2022年6月17日(金)午前8時50分頃より、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が、厚生労働省にて開催され、IWJが生中継した。
IWJ記者は以下の質問を行った。
IWJ記者「サル痘について、2点、おうかがいします。
15日に、国立国際医療研究センター病院で、サル痘に有効だとされる天然痘ワクチン接種の特定臨床研究が始まったと報じられました。
日本では、1974年度生まれまで、天然痘の定期接種を受けていますが、今回研究が始まったという『KMバイオロジクス』のワクチンと、過去に定期接種をうけたワクチンは、違うものなのでしょうか? また、違うものだとすると、サル痘への効果に違いはあるのでしょうか?
一方でWHOは15日に、感染経路について『密接な対人接触』との見解を示し、感染者に完治後、最長12週間のコンドーム使用での性行為を勧めているなど、新型コロナとはかなり異なる感染のようにみえます。性行為によって感染するエイズや他の性病のような感染症と考えていいのでしょうか?
報道では特定臨床研究について、『ワクチン接種の対象となるのはサル痘患者に接してから14日以内の人で、年齢は1歳以上の濃厚接触者』とのことですが、性的接触はどの程度危険なのかどうか、濃厚接触者の定義など、現段階でわかっていることがあれば教えてください」
後藤茂之厚生労働大臣「まず、サル痘についてちょっと申し上げますけれども、WHOを含め、科学的知見、諸外国の感染動向について、状況を注視をいたしております。
日本では感染者は確認されておりませんが、現在サーベイランスを強化しておりまして、水際対策についても、出入国者に対する情報提供や注意喚起を行ってきていおります。
感染経路としては、主に接触や飛沫による感染でありまして、WHOの報告によりますと、今回の流行で、これまで国内流行が見られなかった国では、死亡例は見られていないということでございます。
天然痘ワクチンの、曝露後の発生予防、重症化予防の効果が報告されております。我が国では相当量の国産ワクチンを備蓄しておりまして、テロ対策の観点から詳細は申し上げあれませんけれども、万一の感染拡大時にも対応するために、十分な量の生産備蓄を行っております。
また、国内でサル痘患者が発生した場合に備え、天然痘ワクチンの投与を行う等の研究体制の整備をいたしております。
そこで、お尋ねの問題でございますけれども、この臨床研究で使用することが予定されているワクチンは、我が国で行われていた天然痘の予防接種に使用されていた株を改良して、1976年に開発されたものであり、定期接種にも使用可能なワクチンとして位置づけられたものではありますけれども、同年、1976年に我が国では定期接種としての種痘を事実上中止したため、定期接種として用いられたことはなかったワクチンであります。
サル痘の予防につきましては、天然痘ワクチンが有効であるとの報告がなされておりますけれども、過去に天然痘の定期接種に使用していたワクチンだけではなくて、この臨床研究で使用することが予定されているワクチンもその一つとなっていると認識しております。
それから、WHOが、6月10日に公表した感染状況報告においては、サル痘の感染経路としては、主に接触や飛沫による感染とされておりますけれども、接触には性的接触を含むものとされております。
厚生労働省においても、事務連絡においても、感染が起こる可能性のある接触について、第4類感染症として定義しておりますけれども、WHOと同様の考え方を示しております。
性的接触のみが感染リスクがあるわけではなくて、その他の接触や飛沫によっても感染するリスクがあることに留意する必要があるというふうに考えております。
引き続きWHOとも連携しながら、国内外の感染症の発生動向を監視しつつ、警戒感を持って、対応していきたいと考えております」
後藤大臣の冒頭発言では、同日政府が決定した新型コロナの次の感染症危機に備える対応として、医療機関との協定の法定化や、内閣感染症危機管理庁、厚生省感染症対策部、「日本版CDC」の各設置などが報告された。
他社からは、新たな感染症対策の新組織の詳細、これまでのコロナ対策の反省点、病院との病床確保の協定の課題、自宅療養者対応などについて質問があった。
会見内容について詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。