【IWJ速報5月26日・27日】ロシアがついにテクニカルデフォルトへ!? ロシアはお金もあるし払う気もあると米国の措置を批判し、ルーブル払いを主張! プーチン大統領は、グローバル経済からロシアを排除するのは不可能だと演説! ユダヤ系投資家ジョージ・ソロス氏はダボス会議で「プーチン大統領をいち早く倒さなければならない」と発言! ゼレンスキー大統領はキッシンジャー氏に反論! ロシア軍はドネツク・ルハンスク州制圧目前、ハルキウに再攻撃! ベラルーシがウクライナ国境に基地設営、 マリウポリ港湾の開放始まる! ウクライナは欧米に武器供与を要求! 2022.5.28

記事公開日:2022.5.28 テキスト
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 米国財務省は25日、ロシア国債の利払いをドルで支払いを受ける特例措置を延長しないことを明らかにした。そのため、ロシアがテクニカルデフォルト(支払い能力はあるが条件違反などでデフォルトとなる)に陥る可能性が高くなった。

 『ロイター』は、「ロシアから国債の元利払いを受け取ることを認める米財務省の特例措置が、米東部時間25日午前0時01分(日本時間午後1時01分)に失効。これによりロシアはデフォルトの瀬戸際に追い込まれている」と報じた。

※【速報7193】ロイター、26日「ロシアから国債の元利払いを受け取ることを認める米財務省の特例措置が、米東部時間25日午前0時01分(日本時間午後1時01分)に失効。これによりロシアはデフォルトの瀬戸際に追い込まれている」

 ロシア国営メディア『TASS』は25日、ロシア財務省が、ロシアは、米国財務省が特例措置の更新を拒否したが、対外公的債務に対する義務を引き続き履行し、ルーブルで支払いが行われると述べた、と報じた。ロシア財務省は、「責任ある借り手として、すべての債務の返済と返済を継続する準備ができている」と述べている。

ロシア財務省「(米国の特例措置の停止を考慮し)、支払いは、ロシア連邦の通貨で行われ、その後、支払代理人を通じて債務の元の通貨に変換される可能性がある」

 シアノルフ財務相は「今、私たちはお金を持っており、支払う意欲もある。不親切な国によって人為的に作られたこの状況は、ロシア人の生活の質に影響を与えない」と述べている。「不親切な国」とはもちろん、米国を指す。

 ロシア側は、米国の特別措置の停止を予期してか、すでに21日に、27日締め切りのドル建て利払い分を支払い終わっている。

※【速報7189】TASS、25日「露財務省は水曜日の声明で、ロシアは、米国財務省が特例措置の更新を拒否したにもかかわらず、対外公的債務に対する義務を引き続き履行し、ルーブルで支払いが行われると述べた。」

 急騰し、20年ぶりとされたロシアのインフレは、まだ高い水準になるとはいえ、落ち着きを取り戻しつつある。ロシア中央銀行は臨時の政策決定会合で、主要政策金利を3%ポイント引き下げて、11%とした。経済の縮小が懸念される中、さらに年内に利下げする可能性があるとのことである。

 ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は、「ルーブル高により、力強いが一時的なディスインフレ支援が得られた」と発言し、金融の安定を守り、インフレスパイラルに歯止めをかけることが可能になっている、インフレ率は予想以上のペースで鈍化しており、インフレ進行のリスクは大幅に低下した、と述べた。

※【速報7197】ロイター、26日「ロシア中央銀行は臨時の政策決定会合で、主要政策金利を3%ポイント引き下げ11%とした。約20年ぶりの急速な物価高が一服し、経済の縮小が見込まれる中、年内に追加の利下げ余地があるとの見解を示した。」

 プーチン大統領は26日、キルギスのビシュケクで開かれた「ユーラシア経済フォーラム(EEF)」でオンライン演説をした。駐日ロシア連邦大使館が27日、ツイートした。

 駐日ロシア連邦大使館によると、プーチン大統領の演説の要点は以下の通り。

・制裁でロシアに危害を加えようとしている国々は、自国経済に危害を加えている。制裁は、すべての人に影響を及ぼす。先進国では、40年間このようなインフレはなかった。
・世界でますます多くの国が、独立した経済政策を追求するだろう。
・ロシアは、国の主権を確保するために、主要分野での輸入代替の重要なタスクを達成することができた。
・ロシアは、新しい国際環境において、「大ユーラシアパートナーシップ」のためのスペースを作る必要性を繰り返し述べてきた。
・ロシアがグローバル経済の舞台から出ていくことはなく、「我々を押し出すのは不可能である」。

