2025年12月17日午後3時より、東京・司法記者クラブにて、「311子ども甲状腺がん裁判」の第16回口頭弁論後の記者会見が開催され、弁護団長の井戸謙一弁護士、弁護団の西念京佑弁護士、そして、元松本市長で甲状腺外科医の菅谷(すげのや)昭氏が登壇した。
会見では、井戸・西念両弁護士が、この日の口頭弁論期日における陳述の内容について説明し、その後、この裁判を初めて傍聴した菅野氏が、裁判についての感想を語った。
第16回口頭弁論の提出書類などの裁判資料については、「311甲状腺がん子ども支援ネットワーク」のサイトをご参照いただきたい。
西念弁護士は、「第51準備書面(被告の主張する線量推計の相互矛盾と内部比較との関係について)」について、以下の通り説明した。
西念弁護士「この福島の甲状腺がんについては、県民健康調査が行われていまして、そこの甲状腺検査評価部会が、これまで中間的なまとめを何度か出してきました。
その中では、福島県内において、甲状腺がんが発見されている割合と地域ごとの放射性ヨウ素の線量──推計値になるんですけれども──、との間に一貫した関係、要するに、『線量が高いところほど、がんが発見されている』という一貫した関係が認められていない。『量反応関係』というんですけど、それが認められていないので、『因果関係があるとは認められない』みたいなまとめ方をされてきていたんですね。
ところが、そのまとめの仕方が、いかにおかしいかということを主張したのが、この『51準備書面』(※上記のホームページ参照)です。
ひとつは、今言ったみたいに、その地域ごとの線量の高低、それとがん発見率の高低とを比較するというのが、量反応関係の前提なんですけれども、その地域ごとの線量の高低、『ここが高い』、『ここが低い』、『福島が高い』、あるいは『避難13市町村が高い』という、その位置関係が、部会まとめのたびに、毎回変わっているんです。
ご存じのように、福島では(原発事故の)直後に、本来であれば計測されるべきであった放射性ヨウ素の放出している線量というもののデータがないんですね。
実際に、きちんと測定したデータがないので、幾つかあるデータから推測をしたり、推計をしたりするんですけれども、この評価部会が推計をしているやり方が、毎回毎回変わるので、毎回毎回地域区分がばらばらなのです。
そうすると、そのきちんとした『一貫して増える量反応関係』が示せますか、というと、片方がばらばらだと、きちんと出ないです。
なので、そういうばらばらなことをしておきながら、『量反応関係がない』と言っていることが、まずおかしいということを示しました」
井戸弁護士からは、「準備書面52(被告準備書面[20]に対する反論:福島で甲状腺がんが多数見つかっているのは、スクリーニング効果によるものであるとする被告に対し、甲状腺腫瘍診療ガイドラインや、福島県立医大の論文などにもとづき、スクリーニング効果では説明できないことについて補充)」、及び「準備書面53(原告らが受けた被曝の程度について:事故初期の計測結果を示しつつ、原告が相応の放射線被曝を強いられた事実について補充)」(※52、53ともに上記のホームページ参照)などについての説明、そして、今後の予定などについての報告があった。
菅谷氏は、ベラルーシで5年半にわたり、子供達の甲状腺がんの治療をした経験を振り返りつつ、次のように語った。
菅谷氏「ベラルーシでは、健康被害を持つ子供達に対して、当時、本当に物心両面でもって、かの有名な独裁者のルカシェンコさんは、本当に一生懸命やってくれたんです。確かに、独裁者ではあるものの、あの当時は本当に優先的に、子供達に対して物心両面で支援している。
国が、大統領がやっているのです。どうして日本で、できないのか?
国が原発推進政策を、またとり始めていますけれども。だとしたら、事故が起こったときは当然、国はそれに対して責任を持って、支援していくとか、そういう対応をとってもらわないと、これはちょっと大変だなと。(中略)
私は、ベラルーシで向こうの人とお話ししたときに、ベラルーシは経済的に非常に苦しいけれども、子供達に対してこんなに支援をしているんだよ、と言ったときに、『日本はやっていませんよ。みんな自費とか、あるいはまたボランティアの皆さんでもって出して』と言ったら、『あの豊かな日本で、そういうことしないんですか』ってびっくりされました」
会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。



































