2023年9月14日、午後1時より、東京都千代田区の衆議院第一議員会館にて、青年法律家協会弁護士学者合同部会、全国青年税理士連盟、全国青年司法書士協議会の青年士業3団体の主催により、「インボイス反対!」の緊急集会が開催された。
集会冒頭、全国青年税理士連盟・会長の冨川和將氏から、この緊急集会開催の目的について説明があった。
冨川氏「本日は(インボイス)制度開始直前ではありますが、インボイス制度の導入について反対の表明をするために、この緊急集会を開催させていただきました。(中略)
私たちは、この制度が、我が国の経済環境に及ぼす潜在的な影響について懸念をしており、その理由について皆様にお伝えすべく、この集会を開催させて頂きました。
インボイス制度は皆様、御承知のとおり、多くの問題点があると言われております。多くは個人事業主であったり、フリーランスの方の事務、それから納税コストの増加。それから、それにより倒産を招く恐れがあること、免税事業者が市場から排除されるおそれがあること、それから免税事業者に対して一方的な値引きが行われる恐れがあること、消費税等の納税ができず、滞納が増え、その結果、徴税コストの増加に伴い、無駄に税金が使用される可能性があること。
このように、さまざまな問題が起こることが考えられます。このような問題について、税理士の私たちは、日々、経営者・事業者の方からの相談を受けており、このような制度を導入することは、真に国民納税者のための改正ではないと考えています」。
続いて、全国青年税理士連盟の山田隆一前会長、全国青年司法書士協議会の荘原直輝会長、そして、青年法律家協会弁護士学者合同部会の笹山尚人議長の3名が、それぞれの団体のインボイス反対声明・決議について、発表・報告した。
弁護士学者合同部会の笹山議長は、インボイス制度の導入が、なぜ問題なのかについて、法律家・弁護士の視点から、以下のように説明した。
笹山議長「(前略)インボイス制度ですけれども、このインボイス制度というのは、生存権を侵害するんじゃないかということを、私たちは大いに問題にしています。憲法25条の発想でいうと、何らかの制度を設けるということは、社会福祉の向上のために、国の尽力するための義務の実現としてやらなければいけないことなんだけれども、果たして、そうなっているかということは、やはり問題だろうというふうに思うんですね。
私たちの決議では、(中略)インボイス制度の導入は免税事業者である中小零細の事業者やフリーランスが、事実上、経済取引から排除される可能性が高いこと。また、課税事業者となることで、経済的基盤の脆弱な中小零細事業者やフリーランスが、さらに経済的苦境に陥ること、そして事業者に新たな過重な事務負担を課すことという大きな問題点がある。
経済的基盤の脆弱な中小零細事業者やフリーランスを更なる経済的苦境にも追い込むインボイス制度は、こうした貧困と格差を拡大する消費税制度の根源的問題を、一層拡大・強化するものにほかならない。ひいては、これは、健康で文化的な生活を保障した日本国憲法25条の精神にも、大きく反するものと言わざるを得ない」。
また、インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称「STOP!インボイス」)の阿部伸氏より、とても重要な、以下のような指摘があった。
阿部氏「(前略)そして、今、本当に言えること、この国にインボイス制度を本当に理解している地方議員何人いるでしょうか。消費税法の条文には、『預かり金』や『益税』なんてないことも、わかっている地方議員何人いるでしょうか。ちょっと多すぎますね。財務省が国会で使って、今、消費税は預かり金ではないと明確に述べています。
そのことを理解している地方議員、どれぐらいいますでしょうか。そのことをメディアで、どのぐらい取り上げてきましたでしょうか。この国の地域経済を免税事業者が下支えしていることを、どれだけ地方議員が理解していますでしょうか。ちょっと本当にすごくばかにされて活動してきました。
ちょっと今、いろいろなことが思い浮かんできて、ちょっと熱くなっちゃました。けれども、議事録を読んでいても、本当にくだらないんですよ。インボイスに反対している議員さんもインボイスをわかってません。正直、だからインボイスに賛成している議員も、わけがわからないんです。
地方議会の議事録を見てください。本当に、もうこんなことを議論しあって、それで我々の陳情が否決になってるって、怒りしかないんです。僕と一緒にアニメーターの方が、ある地方議員に会いました。その地方議員、そのアニメーターさんに向かって何て言ったと思います?
『あなたの収入を教えてください』。そのアニメーターさん悔し涙を流しながら収入を言いましたよ。自分の収入を晒すってどういうことかわかります? で、挙げ句の果てにその議員何て言いました?『免税事業者なんですね。ああ、じゃあ、今まで、不当に利益をこうむった利益をもらってたんですね』。
こういう話まだあります。我々のメンバーは、陳情した地方議員にこう言われたそうです。『経理の事務手続ができない免税事業者ならやめてしまえ』と、『他の職業を選べばいいじゃないか。淘汰されて当然だ』と。何でしょうこれ? 税制が、政治家が、人の職業選択に口出すってどういう時代ですか?
これ、今こういうことが、各地で起こっているんですよ。インボイスが始まる前に、既にこういう地方議員から、相当な差別を受けています。我々は、これが本当に始まってしまったらどうなるか、本当に危惧しています。これが今回、地方議会の採択状況ということで、地方議員の話をしましたが、国会でも同じです」。
緊急記者会見の詳細については全編動画をご確認ください。