2015/08/26 【IWJレポート】「安保法案は人権侵害だ!」法曹界と学者ら300人が総結集!――安保法案の廃案を求めて共同記者会見~「独裁」安倍政権に反対! 野音集会と国会デモには4000人!  

記事公開日:2015.8.27
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※8月27日テキストを追加しました!

 「若者が立ち上がった。中年も、お母さんも、そして学者も。次は報道が立ち上がる番だ!」--。

 衆院特別委員会で強行採決された安保法案に反対する「学者の会」と「日弁連」が、2015年8月26日、同日18時から行われる抗議集会に先立ち、東京・霞ヶ関の弁護士会館で共同記者会見を行った。記者会見には、法曹関係者と、全国約100大学の教授が集まった。

 「安保法案廃案!」「立憲主義を守りぬく!」と声をあげ、「違憲」「廃案」とプラカードを掲げた。

 学者の会の正式名称は、「安全保障関連法案に反対する学者の会」。賛同学者・研究者人数は、8月26日9時の時点で、13,507人にのぼる。一般市民の賛同者は、同時点で、28,947人だ。

 日弁連は、「日本弁護士連合会」。日本全国すべての弁護士・弁護士法人が日弁連に登録する。村越進会長は、「安保法案が成立すれば、国家権力に対する歯止めがなくなり、人権を守ることができなくなってしまう。全国の弁護士の方々とは、その一点で一致して、行動を起こした」と述べた。

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21人の法曹界の元トップたちが安倍総理に「NO」

 会見では、21名の法曹関係者・学者が、安保法案廃案への熱い思いを語り、安倍政権への怒りをあらわにした。

 元最高裁判事の濱田邦夫氏は、今回の「戦争法案」について、「9歳の少年のときに戦争の惨禍を見た自分としては、到底許せない」と断言した。

 同じく元最高裁判事で、今回は出席のかなわなかった那須弘平氏は、代読された発言の中で、「日本の憲法は、たくさんの兵士や国民の犠牲の上に作られた。そのエッセンスが憲法前文である」と語り、「戦争の犠牲者に、憲法の誓いを果たしたと、胸を張って言えるのか。政治家よ、自身の良心に問え」と厳しく問うた。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏は、昨年7月の閣議決定の際に安倍首相が自ら「憲法解釈には理論的整合性と法的安定性が必要」と述べたことに触れ、「歴代の内閣が集団的自衛権は違憲としてきたのを閣議決定で覆すことは、法的安定性を害している。つまり、そのような閣議決定による憲法解釈の変更は成り立ち得ないことを自ら証明している」と述べ安倍政権の矛盾をついた。

 また、同じく元内閣法制局長の宮崎礼壹氏も、「集団的自衛権を認めないことは歴代内閣の一致した見解。内容的にも手続き的にも立憲主義に反する」として、安保法案廃案を求めた。

創価大教員「池田大作先生が築いた日中関係をぶち壊すのか」

 東京大学名誉教授の上野千鶴子氏は、「大学人というのはこんな抗議行動をしないものと思われているが、大学の危機、学問の危機を切実に感じて、大学人だからこそ行動した。共に立ち上がれたことを心から嬉しく思っている」と発言した。

 6月4日の衆院憲法審査会で安保法制を「違憲」とした、早稲田大学教授の長谷部恭男氏は、「この問題に関する政府・与党の発言は、苦し紛れの言い逃れにすぎない」と吐き捨てた。

 早稲田大学の水島朝穂教授は、今年4月に自衛隊統合幕僚監部によって作成された内部資料に「安保法制は8月中に成立、2月に施行」と書かれていた問題に関連して、「制服組は過去にも問題を起こしている」と述べた。

 「1965年に、いわゆる『三矢作戦研究』といって、87件の戦時立法を2週間で決めるということを、制服組だけで決め、法案成立のための精密なシミュレーションまでやっていた事実が国会で明らかにされたことがある」

 そして、このたび共産党の小池晃議員の国会質問で明るみに出た、統合幕僚監部作成の内部資料について、「外務省の一部や政治家の中の好戦的な部分がくっついて動かしていると見ている。安倍内閣のもとで、ミリタリーな考えをダイレクトに反映させるチャンネルやルートが動き出している」と分析した。

 創価大学教員の佐野潤一郎氏は、「もう疲れた。早く教育の現場に戻りたい」と嘆きつつ、「でも日本の将来が不安でそれができない」と、安倍政権の武力拡大を批判。また、中国を仮想敵に仕立てる安倍政権のやり方を、「創価大学創始者の池田大作先生がずっと築いてきた、日本と中国の関係をぶち壊しにするようだ」と怒りをあらわにした。

 地方大学の参加者の中からは、名古屋大学名誉教授の池内了氏が発言した。池内氏は、防衛省が安全保障装備開発研究推進制度のもとに大学の軍事協力を推進しようとしていることに言及。「軍と学の協働」が、法案成立以降も進んでいくであろうと推測し、「法案の廃案を第一歩として、日本の軍事化路線に抵抗していかなければ大変なことになる」と、危機感をあらわにした。

産経記者の悪意ある質問に失笑とブーイング

 今回の記者会見では、弛緩したメディアへの批判も目立った。

 上智大学教授の中野晃一氏は、「若者が立ち上がった。中年も、お母さんも、そして学者も立ち上がった。報道はどこにいるんだ!」と記者らに問うた。法曹関係者・学者らからは、大きな拍手が鳴り響いた。中野氏は続けて、「メディアだって安倍政権の下で、報道の自由を奪われようとしている。安保の問題は、報道の問題でもあるんだから」と述べた。