 プーチン大統領は、ロシアを世界経済から切り離すことは不可能だとし、今は一時期損失があっても、「全て新しく構築できる、我々は強くなりつつある」と述べている。ウクライナ紛争と対露制裁を契機として、世界の経済・金融システムが大きな変化をとげつつあり、ロシアはその変化によって強くなるだろう、という。

プーチン大統領「言うまでもなく、我々は経済先進諸国の大きな技術的優越性について理解している。我々は、それを自身から切り離すことはしない。我々をそこから押し出そうとする動きがあるが、現代の世界において、それは現実的ではない。不可能なのだ。

 一定の段階で損失があっても、全て新しく構築することができる。

 我々は強くなりつつある」。

※【速報7201】駐日ロシア連邦大使館、27日「プーチン大統領は26日、キルギスのビシュケクで開かれた「ユーラシア経済フォーラム」でオンライン演説した。」

 ダボス会議の余波が、広がっている。

 『Mashup』は26日、ダボス会議で24日、ユダヤ系投資家のジョージ・ソロス氏が「ロシアによるウクライナへの侵攻は、第三次世界大戦の始まりとなる可能性を指摘し、文明の存続のためにプーチン大統領をいち早く倒さなければならないと語った」と報じた。

 ソロス氏は1930年、ハンガリーのブタペスト生まれのユダヤ人であり、オープン・ソサエティ財団の創設者で、ヘッジファンド黎明期をになった投資家である。

※【速報7215】Mashup(26日)「著名な投資家で大富豪のジョージ・ソロス氏は24日、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会で、 (続く)

 ソロス氏の演説の一部を抜粋して紹介する。

 「前回のダボス会議以来、歴史の流れは劇的に変化した。

 ロシアは、ウクライナを侵略した。これはヨーロッパをその核心において揺さぶった。欧州連合は、そのようなことが起こらないようにするために設立された。最終的には戦闘が停止しても、状況が以前の状態に戻ることはない。

 侵略は第三次世界大戦の始まりであり、私たちの文明は、それを生き残ることができないかもしれない。それが今夜私が取り上げるテーマである」。

 ソロス氏は、ロシアのウクライナ侵攻は、第三次世界大戦の始まりであると明確に指摘している。

 「私は1980年代に政治的慈善活動に従事するようになった。それは世界の大部分が共産主義の支配下にあった時代で、私は憤慨しており、抑圧と戦った人々を助けたかったのである。

 ソビエト連邦が崩壊するにつれて、私は当時のソビエト帝国に次々と財団を設立した。その努力は、私が思っていたよりも成功したことが明らかになった。

 それはエキサイティングな日々であった。(ソロス氏の)個人的な経済的成功の時期と一致し、1984年の300万ドルから3年後の3億ドル以上に年間寄付を増やすことができた」。

 ソロス氏は共産主義体制に対する、自らの活動について、「思っていたより成功した」と述べ、しかし、9.11によって、「閉じられた社会(中国とロシア)」が「開かれた社会」に対する脅威になったと述べた。

 ソロス氏は、その原因としてAIの発達を上げた。個人情報をどんどん収集する中国に対し、人権を尊重する米国ではAIの開発導入が遅れたという。

 「(AIの)開発は、広範囲にわたる結果をもたらした。それらは中国と米国の間の対立を激化させた。中国は、その技術プラットフォームを『国のチャンピオン(national champions)』にした。米国は、個人の自由への影響を懸念しているため、中国よりも(開発を)躊躇している。

 これら(中国と米国)の異なる態度は、米国と中国が代表する2つの異なる統治システム間の対立に新たな光を当てる。

 歴史上他のどの国よりも積極的に、市民の監視と管理のために個人データを収集する習近平の中国は、これらの発展から恩恵を受けるはずだ。しかし、今夜後で説明するように、本当はそうではない」。

 そして、中国の「ゼロコロナ政策」を批判し、ロシアの「特別軍事作戦」は、計画通りに展開しなかったと述べた。プーチンはロシア軍が「解放者としてウクライナのロシア語を話す人口によって歓迎される」と思っていたが、歓迎はされていない、と指摘した。

