【号外第24弾】ウクライナ紛争によって恩恵を受ける軍需産業の株価は軒並み10%〜20%上昇! 大儲けで笑いが止まらない! 英国エセックス大学ピーター・ブルーム教授の論文 2022.4.29

記事公開日:2022.4.29 テキスト
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【号外第24弾】ウクライナへの軍事支援は「正義」であるという建前の裏で、世界の軍事費は史上初めて2兆ドルを突破、軍需産業の株価は軒並み10%〜20%上昇、大儲けで笑いが止まらない!レイセオン社のCEOは、決算説明会で、投資家向けに「UAEでのドローン攻撃、東欧の緊張、南シナ海の緊張、それらすべてが防衛支出に圧力をかけています。その恩恵を受けられるとかなり期待しています」! 人が死ぬことで恩恵を受けるビジネス、英国エセックス大学経営学部のピーター・ブルーム教授の論文「ウクライナ:世界の防衛大手は戦争で静かに数十億ドルを稼いでいる」を全文仮訳!!

 自民党は、26日の総務会で、外交・防衛の長期指針「国家安全保障戦略」など3文書改定に向けた政府への提言を了承しました。

 この提言の柱は、(1) 相手国のミサイル発射拠点を攻撃する「敵基地攻撃能力」を改称した上で「指揮統制機能等」への攻撃も可能とする能力の保有、(2)国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に置いた五年以内の防衛費増額などです。

 この提言は、明らかに、ウクライナ危機を踏まえたものです。

 防衛費の拡大方針を表明したのは、日本の自民党だけではありません。戦場に近いNATO諸国のドイツやデンマークなども、国防費を引き上げると表明しています。新たに、NATO加盟準備に入った北欧のフィンランドとスウェーデンでも、国防費の増額は必至であると伝えられています。

 こうした、日本を始め、NATO諸国や加盟準備国の防衛費は、すべて、軍需産業の格好の「お客さん」となります。

 ストックホルム平和研究所は4月25日、2021年の世界の軍事費がはじめて2兆ドルを超えた、と発表しました。1980年代末期に1.5兆ドル余であった世界の軍事費は、冷戦終結後、1996年から98年ごろには1兆ドル余にまで減少し、その後再び増加に転じました。2兆ドルは1990年代後半の約2倍です。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、忘れかけていた欧州における戦争の恐怖や記憶を思い出させ、今後さらに世界の軍事費を押し上げていくと思われます。まさに、軍需産業とその株主にとっては、この「好景気」に笑いが止まらない状況でしょう。

※World military expenditure passes $2 trillion for first time(ストックホルム平和研究所、2022年4月25日)
https://sipri.org/media/press-release/2022/world-military-expenditure-passes-2-trillion-first-time

 国際ジャーナリストの高橋浩祐氏は4月19日、米軍需産業株が最高値続出だと報告しています。高橋氏によると、S&P500種株価指数の航空宇宙・防衛セクターは、2月24日のロシアのウクライナ侵攻以来、4月18日までに10%上昇し、S&P500全体の上げ幅の4%を大幅に上回っている、ということです。

※最高値続出のアメリカ軍需企業の株価――ウクライナ戦争で西側諸国の国防費増加受けて(高橋浩祐、YAHOO!JAPANニュース、2022年4月19日)

 世界トップ5の軍需産業の株価を、ロシアによるウクライナ侵攻が始まる前日の2月23日と4月に入ってから最も高くなった日の終値を比較すると、以下のようになっています。 

 世界1位の軍需企業である米ロッキード・マーティンの株価は、22%上昇(4月13日)しました。

 3位米ノースロップ・グラマンの株価は21%上昇(4月14日)。

 4位米レイセオンの株価は、14%上昇(4月20日)となっています。

 2位米ボーイング社は、民生部門の航空機の受注問題で逆にマイナス3%(4月1日)となりましたが、その他はまさに「儲かってまっせ!」というわけです。

米国株Kabutan(2022年4月28日閲覧)

 英国エセックス大学経営学部のピーター・ブルーム教授は、ウクライナ危機によって世界の軍需産業の利益がどうなっているのかに関する分析記事を3月9日の段階で発表しました。

 ブルーム教授が発表したのは、「ウクライナ:世界の防衛大手は戦争で静かに数十億ドルを稼いでいる」という記事で、大学や研究機関と協働して独立したジャーナリズム活動を展開するアフリカのNPO、「ザ・カンバセーション」のサイトにアップされました。

Ukraine: the world’s defence giants are quietly making billions from the war(The Conversation、2022年3月9日)

 ブルーム教授の論文の中に、以下のようなニヒルな視点からの指摘が登場します。

 ウクライナにおける紛争を「ビジネス・チャンス」として見る防衛コンサルタントの目には、投資家にとっての最大のリスクはロシアが「砂上の楼閣」であることが明らかになり、「脅威が消滅」してしまうことだと言います。

 ロシア軍と、米軍およびNATOに軍事支援されたウクライナ軍が拮抗している現在の状態が、もっとも「おいしい」状態というわけです。

 不愉快であり、怒りを覚える人も多いに違いありませんが、これも「戦争」という「現実」の土台をなす一側面です。カネ儲けのために、戦争は、拮抗し、激化し、長期化していくれないと、人の生き血を吸う投資家にとって、ありがたみがないのです。

 以下は、記事の全文仮訳です。

 「ロシアのウクライナ侵攻は、その不当な侵略行為として広く非難されている。ロシア帝国が復活し、新たな世界大戦が勃発するのではないかという正当な懸念もある。しかし、両陣営に兵器を供給する約5000億ドル(約64兆円)の防衛産業と、その結果もたらされる多額の利益については、あまり議論されていない。

 この紛争では、すでに防衛費が大幅に増加している。EUは4億5000万ユーロ(約611億円)の武器を購入してウクライナに提供すると発表し、米国は昨年だけで90トン以上の軍事物資と6億5000万米ドル(約831億円)に加え、3億5000万米ドル(約447億円)の軍事援助を約束した。

 これをまとめると、例えば米国とNATOは、1万7000個の対戦車兵器と2000個のスティンガー対空ミサイルを送り込んでいるのである。また、英国、オーストラリア、トルコ、カナダなど、国際的な連合国が進んでウクライナのレジスタンスに武装を提供している。

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