2025年5月23日午前10時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「Ceasefire Now! 今こそ停戦を Cease All Fire Now! 8th ウクライナ戦争停戦に関する最近の動き~ジェフリー・サックス教授が日本国会に向けて語る~」が開催された。
国際政治学者で青山学院大学名誉教授である羽場久美子氏が司会を務め、世界的に有名な経済学者であるジェフリー・サックス氏が、オンラインによる基調講演「ウクライナ戦争、ガザ戦争の停戦と、アジアにおける平和構築」を行なった。
サックス教授の講演後、元外務省欧亜局長で元オランダ大使の東郷和彦氏、元参議院議員の犬塚直史氏、そして、東京大学名誉教授の和田春樹氏らが、サックス教授へ、直接、質問を行なった。
ウクライナ戦争の現状について、サックス教授は、講演前半の末尾で、次のように見解を述べた。
サックス教授「現在、プーチン大統領の目的は、米国とウクライナが、NATOではなく、中立を受け入れるようにすることです。トランプ大統領は、現在、この現実を受け入れています。
(米国が中立を受け入れたにもかかわらず)皮肉なことに、戒厳令と個人的な命令で統治するゼレンスキーと、その欧州の支援者、特に英国、フランス、ドイツは、中立を受け入れません。これが、戦争が続く理由です。
ヨーロッパ人は、非常に冷酷です。ウクライナ人が死んでいく限り、戦争が続くことに、彼らは満足しています。
ウクライナは、破壊されています。ヨーロッパの『友人』の手によって、段階的に破壊されています。
それは、ヨーロッパがロシアを弱体化させたいからであり、その目的のためになら、ウクライナ人が死ぬことを望んでいるからです。彼らはウクライナ人が死ぬことを望んでいませんが、その目的のためなら、ウクライナ人が死ぬことを容認しています。
彼らが拒否しているのは、この戦争を終わらせるための、ロシアとの正直な外交です」
また、講演の後半では、まず、イスラエル・パレスチナ問題について、次のような核心的な見解を披露した。
サックス教授「イスラエル政府は、パレスチナ国家の設立を拒否しています。
この拒否は、違法であり、残酷であり、道徳に反する行為だと、私は考えます。なぜなら、それはパレスチナの人々を支配し、殺害し、民族浄化によって追放することを意味するからです。
唯一の公正な解決策は、2つの国家が隣りあって共存することです。国連の193ヶ国中180ヶ国以上が、二国家解決案を支持しています。
私の見解では、二国家解決案の実現における唯一の障害は、米国です。もちろん、イスラエルは反対していますが、イスラエルは、パレスチナを国連の194番目の加盟国として承認する、世界の他の国々を阻止することはできません。なぜならイスラエルには拒否権がないからです。
しかし、米国には拒否権があり、その拒否権を、イスラエルのアパルトヘイト支配を守るために使用しています。これが、これほど暴力的な戦争が続く理由です。妥協が欠如しているのです」
最後に、サックス教授は、アジア地域の平和について、次のように持論を語った。
サックス教授「もし、中国、日本、韓国が平和的に団結し、『私達はお互いに何の問題もない。私達は、文化遺産を共有している』と述べたなら?
『私達は、2000年にわたる歴史を共有している。私達は、お互い敵ではない。私達は皆、共通の問題に直面しており、非常に革新的な経済圏である。
3ヶ国が協力すれば、世界でも最も強力な経済圏を形成し、北東アジアの人々だけでなく、全世界に解決策を提供することができるだろう』。
中国、日本、韓国が、ロボット工学、人工知能、高齢化対策、経済のクリーン化、経済のグリーン化、デジタル革命などで協力したらどうなるか、想像してみてください。それは、北東アジアの発展にとって、ごく自然な道でしょう。
もちろん、米国はそれに反対しています、奇妙なことに。
なぜでしょう? なぜなら、『米国の役割は何なのか?』(と考えるから)。
しかし、私はこれが正しいアプローチだと考えています。日本が、中国から自国を守るために、米国が必要だとは思いませんし、米国が本当に日本の安全保障を提供しているとも思いません。
米国の存在は、平和へと導くよりも、戦争へと導く可能性が高いのです」
講演の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。