2024年1月15日、午後3時より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会(以後、『有志の会』)」の主催により「伊藤忠にパレスチナ虐殺への加担をやめるよう求めるオンライン署名2万筆の署名簿の提出と記者会見」が開催された。
『有志の会』は、10月7日(※)以降、および、それ以前の75年以上にわたる、イスラエルによるパレスチナ人の追放、占領、封鎖、虐殺に対して声を上げ、パレスチナを生きるすべての人が尊厳と自由を持って生きられる未来のために行動する学生と若者で構成されたグループである。
※2023年10月7日、パレスチナ・ガザ地区を統治するイスラム組織・ハマスの軍事部門カッサム旅団が「アルアクサの大洪水」作戦、電撃的な奇襲攻撃をイスラエルに対して行った。
『有志の会』は昨年、10月23日に早稲田大学戸山キャンパスにて、早稲田大学文学学術院教授で現代アラブ文学・パレスチナ問題が専門の岡真理氏を講師に招いて開催された「ガザを知る緊急セミナー ガザ人間の恥としての(※)」を主催した。
- ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての(『有志の会』 Youtubeチャンネル)
また、12月7日には会として最初の記者会見を衆議院第二議員会館で開催しているが、IWJはその模様を中継取材している。詳細は以下の記事をご参照頂きたい。
会見には、『有志の会』から、皆本夏樹(みなもとなつき)氏、戸田翔氏、署名賛同団体である武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司氏、そして、署名賛同者・有識者として、哲学者・一橋大学名誉教授の鵜飼哲氏、作家の松下新土氏、中京大学教授の今野泰三氏らが登壇した。
『有志の会』は、2023年12月21日にオンライン署名サイト Change.org にて、署名活動「伊藤忠はイスラエルの“死の商人”エルビット・システムズと手を切れ!」(※)を立ち上げ、1月17日現在で2万6000筆を超える賛同が集まっている。
『有志の会』皆本氏は、署名活動の背景について、以下の通り説明した。
皆本氏「このエルビット・システムズ社というのは、イスラエル最大の大手軍事企業で、今、まさに続いている、100日も続いている、ガザでの空爆と地上侵攻を続けていて、もう3万人以上の人を殺しているイスラエル軍に武器を供給している最大大手の軍事企業です。
この企業と日本の伊藤忠アビエーションと日本エアークラフトサプライが協力覚書を結んでいるということに対して、私たちが非常に重く受け止めていて、それに対して声を上げなきゃいけないということで、12月21日にこの署名を始めました」。(中略)
エルビット・システムズ社というのは、今、ガザの映像でよく『ブーン』という音が鳴り響いている動画がSNSとか出て回ってると思うのですけれども、その『ブーン』っていう音、これはドローンの音です。このドローンの85%は、このエルビット・システムズ社が作っているというふうに言われています。(中略)
このように、パレスチナ人の体で人体実験をして、開発した武器を、技術を、日本で売ろうとしているのが、このエルビット・システムズ社であり、伊藤忠アビエーションと日本エアークラフトサプライという日本企業がそれに手を貸しているという現状があります。
これは本当にひどいことなので、私たちはこのように声を上げているのですけれども、2万5000人近くの署名を集めたので、それを提出しに行きますというふうに言って、今日、実際に行ってきたのですけれども、その時の各社の反応を今からお話しします」。(後略)
皆本氏によると、伊藤忠アビエーションと伊藤忠商事は、『セキュリティー上の理由』を盾に、対面での受け取りを拒否した。日本エアークラフトサプライのほうは、会社の前で要望書を読み上げて、手交することはできたが、『有志の会』からの質問に対しては、『ちょっとお答えできません』という回答に終始したとのことであった。
皆本氏の報告につづいて、署名賛同者・有識者からの発言があり、その後、登壇者と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は次の通り質問をした。
IWJ記者「今、現在、イスラエル軍の攻撃において使用されていると言われる『ハブソラ(福音)(※)』と呼ばれるAIシステムとエルビット・システムズ社の関係、また、ガザで飛んでいるドローンとの関係について、わかっていることがあれば教えて下さい」。
この質問に対して、NAJATの杉原浩司氏が、以下の通り答した。
杉原氏「それほど詳しくはないのですけども、両方とも多分、エルビットが作っているということだと思います。ドローンの話もさっきありましたけど、85パーセントぐらいの、今まで何度も虐殺をイスラエルにやってきましたが、今までのドローンや陸上での武器の8割ぐらいがエルビット製。
イスラエル軍の武器の中の8割ぐらいがエルビット製だというようなデータもあって、とにかく24時間工場をフル稼働させて、CEOがその工場の社員を励ましているような動画をツイッターで上げてましたが、そういう非常におぞましい、パレスチナの人たちを殺戮するために工場をフル稼働させているような企業に対して、そこと提携するということの重みをですね、どのくらいこの伊藤忠アビエーションや日本エアークラフトサプライは自覚しているのか非常に疑わしいんですけれども、それを、やっぱり改めてきちっと踏まえてほしいと思います。
ちなみにですね。今日はあまり詳しく言わなかったのですが、『武器見本市』、幕張メッセという千葉県の施設で、それを貸し出してやらせてきているわけですけれども、今年(2023年)の3月に、この『シャンパンで乾杯した』、契約を取り交わしたんですが、その前2019年に、同じDSEI(Defense Security Equipment International)という、もともとロンドンでやっている武器見本市の出張版なのですが、2019年に1回目をやりました。
その時は、僕は、奇跡的に中に入れて、写真を撮ったのですが、やはり、エルビットのブースには、無人機の模型が、大きな模型がぶら下げてあって、人だかりができているということで、やはり、無人機に強い企業であるということだと思います。
付け加えると、2019年の武器見本市では、イスラエルの軍事企業は3社だったのですね。出展が。それが、今年(2023年)の3月に2回目になったら、3社から14社に、イスラエルの企業が増えている。
43兆円に膨れ上がる日本の武器市場にですね、これはイスラエルに限りませんけど、欧米の『死の商人』も含めて恩寵に群がるように、私たちの税金によって利益を得て、それがパレスチナで使われていくっていう、そこに私たちが税金を通しても加害者の側に今向かおうとしている分水嶺だということだと思います」。
記者会見、そして、質疑応答の内容など、詳細については全編動画をご確認下さい。