原告訴訟代理人・山下幸夫弁護士「そもそも、再開発を進める上で『公園まちづくり制度』『都市再開発法』といった制度・法律が恣意的に使われていることが問題である」~10.11「神宮外苑再開発認可取り消し訴訟 第2回口頭弁論」報告集会 2023.10.11

記事公開日:2023.11.8取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年10月11日、午後3時より、東京都千代田区の衆議院第2議員会館にて、神宮外苑訴訟団(※)の主催により「神宮外苑再開発認可取り消し訴訟 第2回口頭弁論」報告集会が開催された。

 この日は、午前11時より、東京地裁103法廷にて、「神宮外苑再開発認可取り消し訴訟」の第2回口頭弁論が行われ、その後、午後1時から、司法記者クラブにて、記者会見が行われ、記者会見終了後、場所を衆議院第2議員会館に移して報告集会となった。

 集会冒頭、原告訴訟代理人の山下幸夫弁護士は、この日の裁判について、「前回(第1回口頭弁論:6月29日)、被告側から答弁書という書類が出され、訴状に対する反論がなされたが、それに対して、今回は、それに対し再反論するという位置づけだった」とし、裁判のポイントについて、次のように説明した。

 山下弁護士「『公園まちづくり制度(※)(以後、まちづくり制度)』を利用して、今回このような大規模な再開発がされようとしているわけですが、これについて、改めて、その制度を、…その制度というのは、本来、公園ではないところを公園にするという形にして、ただ公園をですね、より活用していくという、そういうふうな方向でつくられた制度でした。

 しかし、今回はそれを使うことで逆に『切る』。もともとあった神宮外苑の一部の土地を、公園から外して、そこに高層ビルを建てるというような、というような開発ができるような前提としてのまちづくり制度の適用という点になっています。

 しかも、この『まちづくり制度』いうのは、もともと何か具体的な根拠の法律に基づくものではないものですから、今回、被告のほうでは、それは、単なる内部手続にすぎないのだということを言っていまして。したがって、その手続、内部手続です。

 であって、あくまでそれは、都市計画審議会の審議の前提となる原因をつくるようなものなので、そこで瑕疵があるとか、それが違法であるとか、そういうことは起こり得ないんだということを主張しています。

 しかし、実際には、3つぐらい部会とか専門部会などを設けて、外部の人に委託して、かなり時間をかけて審議をしているということもありまして、単なる、内部の、案を作るようなものだけということではなくて、そこである程度の方向性…。

 今回も『まちづくり制度』を適用しなければ、恐らくこのような本格的な再開発はできなかったのではないかと思うんですけれども、それは極めて重要だといいますか、その決定をまったくの内部で、といいますか、非公開で行い、そこに瑕疵があるとかないとかいう問題は起こらないんだと。そのようなことを主張しておりますので、それに対する反論をしたというところです。

 やはりそれは重要な方向性を決めたりですね、この制度を適用することによって、できないものができるようになるわけですので、それは大きな法的な効果をもたらすものです。

 そういう意味で、そういう制度を使う。しかも、さっき言ったように、本来の方向とは逆な方向で、むしろ『公園を潰す』といいますか。そして、開発をする。高層ビルを建てる。そのような方向で使われる。この制度の適用に関してですね、単に案をつくるような内部的なものにすぎない、ということではなくて、やはり、それ自体が問題になり得ると言ったところを指摘したところであります。

 また、今回ですね、『都市再開発法(※)』に基づいて、今回、認可処分されているのですが、本来であれば、このような大規模な再開発については、都市再開発についての都市計画というものが決定されなければならない。都市計画事業として行われなければならないのが原則なのです。

 しかし、今回、個人施工という形で、要するに、本来、例えば、大きな広い駅の周辺とか、いろいろな所有者がいるので、この場合には、必ずそういう手続を経て、そして、組合をつくってという形で開発をするのですが、今回はたまたま持っている人、所有者が少なくて、全員がそれで合意して、個人施工という形でやります、と。

 そうしますと、一応、法律上は例外として、こういった再開発の都市計画決定を経なくともよいと。そうなりますと、実際には、住民参加の手続が取られなかったり、それから都市計画審議会において、この都市計画と都市計画決定のための要件の吟味といいますか、要件の審査、そういうものを経なくともよいという形で、非常に事業者に有利だといいますか…。

 非常に、そういう形で今回やっていることが、それがそもそも問題なんだという指摘を今回は改めて、と言いますか、初めてといいますか、追加で出させて頂いているところでございます」。

 元日本大学教授で工学博士、そして「明治神宮外苑の再開発の再考を願う建築・造園・都市計画の専門家有志(以後、専門家有志)」の代表である糸長浩司氏は、自身が行った講演「建築・都市の専門家からみた神宮外苑 再開発の問題点と私たちの提言」の中で、専門家有志のこれまでの活動を時系列で紹介するかたちで、このたびの再開発の問題点を説明した。

 糸長氏はまた、異常気象や人新世といったタームを使って、世界の「脱炭素」の流れに逆行する都市開発の異常性について解説をした。以下、糸長氏が講演で使用した資料を添付するので、参照いただきたい。

 質疑応答の内容など、記者会見の詳細については全編動画をご確認ください。

■全編動画 1/3

■全編動画 2/3

■全編動画 3/3

  • 日時 2023年10月11日(水)15:00~
  • 場所 衆議院第2議員会館1階 多目的会議室(東京都千代田区)
  • 告知 神宮外苑訴訟 サイト内告知
  • 主催 神宮外苑訴訟団

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