記者会見では、冒頭の佐藤氏による事件の経緯などの説明の後、1時間にわたって、各記者からの質疑が行われた。
佐藤氏は記者の質疑に対し、種夫さんを殺害したのはX子さんではないのではないか、とする「見立て」を述べた。
「あれはどうやったって女じゃできない(略)、だからX子さんはちょっと違うんじゃないかと。単なる俺の見立てですよ」。
また、佐藤氏は2018年の再捜査の「終わり方が異常だった」、と述べた。
「ちょっと(再捜査の)終わり方が異常だったんですよ。普通の終わり方じゃないんですよ。今まで、殺しは何件かやっています。何10件、もっとかな?100件近くはやってるんですけど。終わり方がね、こんな終わり方がないんですよ」。
- 日時 2023年7月28日(金)13:00~14:00
- 場所 文藝春秋西館1階 文春ギャラリー(東京都千代田区)
- 主催 週刊文春 編集部(詳細)
(文字起こし 8分頃から20分頃まで)
週刊文春編集部「はい。ありがとうございました。そうしましたら、これから質疑応答に移りますけれども、一連の報道に出てくる匿名の人物については、個人の特定につながるようなご発言というものは控えてくださいますように、どうかお願いします。
では、挙手の上、お名前とご所属を最初にお願いいたします」。
記者1「徳間書店の佐々野と言いますけれども、あの、X子さんに、まず、前科があったのかどうか?シンナーの話をここで聞いているんですけども」。
佐藤氏「それはねえ、当時若い頃のね、友達が一緒にやったというようなことを言って、それは何かメモで見て、実際やったかどうかはわからないですよ。前科を調べたわけじゃないですけど、そういう話があって、それで、調べ室で『若い頃はヤンチャやってたの?シンナーとか吸ったんじゃないの?』というぐらいの感覚ですよね。
それが毒劇法(※6)であった、という話ではないですよ。ただ、前科なんかないと思いますよ」。
(※6)毒劇法:毒物および劇物取締法。厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室によると「日常流通する有用な化学物質のうち、主として急性毒性による健康被害が発生するおそれが高い物質を毒物又は劇物に指定し、保健衛生上の見地から必要な規制を行うことを目的」とする。
記者1「もう一つあって、事件直後にX子さんの要件って、取ったんですか?」。
佐藤氏「結局、俺が要請したのは、ポリグラフ、あと、DNA、まあそういう基本的なことですね」。
記者1「じゃあ、大塚署は要件、取ったわけですね」。
佐藤氏「いや、取っていないですね。実際もう、令状もっていったら『出します』という話でしたから。だから、もし出さなければ執行するよという形で言ったんですよ。
でも、やっぱり、それを持っていくと、大体の人がやってくれるんですよね。どうせ取られるんだったら、じゃあ自分でやります、みたいな。そんな形だったと記憶
しています」。
記者1「ありがとうございます」。
記者2「佐藤さんのお好きなYoutubeの上で発信しております。篠原丈一郎と申します。よろしくお願いします。
本当に今度は、実名で記事に出ていただいて、また、記者会見までやっていただいて、本当に感謝しております。一つだけお聞きします。
このX子さんの取り調べを担当されたということですが、同時に、チームで捜査をされているわけですから、短い期間でも、いろいろな情報を目にされたと思います。
それで、これは非常に肝心なところだと思いますけれども、この捜査チームが当たった人々とか、そういう中に、これは間違いなく被疑者だと思えるような方、これは佐藤さん個人の意見でよろしいんですが、そういう方があったでしょうか?」
佐藤氏「あくまでも個人ですね。確定じゃないですよ。はい、やっぱ調べ官をやると『見立て』するんですよ。流れ、見立て、筋を。色んなものを見て。
週刊誌にもある通り、あれはどうやったって女じゃできない。これも分かりますよね?」。
記者2「女じゃできない」。
佐藤氏「できない。無理ですね。今までやったやつ、殺し屋じゃないんだから。
それであと、やっぱりナイフを使うと必ず手にね。やっぱり、傷が付くんですよ、今までは。こうやれば、ここに付くし。それもない。
あと、まあ、だからX子さんはちょっと違うんじゃないかと。単なる俺の見立てですよ。でも、やっぱ、はじめは容疑者として、容疑者じゃない、『重要参考人として一番かな』とは思っていたけれども、心の中では『ちょっと違うんじゃないかな』と」。
記者2「わかりました」。
佐藤氏「あと、他にはYって出てくるじゃないですか。あれはちょっと時間的に無理なんですよね。無理ですね。それとあといましたっけ?登場人物」。
話者 2「Zっていますね」。
佐藤氏「ああ、それはね、…分からないんですよ。
ただ、俺の見立てなんですよ。ただ、今、名前をちょっと出せないですもんね。状況的にね」。
記者2「でも、名前を出せないということは、要するに、ちょっと引っかかっている中にはいそうだということですね」。
佐藤氏「他に、あれですもんね。だから、俺は…。でも、わかんないですよ。結果は。もしかしたら、X子さんかもしれないんですけど。俺の感覚的には『ん?』っていう感じですよね」。
