皇室典範の改悪を受けて、岩上安身は2026年8月2日、神道学者で歴史家、天皇・皇室研究者である高森明勅(たかもり あきのり)氏に、連続インタビューの2回目となるインタビューを行った。
この皇室典範の改悪をめぐっては、6月30日に共同通信が、「(具体的な記述内容について)閣議決定当日の報道で、初めて条文の細部を知った天皇の側近らは、『寝耳に水』と表明した」と報じた。
この報道について、「これは、かなりショッキングなニュースだった」と述べた高森氏は、以下のように解説した。
「『側近』ということは、宮内庁の一般の職員ではなくて、日常的におそばでお仕えしている侍従職です。
ということは、今回の改正について、その中間報告なり、一切ご報告が上がっていなかった。あるいは、皇室の方々、当事者のお気持ちを、政府の方が受け取ろうという姿勢が、まったくなかったということです。
まったく、当事者を蚊帳の外に置くという畏れ多い形で、言ってみれば政府の独走で進めてしまった、ということが、はしなくも暴露された。
何よりも、当事者でいらっしゃる天皇陛下、あるいは皇后陛下、あるいはまさに当事者である敬宮(としのみや)殿下・愛子内親王殿下、愛子さまを、まったく配慮しないでやってしまった。
それが、最悪の内容になった」。
高森氏は、「皇室典範とは、皇室の方々のための基本法」であるため、「明治の皇室典範では、皇室会議と枢密院に諮問し、その答申を受けて、天皇陛下ご自身が、改正をお決めになるというルール」だったが、戦後は、憲法上の縛りで、「当事者でいらっしゃる天皇、皇室の方々が、皇室典範に直接タッチできないというルール」になったという経緯を説明した上で、次のように、高市政権を批判した。
「しかし、政治の最低限の見識として、やはり当事者の気持ちをできるだけ尊重して、事前にうかがうなり、そしてご希望があれば、なるべくそれに沿う形で制度を作っていく、というのが、当然であろうかと思います。
けれども、そういう姿勢が、今回、高市政権にはまったくなかった、ということが暴露された。
男系男子限定に何としてでも固執して、これを動かしてはならないという無理な前提を立てたものですから、いろんなところにしわ寄せが来てしまった」。
他方で高森氏は、改悪されたこのひどい皇室典範には、実は附則の第6条に、「その施行の状況を踏まえて所要の検討が加えられ、必要があると認められる時は、その結果にもとづいて所要の措置が講ぜられるものとする」という「見直し条項」があることを示し、以下のように解説した。
「いきなり、『検討が必要』だということを、法律自体が認めている。言ってみれば、それだけ不完全な内容であることを、自認しているに等しいということだと思います。(中略)
この附則は、法的拘束力を持ちます。
さらに、それをダメ押しする形で、附帯決議もされました。法的拘束力はないのですが、国会の意思として、当然、尊重されなければならない性格のものです。
先ほどの附則第6条にもとづいて、『皇室典範等の施行状況を踏まえるに当たっては、皇族の方々を取り巻く環境その他皇室の状況についても勘案し、必要があると認められる時は、適時適切な措置が講ぜられるものとする』(中略)。
これは、極端に言えば、国会の意思によっては『もう、養子縁組という制度をやめよう』ということも可能。『(結婚後も皇族に残った内親王・女王の)配偶者、お子様を、ちゃんと皇族にしよう』ということも、可能です。
国会が、ちゃんとした見識を示せば、今回抱え込んでしまった弊害を、すべて除去することができる、という道を、ちゃんと残しています」。
さらに高森氏は、附帯決議には、「安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き、検討するものとする」とあることも示し、次のように述べた。
「要するに、養子制度が恒久制度になってしまいましたが、『それは、安定的な皇位継承を確保する方策ではない』と、国会としては、『養子縁組では、安定的な皇位継承は解決しない』と、『暫定的な手段でしかなくて、本当の解決策は、別にある』ということを、附帯決議という重い形で認めたことになるのです。
ここは、ぜひ、注目してもらいたいと思います」。
■【1】エッセンス版



































