2024年7月9日午前10時45分頃より、東京都新宿区の防衛省にて、木原稔防衛大臣の定例会見が行われた。
冒頭、木原大臣から、今年4月20日に鳥島沖で起きた「海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故」について、調査報告書の発表があった。
- 海上自衛隊のヘリコプター墜落事故について(海上幕僚監部、2024年4月24日、pdf)
- 海上自衛隊のヘリコプター墜落事故について(海上幕僚監部、2024年7月9日、pdf)
続いて、各社記者と木原大臣との質疑応答となった。
IWJ記者は、7月3日に公表された「統合作戦司令部創設会議の設置」について、以下の通り質問した。
「7月3日に、防衛省は、事務次官及び統合幕僚長を議長とする『統合作戦司令部創設会議』などを創設・設置し、『統合作戦司令部』の年末までの創設に向けた調整をすると公表されました。
『統合作戦司令部』は、統合幕僚長に代わって、総理大臣・防衛大臣と米軍との調整をし、自衛隊を指揮すると位置付けられています。
『統合作戦司令部』の設置によって、指揮権が米軍に移り、自衛隊が米軍の指揮下に編入され、自衛隊が米軍の利益のために都合よく利用されてしまうのではないかと懸念しますが、大臣の御見解をご教示ください」。
これの質問に対し、木原大臣は以下のように答弁した。
「米側のカウンターパートを含みます、日米の調整要領の詳細につきましては、『統合作戦司令部』の任務である役割を踏まえ、米側と現在、議論を進めているところでございまして、それで予断を持ってお答えするということは差し控えます。
その上で、国会でも、これは先の国会で、たくさん御質問をいただいたところですが、自衛隊によるすべての活動というものは、米軍との共同対処というのも含めまして、我が国の主体的な判断のもとで、日本国憲法や、または国内法令等に従って行うということになっております。
自衛隊、および米軍は、おのおのが独立した指揮系統に従って行動することとしておりまして、この点は日米ガイドラインにも明記されているところであります。
そして、そういったことは、日米で認識を共有しているということであります。
このために、今、ご質問をいただいたような、例えば米側の指揮官が『統合作戦司令官』を指揮するといった、そういったことにはならないということは、申し上げたいと思います」。
IWJ記者はまた、次の通り、二つ目の質問をした。
「海上自衛隊での『特定秘密』の漏えいに関して、酒井良(さかいりょう)海上幕僚長が辞任の意向を固めたと報じられています。
自衛隊内の規律意識を高めるという意味あいがあるのだとは思いますが、このタイミングで、再編改組前の旧トップである海上幕僚長が辞任するということは、新たなトップが米国に都合の良い、米軍に対してイエスマン的な人事で固められ、指揮系統上明瞭な地位がなくなる幕僚長陣が、自衛隊・日本の国益を守るためのカウンターウエイトとしての機能を弱めていくことにはならないでしょうか?
大臣のお考えをお聞かせ下さい。よろしくお願いします」。
これについて、木原大臣は以下のように答えた。
「海上幕僚長の辞任の意向というのは、報道で承知をしておりますが、これはまさに人事に関することでございますので、お答えは、私からは、差し控えます」。
会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。