記者2「そこまで、でも何か感触があるんだったら、これが、捜査が途中で打ち切られたら、どうしようもないですね」。
佐藤氏「あとで、また途中で。
ちょっと終わり方が異常だったんですよ。普通の終わり方じゃないんですよ。今まで、殺し(の捜査)は、何件かやっています。何10件、もっとかな?100件近くはやってるんですけど。終わり方がね、こんな終わり方がないんですよ。後でもし質問があれば」。
記者2「じゃあ、私はこれで終わります」。
記者3「すみません。Arc Timesキャスターの望月と申します。文春さんのベースを聞かせていただきたいんですけれども。
まず、事件後12時間後に、YさんとX子さんのツーショット写真、居酒屋でとった。これをどう受け止めているかということ。
それから、Yさん、30回にわたる聴取の途中からいろいろお話を始めて、『部屋に忍び込むとそこには遺体があり、X子の背中には血が飛び散っている』。Yは『「血が付いているから脱げ」と服を着替えさせ、朝方になったら警察に電話し、「朝起きたら死んでいましたと言え」とアドバイスをした』、と。
こういったところまで具体的に供述をしていたのか、ということと。
それから、X子さんの取り調べの中で、『はじめに座らせたりして、その後に、Yさんに任せた』という証言がありましたね。
で、実際、遺体を発見したお父さんが、こないだ遺族の会見をしましたけれども、お父さんのお話ですと、『Yさんなる人はいなかったし、X子さんとも、そのとき会ってなかった』というお話をしています。
それと、X子さんの発言というのは、Yさんに頼んだと言いつつ、遺体発見の現場にはYさんがいなかったり。数々、現場の状況とX子さんの話していたこととの矛盾が、この記事を読んでいると出てくるんですけれども」。
佐藤氏「ああ、その部分ですよね」。
記者3「そうですね、そこをどういうふうに感じているかと」。
佐藤氏「真実はあの通り。いたんですよ、Yは。カーテンの後ろに隠れてたんですよ。これは。『突然来ちゃった』というのは、突然なんですよ。だからトラブルなんですよ。
それと、俺が、たぶん、調べで、要は『Yを呼んだ』と。彼女にしてみれば、死んだ後呼んだんじゃなくて、まだ生きている時に呼んで、『種雄君と喧嘩になっちゃったので呼んだ』、という言い訳をしたわけですよ。
だって、『死んだ』って言えないじゃないですか。
でも、呼んだことは認めているわけですよ、どうやっても。だけれども、じゃあ、何で呼んで、喧嘩になっているのに、自分は寝ちゃったんだと。ちょっとおかしいじゃないですか。それであの部分があるんですよ。
だから、実際は死んだ後に呼んでいるはずなんですけど。でも、俺の調べでは、そう言えないじゃないですか。うん、あれも、『まだ生きていた時に呼んで、喧嘩になっちゃったんだよ』と」。
記者3「そうすると、生きている時に呼んで、なぜ、その後死んでたかということに関して、Xさんはどのように説明しているんですか?」。
佐藤氏「そりゃ、そこはもう。『後は知りません』ですよ。後は、だから、もう言った通り、『Yさんに任せてました』」。
記者3「だけど、Yさんはいなかったわけですよね、現場に。…お父さんが遺体を発見した現場には、もうカーテンから逃げていなくなっているわけですよね」。
佐藤氏「いや、その前の話ですよ。だから、要は、その前じゃない。作り話なんですよ、要はすべてが。だから、作り話というか、そう言わざるを得ないじゃないですか。X子さんにしてみれば。
実際に、Yさんはいたんですよ。隠れていたんですから。それで、すきを見て逃げたという。
だから、X子さんの供述は…デタラメなんですよ。そういう話で、そういう話になっちゃった。ただ、呼んだってことを認めちゃったから、あとは作り話にするしかないじゃないですか。ええ」。
記者3「そうすると。佐藤さんとしては、Yさんの証言、はじめはお話しされてなかったと思うんですけど。20回ぐらいの聴取の途中から、具体的に話をした?」。
佐藤氏「俺が宮崎まで行ったのは、えーっと、2回ぐらいですよね。主に、だからYさんの調べは違う人がやっていたので。
ただ、調べの前にちょっと感触を取りたかったんですよ。本当のことを言っているかどうかということで。だから、嘘なのかな、本当なのかなということで、ちょっと態度を見たかったので。それで同行したみたいで、もう調べはほぼ終わってたんですよ」。
記者3「じゃあ、Yさんの証言には、恐らく真実(の可能性?)が高いというふうに見ていると思いますが、そのYさんの証言というのは、(X子さんが)『種雄さんに言われて、刺せと言われたから刺しちゃった』というところから、彼女はYさんを自宅に呼んだという理解でいいでしょうか?」。
佐藤氏「供述は、ですね。
ただね、(X子さんは)『私の指紋がついちゃった』とか言っているじゃないですか。だって、家にあるものに自分の指紋がついたって、何の矛盾もないじゃないですか。その言葉にちょっと『供述内容は本当かな』と思ったんです。だって、『指紋がついちゃったかもしれない』ということは、自分の家にある指紋なんて、ぜんぜん証拠にならないわけですよ。
