「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その4)読売新聞記者「『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上か?」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.8.10

記事公開日:2023.8.10取材地: テキスト動画
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(取材・浜本信貴 記事構成・IWJ編集部)

 読売新聞の記者は、佐藤氏に対して、地方公務員法違反に違反しているのではないか、と詰問した。

読売新聞記者「今回の記事中でもですね、あの、『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上で腹をくくってこう述べていらっしゃると。で、今日も色々、証拠品の中身とか、ご紹介いただいているんですけれども、気持ちっていうのは、変わらないでしょうか?」

 これに対し、佐藤氏は、地方公務員法に抵触する可能性は承知しているが、気持ちは変わらないときっぱりと述べた。

佐藤氏「気持ちですか? だって、ここまで来ちゃったら、変わらないですよ」。

■全編動画 ※文字起こし(その4)の冒頭にリンクしています

  • 日時 2023年7月28日(金)13:00~14:00
  • 場所 文藝春秋西館1階 文春ギャラリー(東京都千代田区)
  • 主催 週刊文春 編集部(詳細

(文字起こし 31分頃から45分頃まで)

週刊文春編集部「これから先、1人1問でお願いできますか。たくさん質問されたい感じですので。すみません」。

記者6「恐れ入ります。日刊ゲンダイの今泉と申します。では、1問だけ。

 一般論としてお聞きしたいんですが、いわゆる容疑者と呼ばれている方、あるいは重要参考人ですよね。その方が国会議員の親族であるか、あるいは警察関係の親族の方、最後に、勲章をいただいている人。国から。叙勲者ですよね。

 その3人いる場合、みんな捜査が慎重になるかと思うんですけれども、一番難しいのはどなたですか?」。

佐藤氏「どうでしょうね。全部同じじゃないですかね。だって、珍しいじゃないですか。あんまり今まで経験で、ないですよね。でも、思うとすれば全部同等だと思いますし、慎重にはなると思いますよ」。

記者6「一般の人にも、慎重になる?」。

佐藤氏「え?」。

記者6「一般の人にも、慎重になりますか?」。

佐藤氏「もちろん、そうだと思います。個人的な意見ですよ。一般人だから、別に差別するわけじゃないですけれども。ただハードルが上がるというのは、やはりあるんじゃないですかね。

 要は、警察が扱うのは、下は浮浪者から上は天皇陛下じゃないですか。いや、そうなんですよ。下はもうプータローから、上は天皇陛下まで警備しなくては、『警衛』っていうんですけれども。そういう扱うので、やっぱり同じようには扱えないですよね。と思います」。

記者6「やっぱり、今回もそういうケースだったという…」。

佐藤氏「それはね、俺も単なる(警部補?)、ぺーぺーですから。やはり、それは上の方だったら気は使うと思うんですよね。

 ただ、自分としては、別に、それが(木原氏の)妻だからって、特に別に、普通にやっていたし、別にいつも通りやっていたパターンですから。はい」。

記者7「朝日新聞の遠藤といいます。『自殺だとする証拠っていうのが存在しなかった』というお話だったと思うんですけど、逆に、事件だとする証拠っていうのにはどんなものがあるのか、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか」。

佐藤氏「事件の証拠というのは、やはり当時の写真ですよね。写真とか、あと当時の供述調書といった。

 ただ、乏しいんですよ、とにかく。乏しいんですよ。証拠が乏しい、と。(再捜査を)始めて、どれだけ集められるか。だから、残っているのが、その、不自然な、例えば、『自殺したらこうはあり得ないだろう』、とか。それで、写真だとかですね、当時の関係者の供述調書とか、そんなものしかないですよ。

 本当に。事件性があるっていうのは、そういう写真とかでわかるじゃないですか。いろいろ遺体を移動したりしてるんで、血がこっちについたり。そうすると、もう分かりますよね。

 ただ、俺が言っているのは、何ですか、あの、『自殺と認めるものがなかった』という話なんですよ。証拠は、(再捜査を)始めてどれだけ集められるかっていう話なんですよね」。

記者7「証拠が、事件と思われる証拠っていうのも、あんまり集まらなかった?」。

佐藤氏「いや、あの、まあ、物証ですよね。ただ、供述だとその、Yの供述だとか、いろいろ重要な供述が出ているじゃないですか。でも、何かのきっかけで、その、何て言うんですか、『支え』がないと駄目なんですね。その支えをもとに、だから6ヵ月もかかっちゃってるわけですよ。

 色んな友達とか聞いて、いろんな実験をして。それで、その供述から得られたね。『何で巻いてあるのか』とか、そういうの。

 要は、刺した時に、やっぱり、豚を買ってくるんですよ。豚肉。で、こうやって、要は、もうないじゃないですか、遺体が。本当に肉を買ってきて、どれぐらいやればここまで通るだとか、そういう実験も何度も繰り返しているわけですよ。