 ソロス氏は、マリウポリでのウクライナ軍の粘り強い戦いぶりを称賛し、ブチャの残虐行為を批判し、欧米諸国による軍事支援と欧州の統合の促進を称賛した。そして、プーチン大統領の辞任について言及した。

 「プーチン大統領は、ウクライナに侵攻した際にひどい過ちを犯したことを認識したようだ。停戦交渉の場を準備している。しかし、彼は信頼できないので停戦は達成できない。プーチンは、彼が決してしなかった和平交渉を開始しなければならないだろう。それはプーチンの辞任を意味する」。

 ソロス氏は、プーチン大統領の立場が弱くなれば、プーチン氏は予測不可能になり、欧州へのガス供給を止めるかもしれないと述べた。そして、ウクライナ紛争のために気候変動との戦いが遅れているとし、そのため「私たちの文明が終わるかもしれない」と述べた。

 「したがって、戦争を早期に終わらせるために、私たちはすべての資源を動員しなければならない。私たちの文明を維持するための最良かつおそらく唯一の方法は、できるだけ早くプーチンを倒すことである。それが最終ラインだ」。

※【速報7217】ソロス氏のスピーチはこちらで読むことができます。

 同じダボス会議で、元米国務長官で国際政治学者のヘンリー・キッシンジャー氏が、ウクライナが和平協定の締結にこぎ着けるためには、ロシアに領土を割譲するべきだという趣旨の発言をした。

 キッシンジャー氏もドイツ生まれのユダヤ人だが、彼の発言は、前出のジョージ・ソロス氏とまったく違う。ユダヤ人といえども決して一枚岩ではない、ということに留意する必要がある。

 「ユダヤ人が2人いたら、政党が3つできる」という格言もある。ユダヤ人が議論好きで多くの政治党派に分かれる傾向があることを強調して伝えるものだ。ユダヤ人は、一律で、不当で、一枚岩で、世界を一方的に動かしているとするユダヤ陰謀論は間違っているということを明らかにしておきたい。

 ゼレンスキー大統領は25日、ビデオメッセージで、キッシンジャー氏の発言を、ナチス・ドイツに対する1938年の「宥和政策」のようだと厳しく批判した。1938年9月ミュンヘン会議でナチス・ドイツによるチェコスロヴァキアのズデーデン地方の割譲を認めようと提唱したイギリスのチェンバレン首相の宥和政策のことを指す。

 「ロシアが何をしようと『ロシアの利益を考慮しよう』と言う人が出てくる。今年のダボスでもそうした発言が聞かれた。

 ロシアはこれら全て(ミサイル攻撃、民間人の殺害、都市の破壊など)を欧州で行ってきた。それにもかかわらず、例えば今年のダボス会議ではキッシンジャー氏が遠い過去から現れ、ウクライナの一部をロシアに譲渡すべきだと主張している。

 キッシンジャー氏のカレンダーは2022年ではなく1938年のままであり、ダボスではなく当時のミュンヘンの聴衆に向け話をしていると考えているようだ。

 彼らが平和の錯覚と引き換えに譲渡を提案する土地には何百万人もの普通のウクライナ人が実際に暮らしている」。

 まさしくその1938年にナチスから難を逃れるため、米国に一家で移住したキッシンジャー氏に対し、ナチスを引き合いに出して痛烈に批判するゼレンスキー氏も、ウクライナ東部出身のユダヤ人であり、ロシア語話者である。彼は大統領選対策のためにウクライナ語を身に付け直したのだと言われる。ゼレンスキー大統領とジョージ・ソロス氏は、同じ方向を見ており、キッシンジャー氏とは同じユダヤ人ながら対立していることが見て取れる。

※【速報7218】Newsweek、26日「アメリカの元国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、ウクライナが和平協定の締結にこぎ着けるためには、ロシアに領土を割譲するべきだという趣旨の発言(をした)」

 ジョージ・ソロス氏の総括は正しかったのだろうか? 必ずしもそうとは言えないことが、最近の戦況で明らかとなっている。ソロス氏はマリウポリでのウクライナ軍(大半はネオナチ部隊のアゾフ)の粘りを賞賛していたが、5月20日、マリウポリは陥落している。その後、「苦戦」しているとされていたロシア軍は東部ルガンスク州とドネツク州での攻撃を強めており、ドンバス地方全域がロシア軍によって制圧されるのは間近だと見られている。

