2015/07/16 「安倍首相は民主主義を理解しているのか。すべて白紙委任されたとでも思っているのか」山崎拓氏、亀井静香氏、藤井裕久氏、武村正義氏ら政界の重鎮が安保法案に怒りの記者会見

記事公開日:2015.7.21
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※7月21日テキストを追加しました!

 「安倍さんは悪名高き総理として(歴史に)残る」──。財務大臣などの要職を歴任した83歳の藤井裕久氏は、このように断言し、「岸信介総理は『日米安保は集団的自衛権とは違う。憲法があるから海外派兵はできない』と明確に語っていた。お孫さんは非常識ですね」と述べた。

 安全保障関連法案が衆院本会議で採決された、2015年7月16日。東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、元自民党副総裁の山崎拓氏、亀井静香衆議院議員、元財務大臣の藤井裕久氏、元内閣官房長官の武村正義氏、元防衛庁教育訓練局長で新潟県加茂市長の小池清彦氏、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏による、緊急記者会見が開かれた。

 山崎氏、亀井氏、藤井氏、武村氏の4名は、2015年6月12日にも日本記者クラブで安保法案への反対表明を行っている。今回は、前日(7月15日)の衆院特別委員会での強行採決を受けて、防衛庁OBも加えた6名での会見となった。いずれも、権力の中枢で長く要職に就いていた会見者たちは、拙速に安保法制を変えようとする現在の政府・与党の姿勢を痛烈に批判した。

 山崎氏は、安保法制を改定するなら、極東地域に限定した日米安保条約第6条の変更が必要であるのに、その議論がないことに疑問を呈した。さらに、今回の安保法案が複数の法案をパッケージにしていた点について、「質疑が1分もなかった法案がある。個々に審議すべき法案を、まとめて上程する狡猾で詐欺的なやり方だ。強引過ぎる」とし、衆議院を解散して民意を問うべきだと主張した。

 武村氏は、「安倍首相という人は、普通の国民と同じ常識を備えた人なのか」と疑問を口にし、安保法案が国民の理解を得ていないことを認めながらも、強行採決をしたことに、「民主主義を理解しているのか。すべて白紙委任された、とでも思っているのだろうか。一国の総理として普通ではない」と語った。

 亀井氏は、「日本全体に右バネが効きだした時、わずかな人間が、千載一遇の機会だと安倍総理を担ぎ上げた。各派閥の力学の中で作った総理ではないから、何があっても彼を支えようという力は働かない。安倍政権は薄氷の上。内閣支持率が下がって、参院選が危ないとなれば、皆すぐに逃げ出す」と断言した。

小池氏は、安保法案の中に重大な見落としがあるとし、「どんな紛争にも伴う国連決議によって、自衛隊は後方支援のため、世界中に派兵されることになる。兵站である後方支援は戦争(戦闘行為)であり、明らかに憲法違反。戦争ではまっ先に兵站を叩く。この法案が通れば、自衛隊員は血を流す。自衛隊に入る若者はいなくなり、徴兵制がやってくる」と警鐘を鳴らした。

 質疑応答では、元新聞記者で政治評論家の中村慶一郎氏が、「今回、マスコミの責任は大きい。60年安保では、自民党が警察官500人を動員して強行採決したことに対し、新聞各社が連携して(異議を唱える)共同社説を一面に掲載、それが世論を動かして岸内閣は退陣した。今、民主主義の根幹が問われ、同時にマスコミの根幹も問われている。マスコミも立ち上がれ!」とメディアに対して檄を飛ばす一幕もあった。

  • 日時 2015年7月16日(木) 13:00〜
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

「イケイケどんどん」で日本の未来を決めるのは言語道断

 「われわれは長く政治権力の中枢に身を置いた者として、安保体制の中で重要な役割を果たして来た防衛省OBと共に、ここで言いたい。……今の権力のありようには、異議がある!」

 亀井氏は開口一番、強い口調で言い放つと、日本がこれからも国際社会で生きていこうとするなら、憲法改正の手続きの中で国民に意志を問い、日米の安全保障の形を従来と変えるのなら、日米安保条約の改定も併せて行なうべきだと主張した。

 「岸信介内閣は、日本の軍事力をアメリカが補完する代わりに、日本列島に米軍基地を受け入れ、維持をしていくとした。海外まで行って米軍と軍事協力はしない、という基本的考えに立ち、安保条約を改定した。

 安倍総理が言うように、確かに安全保障の環境は変わっていく。今はミサイルやサイバーテロの時代だ。これを踏まえて、安保条約を改訂すべき。そういうことを一切議論しないで、選挙で国民に方向を示しもせずに、『イケイケどんどん』で日本の未来を決めることは許しがたい。言語道断だ」

極東地域に限定した日米安保条約第6条は、変更が必要

 山崎氏は、「国会を解散して、民意を問うべき」とし、集団的自衛権の行使は憲法違反であり、合憲にするためには憲法9条の改正が必要だと主張。集団的自衛権行使のワンイシューをもって、解散総選挙で国民に問うべきだ、との持論を述べた。

 また、「安保法制の改定は、外交防衛政策の大転換になる。専守防衛から、他国防衛の容認へ。後方支援も、武力行使と一体化した憲法違反だ」と続け、極東地域に限定した日米安保条約第6条の変更が必要であるのに、その議論がないことに疑問を呈した。

 「橋本・クリントン会談(1996年・日米安保共同宣言)で、従来の極東からアジア太平洋地域に範囲を広げ、周辺事態法を作った経緯はあるが、ここまでが限界だ。今回の法改正で、自衛隊が地球の裏側まで行くということは、大いに問題だ」

 山崎氏は、今回の安保法案がパッケージにされていたことにも苦言を呈した。「質疑が1分もなかった法案がある」として、船舶検査法改正案、海上輸送規制法改正案、捕虜取り扱い法改正案、特定公共施設利用法改正案などを列挙し、「個々に審議すべき法案を、まとめて上程する狡猾で詐欺的なやり方だ。強引過ぎる」と憤った。

一国の総理として尋常ではない

 武村氏は、「今回の事態に大きな危惧を抱き、この場にいる」と口火を切り、以下のように心境を明かした。

 「世間知らずという言葉があるが、安倍首相という人は、普通の国民と同じ常識を備えた人なのか、最近は疑念を抱いている。歴代総理が『集団的自衛権の行使は違憲』と言ってきたものを、突如、『できる』とのたまう。憲法改正をするならわかるが、ごく安易に閣議決定だけで決める。常識的とは言い難い。

 昨日も、安保法案が国民の理解を得ていないことを認めながら、衆議院特別委員会で強行採決を指示してしまう。民主主義を理解しているのか。選挙で選ばれれば何でもできる、すべて白紙委任された、とでも思っているのだろうか。一国の総理として普通ではない」

安倍さんは「悪名高き総理」として歴史に残る

 藤井氏は、長く政権の中枢を見てきた自身の経験から、このように語る。

 「岸信介総理は、『世間は日米安保のことを集団的自衛権だと言うが、違うぞ。憲法があるから海外派兵はできない』と、国会に対して明確に語っていた。お孫さん(安倍首相)は恣意的で非論理的であり、非常識ですね」
(IWJテキストスタッフ・関根)

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