 あと、その血が流れるね、色んなもの、全部、やるべきことはすべてやっているわけですよ。そうすると、やっぱりその当時の家の血のつき方とまったく違う、おかしいんですよ。色んなところでね。上に飛び散って、飛び散ったとこなんか、ちょっとそれを覚えてないですけれども…。

 だから、そういう色々なものを実験して、これはもう自殺じゃないということ。あと、やっぱり鑑定とかで、東大だとか先生とか、専門家に見てもらって、『ありますか?』と、それは『薄いんじゃないか』。まあ、そういうのが、やはりやる証拠という感じですよね」。

記者7「その結果をもって、逮捕状を請求するとか、そういう体制ではなかった?」。

佐藤氏「いや、そこまでは無理ですよね。だって、Yの供述だけでは、ちょっと無理ですよね」。

記者8「ニコニコ動画の七尾と申します。本日はありがとうございます。質問の前に確認させてください。ナイフに巻かれていた両面テープなんですけど、これ、巻いてあった両面テープって、現場にあったんでしょうか?」。

佐藤氏「いや、(Yが)持っていっちゃったんですよね」。

記者8「え?」。

佐藤氏「だから、持っていっています」。

記者8「現場にないんですよね? そしたら、自殺じゃないですよね。いや、自殺したのであれば、両面テープ、あるはずですよね。現場に」。

佐藤氏「いや、現場も。Yが(ナイフから両面テープを)取ってますから、Yが剥がしてますから」。

記者8「いや、だから。…わかりました」。

佐藤氏「だから、わざわざ宮崎まで(Yに会いに)行って、まかせてるわけですよ」。

記者8「だから、そういうことですよね」。

佐藤氏「そういうこと。ちょっと説明不足だったすかね?」。

記者8「わかりました。よくわかりました。で、質問はですね、当時、二階幹事長、自民党の、よく協力してくれたという。でも、木原さんのボスは宏池会の岸田さんなんですけど」。

佐藤氏「いや、そこまでわからないですね」。

記者8「当時、岸田さんが、その今回の、当時の事情聴取の件を御存じだったかどうか…」。

佐藤氏「いや、それはわからないです」。

記者8「これは、『週刊文春』さんの記事にもないんですけれども。岸田さんはご存知だったかということも、『週刊文春』さんは特につかんではいないということですか?」。

佐藤氏「岸田さんは、当時から出てきていないですよね」。

記者8「じゃあ、二階さんだけが…」。

佐藤氏「やはり、俺の記憶では、二階さんが一番あれだったんですかね、力あったんじゃないですかね? 当時は。よくわからないですけど、政治は」。

記者8「わかりました。ありがとうございます」。

記者9「読売新聞の藤原といいます。すみません。先ほど、ちょっと1点だけ、若干。『事件とするような根拠となる物的証拠』というのは、佐藤さんに捜査されている間では集まらなかったという理解でよろしいでしょうか?」。

佐藤氏「ちょっと、時間が足りないですよね。要は、Yさんの供述。これが一番重きだったんじゃないですかね。それとやっぱり、現場の様子だとか。

 まあ、関係者、少ないですから。そういうのを元に、そのために捜査してたんで。いろんな人の供述を集めたり、物的証拠はないだとかあるだとか。

 ただ、それで、もし(証拠が)なかったとしたって、要は、捜査を始めちゃっているわけですから、結末をつけなきゃいけないじゃないですか。

 白か黒か、それとも灰色か、みたいな。そこまで行っていないんですよ。だから途中で終わっちゃったから」。

記者9「ありがとうございます。それで、あの、今回の記事中でもですね、あの、『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上で腹をくくってこう述べていらっしゃると。で、今日も色々、証拠品の中身とか、ご紹介いただいているんですけれども、気持ちっていうのは、変わらないでしょうか?」。

佐藤氏「はい? 気持ちですか? だって、ここまで来ちゃったら、変わらないですよ。だって、しょうがないじゃないですか。そう思っちゃったんだから、もう後に引けないじゃないっすか。だって…」。

記者9「ご自身のご認識として、そういうの(地方公務員法)に抵触する可能性があるっていうようなことっていうのは、思ってらっしゃる?」。

佐藤氏「いや、だって、当然わかってますよね。だけど、やはり…。

 余計に、だから『怖い』という人もいるんじゃないですか? 『辞めたからって、そんなべらべらべらべらしゃべっていいのか』、みたいな人はいるでしょう、やっぱり。『そっちのほうが怖いんだ』、と。いると思うんですよね。だけど、もうしょうがないじゃないですか。ここまで来ちゃったら。

 その時に、もう『いい』と思っちゃったんだから、もうどうしようもないですね。別に、そのときにちょっと考えないよね。地方公務員法って。まあ、触れるのは分かっていたんですよ。それは。でも、ここはもう、なんていうんですかね。行くしかないですよね? もう、突っ込むしか」。