 『時事通信』は26日、ウクライナ国営通信の情報として、ロシア軍がルガンスク州における、ウクライナ側最後の拠点セベロドネツクとその周辺の町に突入を試みている、と報じた。

 ルガンスク州の州都ルガンスクから北西に約50-60kmに位置する要衝、セベロドネツクの陥落は、ロシア軍によるルガンスク州全体の掌握につながる。ルガンスク州のガイダイ知事は25日、州の約95%がロシア軍の支配下に入ったと認めた。

※【速報7220】時事、26日「ウクライナの国営通信は26日、ロシア軍が東部ドンバス地方ルガンスク州で、ウクライナ側最後の拠点セベロドネツクとその周辺の町に突入を試みていると伝えた。」

 また、ウクライナ国防省によると、ロシア軍がドネツク州の要衝リマンの制圧を目指して猛攻をかけている。『CNN』が26日、報じた。

 ドネツク州行政トップのパブロ・キリレンコ氏は24日時点で、リマンの状況は「非常に厳しい」と伝えていた、ということである。

 ウクライナ軍は26日、ロシア軍がドネツク州でさらに前進し、要衝の町バフムトから約16キロに位置する地区を奪取したと認めた。

※【速報7227】CNN、26日「ウクライナ国防省は、ロシア軍がドネツク州の要衝リマンの制圧を目指して猛攻をかけていると伝えた。」

 ウクライナ軍が奪還したと発表したハリコフにも、ロシア軍が再度攻撃をかけている。ハリコフ奪還は「ウクライナ軍優勢」という説の根拠となっていましたが、それが覆されそうとしている。

 『TASS』は27日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が26日、ウクライナとの国境に南軍作戦司令部を設置する必要があると述べたことを報じた。

 ベラルーシ軍がウクライナとの国境に作戦司令部を置けば、キエフやウクライナ西側にも圧力がかかります。東南部を制しつつあるロシア軍とで、中央部で展開しているウクライナ軍を北から挟み撃ちをすることも可能となるからである。

※【速報7231】共同、27日「 ウクライナ第2の都市、東部ハリコフ市の中心部で26日、ロシア軍の砲撃により7人が死亡、9歳の子ども1人を含む17人がけがをした。地元当局者が交流サイト(SNS)に投稿した。」

※【速報7240】TASS、27日「ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、26日にウクライナとの国境に南軍作戦司令部を設置する必要があると述べた。」

 ロシア軍が陥落させたマリウポリの港で、実質的に停止していた海上交易の再開が始まりそうだ。これまで、ウクライナ側はロシア軍が海上交通を阻止していると主張、ロシア側は、ウクライナ側が機雷を設置し、海上交通を阻止していると主張していた。

 しかし、『AFP』(26日)によると、ロシア政府は25日、ウクライナ南東部マリウポリの港の再開を発表した。ロシア国防省はこれまで、マリウポリの港湾の機雷除去を進めていると発表していた。

※【速報7234】AFP、26日「ロシア政府は25日、ウクライナ南東部マリウポリの港の再開を発表した。ロシアは先週、長期におよぶ包囲の末、マリウポリの制圧を宣言している。」

 『スプートニク』は27日、ミジンツェフ上級大将が「現在、港湾内は安全であり民間船舶も安全に使える状態だ」と語り、近くマリウポリ港で積み荷の発送や受け入れを始めるとした、と報じた。

 駐日ロシア連邦大使館は27日、「ロシア海軍はマリウポリの港は地雷撤去を完了した」と発表した。

※【速報7236】スプートニク、27日「ミジンツェフ上級大将は、「現在、港湾内は安全であり民間船舶も安全に使える状態だ」と語り、近くマリウポリ港で積み荷の発送や受け入れを始めるとしている。」

 ロシア軍は、20日のマリウポリ陥落の後、東部ドンバス地方で、ルガンスク州、ドネツク州の全域制圧に王手をかけた。ロシア軍が優勢なのか、ウクライナ軍が優勢なのか、不透明な情勢が長く続いたが、現時点ではロシア軍がじわじわと制圧範囲を広げている。

 ウクライナ軍が徐々に西側に後退している状況を受け、ゼレンスキー政権はより強力な武器の供与を求め、米国はその要求に応じる準備を進めている。

 『AFP』(26日)は、ゼレンスキー大統領は25日、東部ルガンスク州でロシア軍との激しい戦闘が続く中、西側諸国の支援が不十分だと非難した、と報じた。ゼレンスキー大統領は、ロシア軍は「どんな犠牲を払ってでも」ルガンスク州を掌握しようとしており、「今後1週間が勝負の分かれ目になる」との見方を示した。

