【IWJ号外】米国防総省の機密文書流出事件「ディスコード・リーク」から、『ワシントン・ポスト』が5月、「プリゴジンは、ウクライナ国防省・軍事情報局に通じていた」とスクープしていた! 2023.6.25

記事公開日:2023.6.25 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 6月24日に起きた、ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏による軍事クーデター、「プリゴジンの乱」は、ベラルーシのルカシェンコ大統領による丸1日がかりの交渉の末、プリゴジン氏がモスクワ進撃を取りやめ、占拠していたロシア南部軍管区司令部からの撤収を表明しました。詳しくは25日未明の『IWJ号外』『IWJ号外・続報』をお読みください。

 そのプリゴジン氏が、ウクライナと密通していた、と『ワシントン・ポスト』は5月15日にスクープしています。

 『ワシントン・ポスト』は、4月に発覚した、米国防総省の機密書類漏洩事件「ディスコード・リーク」で漏洩した機密書類を調査し、プリゴジン氏が1月下旬、バフムートの戦いの真っ只中に、ウクライナ軍のバフムート撤退と、ロシア軍の情報を提供することを交換条件とする提案を、ウクライナ国防省の軍事情報局に対してしていたと指摘しました。

 題名は「ワグネルの首領がウクライナにロシア軍の位置を教えると申し出たとリーク情報 ―― THE DISCORD LEAKS|エフゲニー・プリゴジンは、ウクライナ軍がワグナー部隊が大損害を被っているバフムート市から自軍を撤退させた場合、ロシア軍を攻撃する場所を教えると述べた」です。

 エフゲニー・プリゴジン氏は、1961年、サンクトペテルブルグ(当時はレニングラード)に生まれ、1990年に継父と立ち上げたホットドッグを販売するネットワークにはじまりレストラン関係まで、主に食品関連の事業を展開して成功しました。ロシアのオリガルヒの1人です。「プーチンのシェフ」というあだ名は、プリゴジン氏が展開するケータリングサービスに由来する、ともいわれています。

 プリゴジン氏は、2014年にウクライナでおきた「ドンバス戦争(ウクライナ政府と「ドネツク人民共和国(DPR)」「ルガンスク人民共和国(LPR)」との武力衝突)」へ戦闘員を派遣するために、民間軍事会社「ワグネル・グループ」を設立しました。以来、ウクライナの他、中南米やアフリカ、シリアなどに部隊を派遣してきました。

 以下に、『ワシントン・ポスト』のスクープ記事を仮訳でご紹介します。ぜひ、お読みください。

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ワグネルの首領がウクライナにロシア軍の位置を教えると申し出たとリーク情報
THE DISCORD LEAKS|エフゲニー・プリゴジンは、ウクライナ軍がワグナー部隊が大損害を被っているバフムート市から自軍を撤退させた場合、ロシア軍を攻撃する場所を教えると述べた
著:シェーン・ハリス、イザベル・クルシュディアン
2023年5月15日午前10時42分(日本時間)更新|2023年5月14日午後7時23分(日本時間)掲載

 金曜日(5月12日)のビデオ声明で、ワグネル・グループのエフゲニー・プリゴジン代表は、ロシア軍がより有利なポジションを取るために再編成したとするロシア国防省の報告書を嘲笑し、彼ら(ロシア軍)は事実上逃走し、「我々(ワグネル部隊)の側面は崩れつつある(※IWJ注1)」と述べた。(ユリア・モロゾワ/ロイター)

(※IWJ注1)ワグネル部隊の側面で戦うロシア軍が撤収したため、ワグネル部隊が孤立し、ウクライナ郡に包囲される危険がある、という主張。

 1月下旬、廃墟と化したバフムート市をめぐる戦いで(ワグネルの)傭兵部隊が数千人単位で死んでいく中、ワグネル・グループのオーナー、エフゲニー・プリゴジンはウクライナにとんでもない申し出をした。

 プリゴジンは、ウクライナの指揮官がバフムート周辺からウクライナ兵を撤退させれば、ウクライナが攻撃できるロシア軍の位置情報をキエフに提供すると述べた。プリゴジンはこの提案を、ウクライナの軍事情報局の関係者に伝えた。

 プリゴジンとこのウクライナ軍事情報局の関係者は戦争中、秘密裏に連絡を取り合っていたと、グループチャットのプラットフォーム「ディスコード」に流出した未報告の米情報機関文書(米国防省の機密書類)が伝えている。

 プリゴジンはロシア軍司令官らと公然と反目している。プリゴジンは、(ロシア軍司令官らが)モスクワの戦争努力に不可欠な支援を提供してきたワグネル軍への装備や補給を怠った、と激しく抗議している。彼はロシアのプーチン大統領の同盟者でもある。しかし、そのプーチン大統領は、プリゴジンがワグネルの戦闘員の命をロシア兵と交換するという申し出を、反逆的な裏切り行為と見なすのではないだろうか。

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