そこで、やっぱり、何か(Yさんを)おびき寄せるためなのかな?みたいな。ちょっと、それはわからないんですよ。でも、Yがそう言っているんですから」。
記者3「『指紋がついちゃった』。つまり、そのナイフに指紋がついちゃった?」。
佐藤氏「ナイフに指紋ついちゃった。…(X子さんが)そういうふうに言ったと。それで、奴(Yさん)は、だから、ガムテープみたいのをね、剥がしたわけですよ。まあ、ガムテープを剥がすときに、どこかにつけばいいなという感覚だったかもしれないですけれども、そこはわかんないですよ。単なる想像ですから」。
記者3「それが、あまりにも考え抜かれているので、『Z氏なるものが関与しているかもしれない』っていう見立てをしているということですね」。
佐藤氏「それは、あくまでも俺の見立てですからね」。
記者3「もうひとつ、最後で。Zさんは、しかしながら、任意同行を拒否されていますよね? で、これは、元刑事さんだということで、本来ならば、積極的に捜査に協力してもいい状況だと思うんですけども、これをどういうふうに受け止めているか?
それと、さっきの居酒屋の写真ですね」。
佐藤氏「はい、居酒屋」。
記者3「そのことをどう説明していたのでしょうか」。
佐藤氏「Zさんは、あくまでも俺の中(の見立て)なので。その人が犯人というのは、今後の捜査をやらないと、単なる俺のその時の『見立て』だけなんですよ。また、言っちゃうと大変じゃないですか。だから、Zさんの話は、もうあの通りだと思うんですよ。だから、あまり出したくはなかったんですよ。
ただ、話がちょっとね。出さないと。じゃあX子さんをね、犯人にすると、『じゃあ、他に誰なの?』という話になっちゃうじゃないですか。そこがね、やはりちょっと、いろいろあったんですね。もう一方、頭の中でもぐるぐる。で、やっぱ、自分の見立てはその人(Z氏)ですよね。それは、週刊誌に書いてある通りですね」。
記者3「任意同行を拒否していること自体は、刑事さんの感覚としては…」。
佐藤氏「いや、あのね、任意同行を拒否してたのか、俺は全然わからないんですよ。要は、なぜかというと、『調べ』やっていたので。他のところで何が起きているかとか、あまり気にしないんですよね。まあ、どうですかね。ちょっとよくわかんないですね。そこら辺の、同行の理由はね」。
(その3へ続く)
IWJでは、佐藤氏の記者会見を質疑の部分も含めて、全文文字起こしをしました。ぜひ、全編動画とともに御覧ください。
※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その2)「X子さんはちょっと違うんじゃないかと」「(捜査の)終わり方が異常だったんですよ」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(08;39;02〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=519
※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その3)「殺人事件で一番大事なのは遺族への対応」、それがなかったのは「異常な終わり方」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(20;02;24〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1200
※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その4)読売新聞記者「『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上か?」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(31;50;25〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1910
※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その5)かつての同僚からは「電話が1個も来ない」「『余計なことをあいつに言うな』っていう話じゃないですか」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(45;11;05)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=2710
※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その6)遺族への思いやりに欠ける露木長官の発言に「頭きますよね」「ちゃんと働け」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(56;04;17)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=3364