 ゼレンスキー大統領は、国民に向けた毎日の定例演説で「我々はパートナー国の支援を必要としている。何よりも必要なのは武器だ。勝利するためには万全の支援が必要だ。例外や制限は不要だ」と述べた。

 ウクライナのクレバ外相は25日、ダボス会議で演説し、東部ドンバス地方をかけた戦いを、第2次世界大戦の戦闘になぞらえて、ロシア軍に対抗するために、ウクライナは多連装ロケットシステム(MLRS)を「切実に」必要としていると訴えた。

※【速報7243】AFP、26日「ゼレンスキー大統領は25日、東部ルガンスク州でロシア軍との激しい戦闘が続く中、西側諸国の支援が不十分だと非難した。」

 『CNN』は26日、バイデン政権はウクライナに「ウクライナ側が今最も望む武器である先進の長距離ロケットシステム」を提供する準備を進めている、と報じた。ウクライナが求めているのは、数百キロの射程を持つ多連装ロケットシステムである。

・多連装ロケットシステム(MLRS)
・高機動ロケット砲システム(HIMARS)

 これまでウクライナに提供した武器よりはるかに長い射程であり、米国安全保障会議でも「ウクライナがこの武器をロシア国内への攻撃に利用する可能性がある」との懸念の声が上がっている。

※【速報7246】CNN、26日「バイデン米政権がウクライナに提供する武器の種類を強化する準備を進めていることがわかった。ウクライナ側が今最も望む武器である先進の長距離ロケットシステムが対象となる。」

 5月26日に岩上安身がインタビューした服部倫卓氏は「ウクライナ軍がロシア領内に攻勢をかける可能性は?」と岩上に質問され、「それはないと思う」と当惑した表情で語っておられたが、専門家中の専門家である服部氏の慧眼をもってしても、ウクライナからロシアへの攻撃が可能になる長射程の武器の提供など予想もつかなかった、ということである。それほど速い速度で事態は急展開している。

 米国防総省は26日、47カ国が参加する軍事支援に関する国際会合をオンラインで開催した。オースティン国務長官は、20カ国が新たな軍事支援を表明したと説明、デンマークが対艦ミサイル「ハープーン」の発射装置や本体の提供に合意したと発表した。

※【速報7247】CNN、26日「米国防総省は26日までに、ロシアの侵攻を受けたウクライナへの軍事支援に関する国際会合で北欧デンマークが対艦ミサイル「ハープーン」の発射装置や本体の提供に合意したと発表した。」

 ロシアメディア『スプートニク』は27日、米国が新たにウクライナに提供する軍事供与について「ロシア本土も攻撃可能な多連装ロケット砲が含まれる」とし、「ウクライナ側が関心を示す多連装ロケット砲「ハイマース」(HIMARS)の射程距離は300キロで、ロシア領内の標的も破壊可能となっている」と報じた。

※【速報7241】スプートニク、27日「米国は来週にもウクライナに対する新たな軍事供与について発表する。この軍事供与にはロシア本土も攻撃可能な多連装ロケット砲が含まれる。」

 ロシアのラブロフ外相は、米国をはじめとする西側諸国に対して、ロシア領地への攻撃が可能な兵器をウクライナに供給することは「受け入れがたい激化への重大な一歩」だと強く反発している。

※【速報7250】ロイター、26日「ロシアのラブロフ外相は西側諸国に対し、ロシア領地への攻撃が可能な兵器をウクライナに供給することは「受け入れがたい激化への重大な一歩」と警告した。タス通信が26日報じた。」

 『AFP』は27日、エスカレートする武器供与について、武器取引の専門家が懸念していると報じた。西側諸国がウクライナに供与している武器や弾薬が、「将来的に意図せざる勢力の手に落ち、国内外に拡散する可能性がある」と指摘している。

 その理由について「ウクライナは1990年代、武器取引の拠点だった過去もあるためだ」と指摘した。米シンクタンク、スティムソン・センターは、すでに3月に以下のように指摘していた。

 「我々は紛争で同盟の支援を意図した武器が思いも寄らない戦地の前線に流れるのを何度も目にしてきた。特に、多くの場合、武器は米国の利益と対立する勢力や個人の手に渡ってきた」