記者9「ありがとうございました」。

記者10「フリーランスの横田由美子と申します」。

佐藤氏「よく知ってます。あれが良かったですよね。何か、工藤静香の歌を歌ってたやつ」。

記者10「あの、彼女(X子さん)の十八番(オハコ)だったんです…」。

佐藤氏「いや、だからよく知ってるなと。知らなかったですよ、あれ」。

記者10「ほんとうですか? やっぱりあの、(X子さんは)『ウランちゃん』という名前で、CDを出されているだけあって、大変、お歌はお上手だったと。17年くらい前ですかね? はい、と思います。

 すみません。質問させてください。えーと、種雄さんが、まず最初に大塚署で、覚醒剤の乱用ということで自死扱いになってるんですけれども。当時、X子さんは、隣の部屋で寝ていたと。

 で、大体、旦那さんがそういうクスリの乱用という形になりますと、奥さんも当然やってるというようにみなされて、奥さんの、何て言うんですかね、覚醒剤をやったかどうか、っていうのも当然調べられるはずだと思うんですが、その辺っていうのは残っていたんでしょうか、証拠として?」。

佐藤氏「ないですね」。

記者10「奥さんは調べてないんですか?」。

佐藤氏「いや、どうか分からない。調べても出ていないかもしれないです。少量で」。

記者10「反応が出ていないということですか」。

佐藤氏「だから、捕まってないですよね。多分、だからそこの覚醒剤とかは、頭にあまりなかったですよね。覚醒剤の致死量たって。致死量ってあったじゃないですか、あれ、どれぐらいか分かります?」。

記者10「あの、覚醒剤だけ、致死量を入れると、ぶくぶく泡が出て…」。

佐藤氏「あれ100回分とかそんなものですよ」。

記者10「そうですよね」。

佐藤氏「だから、知っているやつは入れないですよね、そんなね」。

記者10「あと、あとですね。奥さんの、本妻さんの、ごめんなさい、X子さんの性格についてちょっとお聞きしたいんですが。

 あのぉ、私がお会いした頃は自信がない、すごく自分に自信がなくて。で、なおかつ、その男の人にわりと(頼る?)というか、男の人の後ろにいるような感じの人というような印象を受けたんですけれども。

 今から色々考えて振り返ってみると、2回、木原さんの結婚ぶち壊したりとか、色々(略奪?)したりですとかですねぇ…」。

佐藤さん「あぁ、そうなんですかね」。

記者10「いろいろ、やっていたことを、私が知っている範囲で、ですよ。考えた時に、かなりすごくしたたかな人だったんじゃないかなっていう気がするんですが。

 佐藤さんのX子さんに対する印象というか、感想、『素直な子だ』だという風にはお書きになってらっしゃいましたけれども、実際はどんな印象だったんでしょうか」。

佐藤さん「いや、あのぉ、(事情聴取したのは)10日間ぐらいですから、X子さんの性格とかすべては分からないんですけど。

 要はあの、何て言うんですかね。反応が素直。要は、受け答え。俺らも、たまにカマかけることもあるんですよ。それにひっかかっちゃった可能性もありますけど。ただ、やっぱりは時々、『ほら、嘘だろ』みたいに言うとピクってするんですよね。

 だからやっぱ、臆病は臆病だったと思いますよね」。

記者10「なるほどじゃあ、その臆病さをブランド物で隠していたという感じですか」。

佐藤さん「いやぁ、そこまではわからないですよね。ブランド、全然知らないので。当時、バッグ何を持って来たかも、あんまり。ブランド…でもやっぱり小奇麗な格好を必ずして来てたんですよね」。

記者10「毎回違う格好でいらっしゃってた?」。

佐藤さん「記憶的におんなじ服は着てなかったですけど。まぁ、だから、そこは普通、ただ調べ室にいくだけですからね」。

記者10「そうですよね。完璧に、何かこう、髪も」。

佐藤さん「髪もだから、でもそれが女性の、どこに行くんでもちゃんとするというのが、あれなんじゃないですか」。

記者10「いや、そんなことないですね」。

佐藤氏「そんなことないんですか。あぁ、なるほど」。

その5に続く

 IWJでは、佐藤氏の記者会見を質疑の部分も含めて、全文文字起こしをしました。ぜひ、全編動画とともに御覧ください。

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その2)「X子さんはちょっと違うんじゃないかと」「(捜査の)終わり方が異常だったんですよ」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(08;39;02〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=519

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その3)「殺人事件で一番大事なのは遺族への対応」、それがなかったのは「異常な終わり方」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(20;02;24〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1200

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その4)読売新聞記者「『地方公務員法違反』に抵触することは、承知の上か?」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(31;50;25〜)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=1910

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その5)かつての同僚からは「電話が1個も来ない」「『余計なことをあいつに言うな』っていう話じゃないですか」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(45;11;05)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=2710

※「木原事件」X子さんの取調官・佐藤誠氏会見全文文字起こし!(その6)遺族への思いやりに欠ける露木長官の発言に「頭きますよね」「ちゃんと働け」〜7.28 佐藤誠氏(元警視庁捜査一課刑事)記者会見 2023.7.28(56;04;17)
https://youtu.be/sujrsd1ZX-w?t=3364

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