2021年3月4日、東京都千代田区の東京電力臨時会見場で、定例の記者会見が行なわれた。
日本経済新聞は3月4日、「建設再開を目指す東通原子力発電所(青森県)を巡り、東電が立地自治体の東通村に新たな資金支出を検討していることが分かった。5年間で30億円程度を支出する案が浮上している。建設中断から10年を迎えるなか、財政支援で地元との関係強化を図りたい考えだ」と報道した。
- 東電、東通村に資金検討 原発建設再開へ地ならし(日本経済新聞、2021年3月4日)
IWJ記者は、この記事について「30億円の拠出の意図は何か?」と質問した。これに対し、松尾桂介・福島第一廃炉推進カンパニー・広報担当は「地域の持続的発展および原子力事業の基盤整備をともに実現するような取り組等について、現在当社として検討しているところ」と述べ、報道のとおり、30億円を拠出する計画があることを認めが、「(検討中なので)現時点での回答は差し控えさせていただきます」と拠出金の意図については回答を拒んだ。
また、「検討の結果はいつ公表するのか?」との質問には「公表できる状況になればお知らせさせていただきたい」とのみ答えた。
東京電力は、福島第一原子力発電所の廃炉作業について課題が山積しており、柏崎刈羽原発では、IDの不正使用と一部の安全対策工事が終了していなかったことで地元の反発を招き、6月の営業運転開始を見直したばかりだ。原発再稼働を進めるために、今、30億円もの巨費を立地自治体に投じることに疑問を持たざるを得ない。