2025年6月3日午後4時より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の記者会見が行われた。
冒頭、岩屋大臣より、6月2日から訪日中のノルウェーのエスペン・バット・アイデ外務大臣と、この記者会見終了後の午後6時から、日・ノルウェー外相会談を行う旨の報告があった。
- 日・ノルウェー外相会談(外務省、2025年6月3日)
続いて、岩屋大臣と各社記者との質疑応答となり、他社の記者からは、「韓国大統領選挙」、「長嶋茂雄氏の逝去」、「シンガポールで開催されたシャングリラ安全保障会合でのヘグセス米国防長官の発言」、および、「中国大連市における邦人殺害事案」について、質問があった。
IWJ記者は、ウクライナ債権の返済延期、そして、これまでの政府によるウクライナ支援とそれにかかる外交方針について、質問した。
IWJ記者「ウクライナ関連で質問します。ウクライナ財務省は5月30日の声明で、国際債権者への債務6億6500万ドル(約950億円)の支払いを延期すると発表しました。
ウクライナの債務不履行(デフォルト)においては、日本がその損失の一部を負担する可能性があると言われていますが、このたびのデフォルトについて、日本が肩代わりすることになるのでしょうか。
また、日本は、自国民の生活苦を尻目に、敗色が濃厚となった段階でも、ウクライナ支援金として国民の血税を投じ続けてきましたが、総計約120億ドル、約1兆8000億円にも上る金額をウクライナに投じる必要性が、本当にあったのでしょうか。
岸田政権と石破政権は、状況を見通せなかった責任を厳しく問われると考えます。
戦争は正邪だけでなく、勝敗で決まるものであり、リアリズムを踏まえない甘い外交の責任をどうとらえるのか、御教示ください」
この質問に対し、岩屋大臣は以下の通り答弁した。
岩屋大臣「今般、今、ご指摘がありましたように、ウクライナ財務省は、同国が発行した債券の保有者に対する債務約6億6500万ドルの返済を延期するという発表を行ったと承知しております。
日本政府は、かかる債権を保有しておりませんが、引き続き、ウクライナの財政状況や本件の動向については、注視していきたいと思っております。
その上で、一般論として申し上げますと、仮に、日本政府が有する公的債権について債務不履行が発生した場合には、日本が直ちに肩代わりするのではなくて、国際的な協議の枠組みに参加して、他の債権国とともに対応を検討していくこととなります。
繰り返しになりますが、我が国は、ウクライナのご指摘の債券は保有しておりません。
その上で、ロシアによるウクライナ侵略への対応についてですけれども、これも何度も申し上げてまいりましたが、我が国は、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであれ、許してはならないとの強い、この危機感のもとに、これまでウクライナを支援してまいりました。
その考え方に変わりはありません。人道、財政、復旧・復興といった分野で、ご指摘あったように総額120億ドル以上のウクライナに対する支援を表明し、これを着実に今日まで実施してきているところでございます。
我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ウクライナに、公正で永続的な平和が戻るように支援を継続してまいりたいと考えております」
会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。