 質疑応答の時間へ移ると、改めてメディアのネジの締まり具合のなさが浮き彫りになった。

 朝日新聞記者から「デモや抗議行動をするのは素晴らしいが、どう国会の政治家を動かすか。声を届ける、動かす、ということについて、何かアイディアがありますでしょうか」と、他人事のように危機感を欠いた質問が出されると、会場がざわめいた。

 法政大学教授の山口二郎氏が、「我々ができることは声を出して世論を作ること。メディアはそれをきちんと報道して、世論を大きくして」と答えると、会場から拍手がわいた。

 山口氏は続けて、「大事なのは、野党の抵抗に道理があるのだとみんなに理解してもらうこと。それができれば、数の上で劣勢にあっても、廃案にできる可能性がある」と語気を強めた。

 中野氏は、「中立とか、政府が言うことを流さないわけにいけないとか言っている場合ではない。ジャーナリズムの前提である報道の自由も崩されようとしている。そういう意識を持つ人が一人でも多くメディアの世界に増えれば、政治を動かせるはずだ」と、この的はずれな質問をやんわりと批判した。会場からは再び大きな拍手がわいた。

 産経新聞記者は、村越・日弁連会長に対し、「賛否両論のわかれる政治問題について特定の政治意見を述べることに、強制加入団体である日弁連が関わるのってどうなんですか」と、難じるような調子の質問を投げかけた。

 村越会長は、今回の抗議行動を、「政治的活動として行っているのではない。人権擁護を使命とする法律家として行っている」と強い口調で切り返した。

 続いて、産経新聞記者が、「日弁連がプラカードを掲げたりしたら、日弁連とともに活動する政治団体などが特定の政治思想を持つと誤解されるのでは」と、自らが「特定の政治思想」の塊であることを棚に上げ、「悪意」満々に質問すると、会場から失笑と野次とブーイングが一斉にわき起こった。

 それが静まると、村越会長は、「我々は安保法案を廃案にするという一点で協力している。プラカードやスローガンは使わないで活動している」と落ち着いて答えた。

小雨の中、野音に集まった4000人が国会前へ「安保法案反対」パレード

 記者会見のあと、日弁連と学者の会は、日比谷野音で18時から開催された「8・26大集会&パレード」へ向かった。小雨の降る中、集会には、法曹、学者、市民が総結集した。

 記者会見にも臨んだ、元内閣法制局長の宮崎礼壹氏は、「40年間違憲だったことを合憲にする資格が政府にはあるのか。国会は政府に向かって、「そんな資格はない」と言うべきではないか」と訴えた。

 東京大学名誉教授の上野千鶴子氏は、自民党の改憲草案に触れ、「独裁政権そのもの」と糾弾した。

 東京大学教授の石川健治氏は、「絶対に破れないルールを破ってしか、法案は成立させられない。そのルールを破ると何が起こるか。これまで守ってきた憲法との連続性がなくなる。連続性がなくなることは何を意味するか。革命、クーデターだ」と言い放った。

 「安保関連法案に反対するママの会」の町田ひろみさんは、「毎年終戦記念日になると、働いている保育園の子どもたちに平和の絵本を読んでいる。あるとき、絵本を読み終えると、5歳の男の子が泣きながら、「アメリカの飛行機が悪いんだ」と言うので、「どうしてアメリカは日本に爆弾を落としたの?」と聞いてみた。すると、「戦争が悪いんだ!」と言った。どうして5歳の子に分かることが、安倍首相には分からないのか」と叫んだ。会場からは大きな拍手が沸き起こった。

 SEALDsの奥田愛基さんは、「今また、希望が生まれようとしている」と切り出したあとに、こう続けた。「なんで高校生たちが制服を着てデモなんかやってるのか。リスクもある。クラスから、親から何を言われるかわからない。怖いと思う」そして、「だから、安倍晋三だけじゃなく、社会にも言いたい。こんな社会でいいのか。君たちの国なんだよ。俺達の国なんだよ。私たちの国なんだよ」と思いをぶちまけると、会場には涙を流す人も見受けられた。

 大集会終了後、参加者は国会前のパレードへと向かっていった。

 夏の終わり、照りつける陽射しも弱まり、過ごしやすくなったというのに、抗議行動の参加者たちには疲れも見え始めている。

 学者は「早く学問の場に戻りたい」と言い、SEALDsは「もう十何週間も金曜デモで国会前に立ってきた」と言う。

 それでも、参加者たちは、自分たち、子どもたちの将来を案じて、行動し続けている。本気で行動しなければならない、いても立ってもいられない、という強い衝動に突き動かされているのは、みな政権に怒っているからだと思う。そしてその怒りは、集団的自衛権の行使とは、特定の地域の問題ではない。日本のどこに住んでいようと、巻き込まれる問題である。

 憲法がないがしろにされ、法治国家の土台が揺らぐ大問題である。

 平和が壊され、血が流れ、国家財政が破綻するかもしれない。誰の身にも振りかかる問題である。堕落して弛緩しきったメディア、未だに他人事で白々としたまなざしを投げかける社会の一部に対しても向けられている。誰一人として、「自分には関係ない」と言うことのできないテーマのはずである。参加者とともに自ら立憲主義、民主主義を守り抜くには、多大なエネルギーがいるのだということを、国民の一人として、改めて痛感させられた。
(取材・沼沢純矢、城石裕幸 記事・城石愛麻)

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