんですよ」。

(会場から、佐藤氏にもっとマイクに近づくよう求めが入る。「もうちょっとマイクに近づいて」、佐藤氏「あ、近づいて」と言いながら、眼鏡をかける)

佐藤氏「それで結局、証拠品だとか、ああいうのは、全部私の方に集中するんで。それをちょっと吟味してたんですよ、ずっと。そしたら、正式な発表ではね、『証拠品をもと』にとか、『適正な捜査で証拠品をもとにしたら自殺だ』と。結局、そんな証拠品は存在しないんですよ。

 もう存在しないのは、これはもう断言します。だから、事件なんです、あれは。大体出てくるのは、もう怪しい証拠品ばかりで、そんなに証拠品はいっぱいあるわけじゃないですけど、証拠品を見て、これは事件性があって、あ、(事件性が)なくて『自殺だ』と。というのは、これは違うんですよね。

 別に、ウソを言っているわけじゃないと、思うんですけれども。そんなのは、俺、見たことはないです。

 それで、やっぱり、ああいうことを言うと、被害者が何か、『悲しんでいるに、余計、悲しくなっちゃうじゃないか』みたいな気持ちになっちゃったんですよね。

 あのー、逆にね。やはり、怖さも、怖さもなかったかのな。あの、要は人によれば、『じゃあ、警察退職したら、何でもかんでも話していいのか』と。『そっちのが怖いじゃないか』と。そんな警察官がいたら『余計怖いんじゃないの』と思う人もいるかもしれないんですけれども、やはりそういうふうに思っちゃったんですよ。

 そういう、やばいことはやばいことなのかもしれないけれども、『ここで言うしかないな』というふうに思っちゃったんで。これは別に、何が目的とかじゃなくて、そう思っちゃっただけであって。やはり、そうですね。あと。

 これが経緯なんですよ、実際の話の。ノリ、ノリというか、勢いというか、カチンときちゃって、実際、本当にないんですから、証拠が。自殺を認定する証拠が、もう全く、記憶にないんですよ。

 じゃあ、(うちへ?)持ってきてもらおうじゃないかと。一番いいのは、安田種雄さんを目の前にして、証拠品を持ってきて、俺が納得して、安田さんが納得したら、済むことじゃないですか。それでケリがつくわけですよ。それをやってくれ、という話なんですよね。

 言いたいことはですね。まず一つ。断言しますけれども、事件性は『あり』ですからね、これはね。誰が見ても、あれを見て『事件性がない』という警察官は多分いないと思うんです、刑事はね。

 じゃあ、何で大塚警察がああだったのかというと、それはちょっと、俺の方から、『わかんない』しか言えないですけれども。やはり、ちょっとミスちゃったのかな、というような感覚は受けますよね。

 普通、刑事が行けば、大体、あれあれはちょっと自殺には見えないですもんね。そんな経緯です。よろしいでしょうか」。

その2へ続く

 IWJでは、佐藤氏の記者会見を質疑の部分も含めて、全文文字起こしをしました。ぜひ、全編動画とともに御覧ください。

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その2)「X子さんはちょっと違うんじゃないかと」「(捜査の)終わり方が異常だったんですよ」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(08;39;02〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=519

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その3)「殺人事件で一番大事なのは遺族への対応」、それがなかったのは「異常な終わり方」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(20;02;24〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1200

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その4)読売新聞記者「『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上か?」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(31;50;25〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1910

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その5)かつての同僚からは「電話が1個も来ない」「『余計なことをあいつに言うな』っていう話じゃないですか」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(45;11;05)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=2710

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その6)遺族への思いやりに欠ける露木長官の発言に「頭きますよね」「ちゃんと働け」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(56;04;17)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=3364

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