※【速報7252】AFP、27日「西側諸国がウクライナに供与している武器や弾薬が、将来的に意図せざる勢力の手に落ち、国内外に拡散する可能性があると武器取引の専門家は懸念している。ウクライナは1990年代、武器取引の拠点だった過去もあるためだ。」

 バイデン大統領とともに、日本を訪れていたブリンケン米国務長官が帰国後、26日にワシントンで対中政策について演説した。ジョージワシントン大学で、45分に及ぶ演説だったという。

 その中で、「中国は国際秩序を作り替える意図と、そのための経済力、外交力、軍事力、技術力を共に持つ唯一の国だ」と述べた。米国にとって最大の競争相手であることを改めて強調したかたちだ。

 台湾有事が起これば米国が軍事力を用いると発言した、バイデン大統領の発言を念頭においてか、「バイデン大統領が言った通り、我々の政策に変更はない。我々は台湾の独立を支持しない」とも述べた。

 「私たちは紛争や新たな冷戦を探していません。それどころか、私たちは両方を避ける決意です」とも述べているが、その発言と実際に米国政府がやっていることが一致しているとは到底思えない。むしろ「冷戦」どころか米国の外交は、ウクライナへの武器供与に見られるように、「熱戦」を強く望んでいるように思われる。その先にあるのは、ソロス氏がしきりに焚きつける「第三次世界大戦」である。

※【速報7253】読売、27日「米国のブリンケン国務長官は26日、ワシントンで対中政策について演説し、「中国は国際秩序を作り替える意図と、そのための経済力、外交力、軍事力、技術力を共に持つ唯一の国だ」と述べた。」

※【速報7257】ロイター、26日「「私たちは紛争や新たな冷戦を探していません。それどころか、私たちは両方を避ける決意です」とブリンケンはジョージワシントン大学での45分間の演説で述べました。」

 『ポリティコ』は26日、ブリンケン長官の発言に対する駐米中国大使館の劉鵬宇報道官が、『ポリティコ』に語った声明を紹介した。

劉報道官「中米関係は今、重要な岐路にある。我々は、米国側が中国と協力して、コミュニケーションを強化し、相違点を管理し、協力に焦点を当てるという(習近平とバイデンが)達した共通認識を真剣に実行し、両国関係を早期に健全で着実な発展の軌道に戻すことを期待している」。

※【速報7255】POLITICO、26日「「中米関係は今、重要な岐路にある」と、大使館の劉鵬宇報道官は声明でポリティコに語った。「我々は、米国側が中国と協力して、コミュニケーションを強化し、相違点を管理し、(続く)

 中国もまた、米国が日本で発足を表明した「IPEF(アイペフ、インド太平洋経済枠組み)」に反発するかのように、太平洋に「進出」する動きを見せている。バイデン米政権が「対中包囲網」形成を進める動きに危機感をあらわにしている。

 『産経新聞』(26日)は、中国の王毅外相が、ソロモン諸島など南太平洋島嶼国7カ国と東ティモールの歴訪を始めた、と報じた。王毅外相の太平洋島嶼国ツアーは6月4日までの10日間に及ぶということである。

 王毅氏の訪問先は、ソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、東ティモールの計8カ国である。

※【速報7259】産経、26日「中国の王毅国務委員兼外相は26日、ソロモン諸島など南太平洋島嶼(とうしょ)国7カ国と東ティモールの歴訪を始めた。6月4日までの10日間。」

 王毅氏は、ソロモン諸島は中国と外交関係を樹立することで「誠実で信頼できるパートナー」を得たとの考えを示した。「中国とソロモン諸島との関係が他の太平洋島しょ国の手本となることを期待する」とも語っている。

※【速報7262】ロイター、26日「中国の王毅外相は26日、中国とソロモン諸島との関係が他の太平洋島しょ国の手本となることを期待すると語った。」

 王毅氏の太平洋島嶼国ツアーに対し、米国務省のプライス報道官は25日、「不透明な形で各国と交渉を進め、協定を結ぶ可能性がある」と懸念を表明した。

※【速報7261】共同、26日「米国務省のプライス報道官は25日の記者会見で、中国の王毅国務委員兼外相による太平洋島しょ国の歴訪について、不透明な形で各国と交渉を進め、協定を結ぶ可能性があると懸念を表明した。」

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